全部で35巻というボリュームを費やして一児の親となった坂崎磐音・おこん夫妻は、紀伊国の隠れ里・姥捨郷で、雑賀衆と高野山のつながりに守られ、ひっそりと隠棲しています。佐伯泰英著『紀伊ノ変~居眠り磐音江戸双紙(36)』は、二人を追う田沼の刺客として歴代もっとも登場巻数の多い存在になりつつある雹田平という怪しげな異人がどのように絡んでくるのか、また紀州藩と磐音のつながりがどのように深まるのか、という巻です。
第1章:「田沼の影」。坂崎磐音・おこん夫妻に長男が誕生し、空也と名づけられます。霧子さんはずいぶん辛口になり、利次郎もタジタジのようです。雑賀衆は、お得意の情報収集能力だけでなく、磐音に依頼して武術のレベルアップも図りますが、経済的基盤になっている丹の採掘について、幕府が横槍を入れてきます。もちろん、田沼意次の差し金であり、ここに姥捨雑賀衆+真言密教高野山+紀州藩の共闘の基盤が生まれますが、これを実現するための道のりは平坦ではありません。
第2章:「煙管と梅」。和歌山藩の内部は二派に分かれており、本来は紀州の家臣であるはずの田沼意次が成り上がり、自藩の主君を軽んじるのを快く思わない門閥派と、田沼の力を頼ろうとする江戸開明派とが、隠れて争っているようなのです。高野山で藩との窓口となっている光然老師は、磐音を護衛として伴い、粉河寺で会談を行います。共闘の行方はまだ不明で、むしろ強烈な刺客の印象が鮮烈です。
第3章:「柳次郎の悩み」。一方、江戸ではサッパリ良いことがありません。南町奉行所の知恵者与力・笹塚孫一は無役に落とされ、磐音とおこんが仲人をする予定だった品川柳次郎と椎葉お有の婚儀は頓挫しています。笹塚孫一に届いた書状は柳次郎宛で、しかるべき人に媒酌を依頼し、祝言を挙げられたし、との内容でした。今津屋の由蔵の知恵で媒酌人が決まります。一方、紀州では、幕府の丹会所設立を阻止すべく会議が続きます。丹の問題は、姥捨の雑賀衆が一定の量を藩に上納することでまとまりますが、もう一つの問題とは、家基急死後の養子候補に、紀州の若殿を送り込むことについての紛糾でした。うん、この先は、なんとなく読めそう(^o^)/
第4章:「雹の迷い」。名古屋までは確実に追跡していた磐音とおこんの姿が忽然と消えてしまい、雹田平は京都茶屋本家を辛抱強く見張ります。一方、江戸では、御典医の桂川国端と品川柳次郎が椎葉家を訪ね、柳次郎とお有の婚儀の日取りを決め、着々と準備が進みます。雹田平は、何やら透視術を得意とするようなのですが、これは神社仏閣では遮られて透視できないのだとか。はあ、そんなもんですか。では、キリスト教の教会やイスラム教のモスクなどは透視できるんでしょうか?でもまあ、おぼろな影を和歌山領内と認識したのですから、GPS なみに有効なのかも(^o^)/
和歌山領内には、配下のおつなと田沼が差し向けた刺客の梅津与三郎が向けられます。
第5章:「家基の面影」。品川柳次郎と椎葉お有の祝言です。目出度いことには竹村武左衛門のお笑いが欠かせません。例によってにぎやかですが、幸吉・おそめの修行時代もほほえましい。和歌山藩と高野山粉河寺と雑賀衆姥捨郷との同盟が成立、和歌山藩の岩千代君は国元に残ることで決着します。紀州の若様は、たいそう聡明な少年のようです。おつなと刺客の襲撃の結果は毎度の如しですが、江戸での柳次郎・お有の祝言の宵は、美しく幻想的です。
いや~、実に目出度い(^o^)/
第1章:「田沼の影」。坂崎磐音・おこん夫妻に長男が誕生し、空也と名づけられます。霧子さんはずいぶん辛口になり、利次郎もタジタジのようです。雑賀衆は、お得意の情報収集能力だけでなく、磐音に依頼して武術のレベルアップも図りますが、経済的基盤になっている丹の採掘について、幕府が横槍を入れてきます。もちろん、田沼意次の差し金であり、ここに姥捨雑賀衆+真言密教高野山+紀州藩の共闘の基盤が生まれますが、これを実現するための道のりは平坦ではありません。
第2章:「煙管と梅」。和歌山藩の内部は二派に分かれており、本来は紀州の家臣であるはずの田沼意次が成り上がり、自藩の主君を軽んじるのを快く思わない門閥派と、田沼の力を頼ろうとする江戸開明派とが、隠れて争っているようなのです。高野山で藩との窓口となっている光然老師は、磐音を護衛として伴い、粉河寺で会談を行います。共闘の行方はまだ不明で、むしろ強烈な刺客の印象が鮮烈です。
第3章:「柳次郎の悩み」。一方、江戸ではサッパリ良いことがありません。南町奉行所の知恵者与力・笹塚孫一は無役に落とされ、磐音とおこんが仲人をする予定だった品川柳次郎と椎葉お有の婚儀は頓挫しています。笹塚孫一に届いた書状は柳次郎宛で、しかるべき人に媒酌を依頼し、祝言を挙げられたし、との内容でした。今津屋の由蔵の知恵で媒酌人が決まります。一方、紀州では、幕府の丹会所設立を阻止すべく会議が続きます。丹の問題は、姥捨の雑賀衆が一定の量を藩に上納することでまとまりますが、もう一つの問題とは、家基急死後の養子候補に、紀州の若殿を送り込むことについての紛糾でした。うん、この先は、なんとなく読めそう(^o^)/
第4章:「雹の迷い」。名古屋までは確実に追跡していた磐音とおこんの姿が忽然と消えてしまい、雹田平は京都茶屋本家を辛抱強く見張ります。一方、江戸では、御典医の桂川国端と品川柳次郎が椎葉家を訪ね、柳次郎とお有の婚儀の日取りを決め、着々と準備が進みます。雹田平は、何やら透視術を得意とするようなのですが、これは神社仏閣では遮られて透視できないのだとか。はあ、そんなもんですか。では、キリスト教の教会やイスラム教のモスクなどは透視できるんでしょうか?でもまあ、おぼろな影を和歌山領内と認識したのですから、GPS なみに有効なのかも(^o^)/
和歌山領内には、配下のおつなと田沼が差し向けた刺客の梅津与三郎が向けられます。
第5章:「家基の面影」。品川柳次郎と椎葉お有の祝言です。目出度いことには竹村武左衛門のお笑いが欠かせません。例によってにぎやかですが、幸吉・おそめの修行時代もほほえましい。和歌山藩と高野山粉河寺と雑賀衆姥捨郷との同盟が成立、和歌山藩の岩千代君は国元に残ることで決着します。紀州の若様は、たいそう聡明な少年のようです。おつなと刺客の襲撃の結果は毎度の如しですが、江戸での柳次郎・お有の祝言の宵は、美しく幻想的です。
北割下水の水面に提灯の灯りを映した花嫁行列が、ゆったりと品川家に近づいてくるのが見えた。
さすがの武左衛門も黙り込むほどに、幻想的で美しい花嫁行列だった。
「柳次郎、喜べ。お有どのがそなたのもとに嫁に来たぞ!」
と叫んだ武左衛門の喜びの声が品川家の門前に響き渡り、柳次郎とお有の祝言が始まった。
いや~、実に目出度い(^o^)/