普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

従業員をそんな扱いかたをして勝てるのか

2007-06-24 10:46:04 | 企業経営

6月23日、NHKの日本の、これから「納得してますか?あなたの働き方」の放送があった。

その内容はNHKの番組紹介によると、
リストラや終身雇用の崩壊、成果主義の導入―。
バブル崩壊後、私たちの働き方は大きく様変わりしました。
景気の回復が伝えられる一方で、正社員と非正規社員との格差拡大、過労死や働き盛りのうつなど、様々な問題がクローズアップされています。
今、私たちはどのような働き方が可能な社会を築いていけばいいのでしょうか?私たち一人一人にあった「幸せな」働き方を実現するためには、何が必要なのでしょうか?
番組では、サラリーマン・派遣社員・フリーター・会社社長・退職者・主婦・これから仕事につく学生など様々な立場の方々とともに、これからの働き方について、徹底討論したいと思います。
と書いている。

ニュース番組を挟んで、前半は、
好景気なのに給料は…市民50人が大激論 ▽残業大国ニッポン!長時間労働はなくせる? ▽広がるワーキングプア・増加する過労死・真相は?

後半は、
成果主義はやる気につながらない!?見直す企業続出 ▽すぐ辞める新入社員!悪いのは会社?若者? 
と言う内容だった。

ゲストはクレディセゾン代表取締役社長の林野 宏さん、パソナグループ代表の南部  靖之さん、国際基督教大学教授の八代 尚宏さん、経済アナリストの森永 卓郎さん,慶応義塾大学教授の金子 勝さん,精神科医の香山 リカさんだった。

NHKのこの種の番組の特徴で、皆に言わせるだけ言わせ、次の話題に移ると言う手法で、問題点の概要を炙り出した所で、悪く言えば問題点を煽り立てて番組を終了した。

勿論NHKのこのやり方は公共放送の限度を示すものだろうし、民放では取り扱わないことを取り上げた意味は大きいと思う。

その内容も問題の深刻さから議論百出で、紹介など出来ないし、これを見られた方も多いと思うので、私の感想だけ書く。

<<NHK好みの人選>>
出席者の中で、森永さん、金子さん、香山さんは多くのテレビに出ているNHK好みの理論家だ。
その対極の立場にいる他の三氏は、テレビの露出度の少ない人達で、自分の体験中心の発言で、体験の範囲ではポイントは突いているが、(例えば地方では仕事が少ないという一般の人の発言にそれなら東京に出てくればいいと言う、地域格差も当然と言わんばかりの答えるなど)発言のバランスを欠いていた。
当然予想していたように、議論は森永さん、金子さん中心で進んだ。

疑い深い私は、出席者を最初に見て、NHKが番組をどう持って行こうとしているか言う意図を何となく感じた。
勿論、それは私の勘繰りだ。

<<表面の現象だけの討論>>
2.NHKのこの種の番組の特徴で問題の表面だけを取り上げて、その基本的な問題点を取り上げないので、議論が空回りに終わって。

例えば、
(1)会社のリストラや終身雇用の崩壊正社員と非正規社員との格差拡大の原因として、バルブの崩壊だけ言っていたが、正確に言えばバルブ崩壊と超低賃金の中国の台頭→日本の競争力の低下という深刻な問題が議論が完全に抜けていた。

(2)出席者から提起されていた問題の多くは、その属する団体や企業の経営者の資質や考え方に大きな関係があるのにその議論が殆どなかった。
従ってその個人の体験が全体の問題として議論されるのだ。

私は問題の根源の一つは、詰め込み勉強で有名大学に入り、大きな会社に入ってその業務を素早く理解し、そつなくこなした人がトップに登り、バルブの波にうまく乗ったまでは良いが、バルブの崩壊、中国の台頭と言う日本で始めての現象にぶつかり、今まで吸収してきて知識や経験で処理しきれずに、米国流のやり方を得意の学習し、そのまま応用してのリストラや、派遣社員の採用下請けの締めつけ など安易な経費の削減に走ったのが各種の問題を引き起こしたと思う。

<<従業員管理の放棄>>
3.長時間労働について出席者からその「その問題より先に、残業代を払って貰いたい」  と言う発言があった時に一斉に笑い声が起こった。
勿論、同感の笑いだ。

彼の発言は物事の本質を突いている。
サービス残業をさせる事は、、森永さんの言うような国の法律違反するだけでなく、労働時間の管理を中心とする従業員管理を放棄することだ。

その結果は経費節減のための合理化の基本データである、従業員の活動状態の正確な把握が出来なくなる事を意味する。
バルブ崩壊後の中堅のホワイト・カラーの大量解雇は、それまでサービス残業をさせていた彼らの管理をおろそかにしたことを示している。

それと対照的なのはブルー・カラーの取り扱いだ。
労働組合の存在→確実な残業代支払い→合理化のための正確な労働時間の把握→労働時間の短縮検討→合理化→生産性の向上→競争力の向上
に繋がった事実を忘れてはいけない。

つまりサービス残業などさせていては、企業の競争力を却って落とす事になりかねないのだ。
その上、長時間労働による授業員の鬱病の発症、自殺などの発生は企業の評判を落とし、優秀な人材から敬遠される ことになりかねない。

<<今の若者の責任の考えたか>>
4. 「すぐ辞める新入社員!悪いのは会社?若者?」に関して大学生から「自分は学校で光り輝く人生を送るように教育されてきた。
それで私の入る会社も従業員の意志を尊重して光り輝くように育てるべきだ」と言った。

さすがに精神科医の香山さんが「そんな教育をする先生が間違っている」と言っていた。

企業は勿論、個々の従業員のためにあるのでなく、日本流に言えば、株主、経営者と従業員の為にあるのだ。

その大学生の真面目そうな顔を見て、戦後教育の権利重視、責任軽視の教育から生まれた責任は他に問うものだで自分が負うものでない と言う考え方が、ここまで日本にはびこっていのかと知って溜め息が出た。

<<成果主義>>
 5.成果主義の問題で森永さんが、米国の例を上げて企業で出世する人は、上司におべっかを使い、自分の責任を部下に押しつけ、部下の功績を横取りする人だと言ったとき、思わず笑ってしまった。

彼の言うのはまさに私が出向していた会社の状況そっくりだったからだ。
私が海外に長期出張していたとき、アパートで同居していた若い人に、同社で活躍している何人かの人を褒めると、必ず「あんな人とは二度と一緒に働きたくない」と言う答えが返ってきたことが何回もあっとことを思い出したからだ。

日本は今までチーム・ワークで発展してきた。
業務の業態により違い、また従業員の意識の変化もあるが、下積みに徹して確実に仕事をこなす人も、それなりの評価をしてやらなければ、企業の健全な発展は望めないと思う。

それをうまくやれるか否かが、成果主義の成否を決めることになると思う。
問題はそれをうまく出来る経営者が何人いるだろうか。

金子さんがこれに関連してホワイト・カラー・エクゼプションを参院選ご政府が考えているだろうと警告していた。
私もそんな法律がもし通ったら、派遣労働法→格差社会の発生のように、私が出向していた成果中心主義の会社のように、頭の悪い経営者がそれをどのように、イージー・ゴーイングに運用するかを心配している。

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