電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

今年、印象的だったもの

2006年12月31日 17時40分41秒 | Weblog
今年楽しんだ音楽、書籍、映画などで、特に印象的だったものをあげてみます。

(1)山響、そして室内楽。山響の演奏会には、条件が許す限りせっせと通いました。今年はテレビでも放映され、県外でも少しは知名度が上がったかな?オーケストラとしての活動のほか、団員の方々を中心に、室内楽の活動が活発です。パストラーレ室内合奏団によるベートーヴェンの「七重奏曲」など、ほんとに楽しかったし、メンバーの方からお葉書などを頂戴して、ありがたかった。テルサ・ホールと文翔館は好きですが、県民会館はどうも・・・。来年は、山形弦楽四重奏団の演奏会にも行きたいと願っております。

(2)音楽CDを相変わらず購入しましたが、CD店からクラシックがどんどん後退しているのが悲しい。ネットショップ栄えて地方の店舗はすたれてしまうのでしょうか。今までロングテールをになっていた小規模店舗が、フラット化の大波に飲み込まれていくようです。印象的なのはエルガー作品を知ったこと。

(3)劇場で映画を見ました。『武士の一分』『バルトの楽園』が印象的でした。同日に『ミッション・インポシブルIII』も見たはずだが、どんな映画だったか内容を思い出せない。もう忘れてしまいました。

(4)たくさん本を読みました。ディケンズ作品とともにインパクトがあったのは、やはりフリードマン『フラット化する世界』(上下巻)でしょうか。今年最大の収穫だったような。あとは、平岩弓枝さんの本を読んでいる途中で、どうしても急カーブを切りたくなり、いきなり読み始めたデュマ『モンテ・クリスト伯』。なんと10回を越える連載になっておりますが、コメント・トラックバックが来ないという点からも、ほとんど自己満足の世界となっております。でも、いいのです。ブログの世界でも、誰もやらないことをやることに意味があるのですから(^o^)/
ちなみに、今年の備忘録から、自作スクリプトで読了書籍一覧を調べると、

>awk -f book.awk memo2006.txt
2006/01/01 吉田司『宮沢賢治殺人事件』読了

2006/12/27 酒見賢一『墨攻』を読了
以上、76 件
でした。

(5)展覧会では、仙台市文学館の「藤沢周平の世界展」を見に行きました。作家の日常を実際に目にするようで、見ごたえがありました。また、妻と二人で鶴岡にも足を運び、秋の楽しい一日となりました。

(6)のんびりした旅行らしい旅行はぜんぜんできませんでした。でも、子どもが大学に合格し、入学を契機に東京小旅行を楽しみましたし、甥の結婚式でまた東京へ旅行するも、電車が大きく遅延するなど、ハプニングもありました。

(7)古いデスクトップ・パソコンを2台処分し、なおかつ液晶ディスプレイを更新しました。部屋も広くなりましたが、17インチの広々とした画面は、たいへん見やすく便利です。Windows の新版の声も聞きますが、むしろ Linux 用の新規マシンに心がときめきます。でも、実際は十年乗った車の更新のほうが先でした。

(8)ブログ更新を続けて二年経過し、三年目に入りました。テキスト備忘録も、ときどき忘れていましたので、今年の分のWeblog記事を参照してデータを追補。こうしてみると、いただいたコメントやトラックバックの総数に驚きます。ありがたいことです。事情で更新できなくなる方もおられますが、それは仕方のないこと。現実には、転勤・転職等の事情で周囲の方々と疎遠になってしまうケースも少なくありません。でも、デジタル通信ネットワーク上では、地理的な制約を越えて、きっとまたどこかでお会いできることでしょう。

写真は今日の当地の空です。干柿が田舎の風情を出していると思います。
みなさま、どうぞ良い新年をお迎えください。
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モーツァルト「ピアノソナタ イ短調 KV.310」を聞く

2006年12月31日 06時47分13秒 | -独奏曲
昨日、餅つきも終わってほっと一息。年末の慌ただしさも一段落し、モーツァルトのピアノソナタを聞いています。マリア・ジョアオ・ピリスのピアノで、1974年1月~2月にかけてデジタル録音された日本コロムビアのCD(COCO-6790)です。

「トルコ行進曲つき」とよばれる作品(イ長調、KV.331)ならば、私の中学生当時、音楽の「文部省指定鑑賞曲」でした。さすがに高校入試では音楽が試験科目ではなくなっておりましたが、定期試験では「ミファミソーソ レミレファーファ」と階名唱が課題になり、音符とにらめっこした記憶があります(^_^;)>poripori
でも、実はお気に入りはその少し前の、KV.310というケッヘル番号を持つイ短調のソナタ。

第1楽章、アレグロ・マエストーソ。maestoso(荘重に) と指定された楽章ですが、荘重というよりはつんのめるような緊迫感を感じさせる音楽、といったほうが適切なように感じます。
第2楽章、アンダンテ、カンタービレ・コン・エスプレッシオーネ。表情豊かに歌うように、という意味でしょうか。コロコロ駆け回るモーツァルトではない、誰に訴えたらよいのかわからない悲哀を、ストレートに、しかし美しく歌います。
第3楽章、プレスト。再び速いテンポでめまぐるしく駆け回る音楽です。

ピアニストのマリア・ジョアオ・ピリスは、この録音当時はほんとに若かった。ボーイッシュな感じの、キュートなお嬢さんでした。デンオンのデジタル録音の最初期、東京イイノホールで行われた録音は、彼女の清潔な演奏とともに、当時絶賛されたものでした。今から考えると、ほとんど手作りに近いD/Aコンバータを用いたデジタル化であり、比喩的に言えば、PC8001を使って音声信号処理をするようなものでしょう。それにしては、スタインウェイの響きをよくとらえていることと感心させられます。倍音成分を多く含む弦楽器とは異なり、ピアノの場合は初期デジタル録音でも、けっこうメリットがあったということでしょう。

このソナタの番号ですが、The Classics 1300 というシリーズの中の一枚として1990年に発売された本CDでは、磯山雅氏が担当した解説でも、「第9番」と表示されています。しかし、Linux 上で CDDA データベースを検索すると「第8番」と表示されますし、Wikipedia でも「第8番」として解説されています。International Music Score Library Project (IMSLP*) から入手した楽譜では、Sonata XVIと表示されています。このへんは、なにか音楽学的な理由で、新旧の番号の移動があるのでしょうか。

参考までに、演奏データを示します。
■マリア・ジョアオ・ピリス盤
I=5'27" II=6'55" III=2'41" total=15"01"

(*):IMSLP~International Music Score Library Project~ Main Page (英文)
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