電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

類似性と独自性

2011年08月23日 06時03分20秒 | クラシック音楽
何かをパッと見たり聞いたりしたとき、別の何かと、どこかしら似たところがあるときには、私たちはすぐそれに気がつきます。それまでの自分の経験の中からサーチして、似ている要素を探し出せばよいのですから、比較的楽なのかもしれません。

ところが、誰のものでもない、その人の独自性というのは、必ずしもパッと見て(聞いて)すぐに感じ取れるとは限りません。むしろ、何度か見た(聴いた)段階で、このへんが独自の良さかもしれないなぁと感じてきて、そうして少しずつ理解も進んでくるように思います。

私のような、キャリアだけは長いけれども、本質的には素人音楽愛好家にとって、例えば初期のベートーヴェンに初めて接したときなど、はじめは古典派の先輩たちとの共通性や類似の要素を感じますが、しだいに若いベートーヴェンらしい、溌剌とした活力や、緩徐楽章にあらわれる、レガートな叙情性などの独自の魅力に気づくようになる、みたいなものです。

同様のことは、私たちの身の回りにも少なくないのでは。少し辛抱強く接してみると、独自の良さや持ち味を発揮している人が、けっこうおられるような気がします。第一印象の大切さを大事にしながらも、じっくり接してみることで、ようやくわかってくるものがあると感じます。

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