かつて「ビクトリア・ベッカムのライバル」と評されたソフィーは意外なことに歌詞も書けた。
簡潔だったがはっとさせる表現もあって、エドはすぐにメロディをつけた。
あっという間にCD2枚分の曲が出来上がった。
エドはレコーディングのあとに行なうであろうコンサートツアーの構成も頭に置きながら、バックミュージシャンを集め始めた。
ギターはライブの盛り上がりに定評がある中堅バンドから、いつも全力演奏のシートン。
ドラムスはスタジオで知り合った寡黙なセッション・ミュージシャンのフィル。
ベースはソフィーの夫で、やはりあまり売れていない別の中堅バンドを組んでいるリッチ。
エド自身もキーボードで参加し、さらに音に厚みを加えるためにと妻とその妹の二人をバイオリンとコーラスで加えた。
普段からミニスカートがステージ衣装の彼女たちだから、ツアーのステージではきっと彩りになるだろう。
エドはジャケット写真撮影のため旧知の敏腕カメラマンに連絡し、ビデオクリップの絵コンテを書き、セット作りにも口をはさんだ。
さらにソフィーの衣裳も、専属のスタイリストをつけてセクシーでややチープなディスコクイーンから、クラシカルで知的なファーストクラスのレディへとイメージを改めさせた。
7人の中に2組の夫婦がいるという特殊な構成にもかかわらず、すべてが順調に運んだ。
アルバムはリリースされると全英4位までチャートを駆け上がり、その後もロングセラーとなって、ソフィーのキャリアで最大のセールスを記録した。
(つづく)
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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