電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ベートーヴェンの「ピアノソナタ第15番」を聴く

2010年08月18日 06時05分39秒 | -独奏曲
ベートーヴェンのピアノソナタの中で、第13番Op.27-1(*1)、第14番Op.27-2(*2)、第15番Op.28の3曲は、ほぼ同時期に発表されたもののようです。ところが、その性格はかなり違いがあるように感じます。第14番が例の「月光」などという愛称を持っているだけでなく、第13番とともに幻想曲風の性格を持つなど、ピアノソナタとしてはやや実験的なのかもしれません。この第15番のほうは、実験的な性格は持ちながらも、むしろ落ち着いた気分が特徴的で、交響曲と誤解されそうな「田園」という愛称を持っているのだとか。全曲を繰り返し聴いて楽しむ分には、むしろ「月光」よりもバランスの取れたチャーミングさが感じられます。

第1楽章:アレグロ、ニ長調、4分の3拍子。静かに始まり、しっかりした低音の反復の上に、右手がけっこう自由に歌います。でも、主題がしっかりと印象を残します。
第2楽章:アンダンテ、ニ短調、4分の2拍子。明暗のコントラストでしょうか、思い悩みながら歩いている印象が、途中でかわいい小動物でも見たかのように明るく一転します。再び繰り返しますが、こんどは前とは少し違ったふうに変奏され、静かに閉じられます。
第3楽章:スケルツォ、アレグロ・ヴィヴァーチェ、ニ長調、4分の3拍子。やや幻想的な要素を残した、不思議なスケルツォです。
第4楽章:ロンド、アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ニ長調、8分の6拍子。前の楽章から引き続くような雰囲気の始まりですが、途中から違った印象に。幻想は形式の中に取り込まれ、かっちりしたソナタの風貌が見えてきます。

愛用するパソコンの音楽再生ソフト RhythmBox の再生回数の記録は、通算ですでに40回を超えております。繰り返し聴くほどに味のある曲、演奏です。

演奏は、ブルーノ・レオナルド・ゲルバー。1987年10月に、パリのノートルダム・デュ・リパン教会でデジタル録音されたもので、制作は馬場敬、録音担当はピーター・ヴィルモース。DENON 33CO-2539 という型番の正規盤です。

参考までに、演奏データを示します。
■ゲルバー盤
I=9'29" II=7'31" III=2'17" IV=4'58" total=24'15"

(*1):ベートーヴェンの「ピアノソナタ第13番」を聴く~「電網郊外散歩道」
(*2):ベートーヴェンの「ピアノソナタ第14番」を聴く~「電網郊外散歩道」
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