リバプール生まれの歌手シラ・ブラック(1943年生―2015年没)はリンゴ・スターの幼友達。
大の歌好きで、タイピストとして働きながらキャバーン・クラブのクローク係を務めたり、(のちにビートルズのマネージャーになる)ブライアン・エプスタインが経営するレコード店に通い詰めては試聴だけしてレパートリーを増やしていたという。
キャバーン・クラブではリンゴがドラマーとして在籍していた人気バンド、ロリー&ハリケーンズや初期ビートルズのステージに上げてもらい、歌声を披露することもあった。
その後、エプスタインと契約を結び、レノン/マッカートニー作の「ラブ・オブ・ザ・ラブド」でレコードデビュー、紆余曲折を経ながらも「ビートルズの妹分」という肩書から脱却して人気歌手となって行った。
2014年に製作された映画「シラ」にはロリー&ハリケーンズをバックに歌う「ア・ショット・オブ・リズム&ブルース」やビートルズとの「ボーイズ」の再現シーンもあって、かなり楽しい。
「ボーイズ」は黒人女性ボーカルグループ、シュレルズの、というかゴフィン/キング作の「ウィル・ユー・ラブ・ミー・トゥモロー」のシングルB面曲。
当時のリバプールのバンドはカバーする曲を熱心に探し、そのセンスを競い合ったと言われている。
「ボーイズ」の作者ルーサー・ディクソンは、同じくビートルズがデビューアルバムで取り上げたシュレルズの「ベイビー・イッツ・ユー」にも、名ソングライターチーム、バカラック/デヴィッドとともに共作者としてクレジットされている。
途中から駆け付けるボーイフレンドの高揚感がよく伝わってくる。ドラマーはまだピート・ベスト(役)。
本人が歌う「ラブ・オブ・ザ・ラブド」(1963年)