よく晴れた休日、早朝まだ涼しいうちに果樹園に出て作業をした後、大汗をかいてシャワーを浴びて朝食。食後の休憩の際の音楽タイムは、至福の時間です。今回は、「クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~」(*1)で紹介されていたオーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団によるベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」の mp3 形式のファイルをダウンロードして、じっくりと聴きました。
実は、この録音については若い頃から興味を持っておりました。1970年のCBS-SONYのカタログにおける、ユージン・オーマンディの位置づけについてです。このレコードカタログにおける指揮者別の掲載順とタイトル数は、次のようになっています。
ご覧のとおり、二枚看板が現役のバーンスタインと故ワルターで、来日予定のセルとブーレーズが強力にプッシュされているといったところでしょうか。
ここで、オーマンディとフィラデルフィア管の3タイトルというのは、
というものです。
はて、オーマンディとフィラデルフィア管といえば、かつてはベートーヴェンの交響曲全集もまとめ、米コロムビアのドル箱の一つだったのではないか。あの膨大な録音はいったいどこへ行ったのか? と探して見ると、案の定、二枚組2,500円というWシリーズとして、様々な組み合わせで展開されておりました。カタログで見るその数は、なんと42タイトル!
例えばこのベートーヴェン「英雄」は、チャイコフスキー「悲愴」、ベートーヴェン「田園」、ドヴォルザーク「新世界から」、ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番"皇帝"」と組み合わされて、計4種類のタイトルを構成しています。レコード会社の担当者にしてみれば、ネームバリューが商業的に便利であるだけでなく、内容的にもイチ押しの演奏だったのではないか。
CBS-SONYで、オーマンディがなぜ冷たい扱いを受けたのかは、想像をたくましくするしかありませんが、後の同社とカラヤンとの結びつきの強さを思う時、あの「絶対に許さない」と誓った(*2)カラヤンの影響力をつい連想してしまいましたが、年代的に食い違うみたい。どうやらワタクシの邪推のようです(^o^;)>poripori
でも、この演奏! 冒頭の充実した出だしといい、ゆったりとしたテンポで堂々と展開される、見事な「エロイカ」ではないですか! 第3楽章のホルンの響き等、実に見事です。たしかに、私の好きなジョージ・セルとクリーヴランド管による、きりりと引き締まって緊張感に満ちた演奏とは方向性が違いますが、当時の主流派だった「悠然たるテンポに基づく堂々たる英雄」の姿をよく表している演奏だと思います。忘れ去られるには惜しい、立派な説得力のあるものだと感じます。
私の場合、ジョージ・セルの他には、古楽の影響を受けた、速いテンポで活気あふれる演奏を好んで聴いていますが、でもこうしたオーソドックスな表現の魅力も充分に感じられます。誰が何と評しようと、いい演奏だと思います。
(*1):ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」~「クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~」
(*2):カール・ライスターの「一番印象深かった録音」~「電網郊外散歩道」2005年5月
※文中の一部を訂正しました。(2016/07/25)
実は、この録音については若い頃から興味を持っておりました。1970年のCBS-SONYのカタログにおける、ユージン・オーマンディの位置づけについてです。このレコードカタログにおける指揮者別の掲載順とタイトル数は、次のようになっています。
- レナード・バーンスタイン 47タイトル
- ジョージ・セル 35
- ピエール・ブーレーズ 11
- ロバート・クラフト 1
- ブルーノ・ワルター 48
- ユージン・オーマンディ 3
- クラウディオ・シモーネ他 4
ご覧のとおり、二枚看板が現役のバーンスタインと故ワルターで、来日予定のセルとブーレーズが強力にプッシュされているといったところでしょうか。
ここで、オーマンディとフィラデルフィア管の3タイトルというのは、
- ベートーヴェン オラトリオ「橄欖(かんらん)山上のキリスト」
- ブルックナー 交響曲第5番(原典版)、テ・デウム
- ムソルグスキー 「展覧会の絵」「はげ山の一夜」
というものです。
はて、オーマンディとフィラデルフィア管といえば、かつてはベートーヴェンの交響曲全集もまとめ、米コロムビアのドル箱の一つだったのではないか。あの膨大な録音はいったいどこへ行ったのか? と探して見ると、案の定、二枚組2,500円というWシリーズとして、様々な組み合わせで展開されておりました。カタログで見るその数は、なんと42タイトル!
例えばこのベートーヴェン「英雄」は、チャイコフスキー「悲愴」、ベートーヴェン「田園」、ドヴォルザーク「新世界から」、ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番"皇帝"」と組み合わされて、計4種類のタイトルを構成しています。レコード会社の担当者にしてみれば、ネームバリューが商業的に便利であるだけでなく、内容的にもイチ押しの演奏だったのではないか。
CBS-SONYで、オーマンディがなぜ冷たい扱いを受けたのかは、想像をたくましくするしかありませんが、後の同社とカラヤンとの結びつきの強さを思う時、あの「絶対に許さない」と誓った(*2)カラヤンの影響力をつい連想してしまいましたが、年代的に食い違うみたい。どうやらワタクシの邪推のようです(^o^;)>poripori
でも、この演奏! 冒頭の充実した出だしといい、ゆったりとしたテンポで堂々と展開される、見事な「エロイカ」ではないですか! 第3楽章のホルンの響き等、実に見事です。たしかに、私の好きなジョージ・セルとクリーヴランド管による、きりりと引き締まって緊張感に満ちた演奏とは方向性が違いますが、当時の主流派だった「悠然たるテンポに基づく堂々たる英雄」の姿をよく表している演奏だと思います。忘れ去られるには惜しい、立派な説得力のあるものだと感じます。
私の場合、ジョージ・セルの他には、古楽の影響を受けた、速いテンポで活気あふれる演奏を好んで聴いていますが、でもこうしたオーソドックスな表現の魅力も充分に感じられます。誰が何と評しようと、いい演奏だと思います。
(*1):ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」~「クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~」
(*2):カール・ライスターの「一番印象深かった録音」~「電網郊外散歩道」2005年5月
※文中の一部を訂正しました。(2016/07/25)