<<コムスンの問題と厚生労働省>>
最近のマスコミでコムスンが袋叩きにあっている。
確かに彼らのやり方には同情の余地はない。
然し、数カ所の事業所の不正のために、会社全体の存続に関わるほどの罰則は厳しすぎはしないか。
普通の業態の企業なら、数カ所の不正が発覚した時は、同じ企業内の事業所全部を捜索し、企業全体の問題と判って、始めて企業全体の責任を問われるのが普通ではないか。
この問題は企業だけの問題でなくて、マスコミでも言われているように、同企業の施設で生活をしている多くの要介護の人達とそこに働く従業員の問題でもある。
彼らには当然なんの責任もないどころか被害者だ。
厚生労働省は彼らの取り扱いについて、コムスンに最後まで世話をするように言っているようだが、これには何の法的な根拠はない。
正式に言えば、この様な厳罰を課した企業に道徳的な立場に立つて善処をしてくれとお願いしているようなものだ。
コムスンにその生活を託している人達は勿論、一般国民に取って、なんで後に残った老人や介護を必要としている人達の処遇など考えもしない罰則を含む法律が出来たのかと今更ながら考えさせられる。
またマスコミもコムスンの問題の原因となっている、老人介護施設に働く要員不足を放置した、厚生労働書の批判も始めたようだ。
コムスンが指導の通り閉鎖処分を受けるまで、施設の運営の円滑化を図る為、不足の要員を補充するなど常識では考えられない事だ。
<<厚生労働省が抱えている問題>>
確かに同省に関係する問題が続発している。
とんでもない大きな問題を引き起こした社会保険庁。
独立行政法人雇用・能力開発機構の無駄使い。
派遣労働法による社会格差の拡大。
残業代ゼロ法案のお蔵入り。
少子化問題の放置。
石原都知事が良く言っている各駅ごとの保育所設置に不認可。
患者の負担の増加。
介護保険の負担の増加。
小児科、婦人科医師の不足と医師の偏在。
異常に遅い新薬の認可→製薬会社の競争力減退。
などなど。
明らかに他の省と比べて、厚生労働省の抱える問題は飛び抜けて多すぎるようだ。
私はその原因は、本来なら他の省以上に国民の生活に密着した省であるべき筈の同省の監督、許認可的な体質にあると思う。
つまり各種の医療機関や研究所を除いた部局や機関が殆ど国民生活に密着して居ない事だ。
<<労働基準署監督官と通産省の検査官>>
これについて私の現役時代のことを思い出す。
工場の施設の中で、蒸気を取り扱う圧力容器は法によって、年一回の労働基準書監督官による直接検査を受ける事が義務付けられている。
その為に同容器は専門の業者によって監督官の検査の為にピカピカに磨き上げられる。
そしてその容器の入り口監督官の服が汚れないように、新しい紙が敷かれる。
そして監督官が来ると工場のアテンド専門の要員が彼が工場の門を出るまで付き添い、監督官の気分を損ねないように、気を配るのが常だった。
何故なら彼らのご機嫌を損じたらどのような反応が来るか判らないからだ。
極端な例だが、運転側のミスで、本来ならブロックされている筈の容器の中に蒸気が洩れ込んでいたのだ。
監督官はそれに気付くと、そのまま帰ってしまった。
これでは工場全体の運転開始に遅れてしまうと、何度詫びを入れても、お願いしても頑として動かない。
結局は工場の幹部から(多分有力政治家に)手を回して労働基準署の所長に話してもらい、やっと来て貰ったことなどがあったからだ。
その監督官と対極の立場の人が当時の通産省の検査官だった。
同じ圧力容器でも、可燃性の高圧ガスを取り扱う容器は、同じように年一度の検査を受ける事になっていた。
基準署の監督官と違うのは、通産省の検査官が皆紳士的だったことだ。
勿論、工場でも彼らに現場の失礼にならぬよう手配はしたが、容器の検査準備も現場の人から見ても、それなりの程度で済まされた。
検査官がきて来ても、基準署の監督官のようにピリピリした雰囲気でなく、和やかな空気のなかで検査が行われたものだ。
この違いは、当時の厚生省は監督の立場であり、通産省は企業の競争力を付けるという企業側に立った立場でる事からくるものだったと思う。
私が定年になって参加した、ボランティア団体の幹部が、地方の経済産業局の幹部と会談したあと、たまたま他の省の人達の話になった時、その幹部が「ああ、文科省や厚生労働省の人達だからね。」と軽く言われたそうだ。
たったこれだけの話だが、監督や許認可ばかり行っている省の人達が如何に他の省の人達から軽く見られているのかも知れない象徴的な話しとして、未だに記憶に残っている。
そのような省の人達のモラルが如何に低下しているかは、社会保険庁の今の惨状を見ても判るような気がする。
<<厚生労働省の進むべき道>>
厚生労働省は国民の生活に密接に結びついた省だ。
そして、同省には国の行方を左右しかねない多くの重要かつ差し迫った問題が山積している。
私は同省が単なる監督、許認可だけの省の体質から抜け出して、現場に飛び出して貰いたいと思う。
つまり大臣以下の幹部が国民の声を直接に聞く事だ。
コムスンの問題で言えば介護施設に働く人達や関係する人達の生の声を聞く事だ。
要介護者の施設の拡充それを取り巻く環境改善に努める事だ。
もし厚生労働省が監督、許認可だけの省から、国民の生活の改善に向けてもっと前向きの政策を取れば、同省の人達のモラルも上がり、それが社会保険庁を含む前述のような山積している問題解決の糸口になると思う。
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