集英社刊の単行本で、今村翔吾著『塞王の楯』を読みました。昨年、2022年の1月に第166回直木賞を受賞した作品です。実はほぼ1年前の4月に購入(*1)したまま積読していたもので、このたび一気に読み終えたものです。
織田信長の猛攻に遭い、朝倉家の一乗谷城が陥落し、父母と幼い妹を失った主人公の匡介は、穴太衆飛田屋の頭で塞王の異名をとる飛田源斎に助けられ、特異な才能を育てられます。穴太衆というのは、安土桃山時代に活躍した石工の集団で、寺院や城郭などの石垣づくりを行った技術者の集団だそうです。ドラマは匡介が源斎の後継として「絶対に破られない石垣」を作ることで戦乱を終わらせようとし、ライバルである鉄砲職人集団の国友衆の後継者、國友彦九郎は逆に「どんな城をも落とす鉄砲」を開発しようとしています。
矛と盾の矛盾をドラマの対立軸に置き、その解決をクライマックスに据える手法は「弁証法的作劇術」とでも言えましょうか。舞台となる大津城主の京極高次とその妻・初の人物造形が面白いです。城の石垣を造る石積みの描写がたいへん興味深く、久々に面白い本を読みました。
(*1): 最近、購入した本は〜「電網郊外散歩道」2022年4月
織田信長の猛攻に遭い、朝倉家の一乗谷城が陥落し、父母と幼い妹を失った主人公の匡介は、穴太衆飛田屋の頭で塞王の異名をとる飛田源斎に助けられ、特異な才能を育てられます。穴太衆というのは、安土桃山時代に活躍した石工の集団で、寺院や城郭などの石垣づくりを行った技術者の集団だそうです。ドラマは匡介が源斎の後継として「絶対に破られない石垣」を作ることで戦乱を終わらせようとし、ライバルである鉄砲職人集団の国友衆の後継者、國友彦九郎は逆に「どんな城をも落とす鉄砲」を開発しようとしています。
矛と盾の矛盾をドラマの対立軸に置き、その解決をクライマックスに据える手法は「弁証法的作劇術」とでも言えましょうか。舞台となる大津城主の京極高次とその妻・初の人物造形が面白いです。城の石垣を造る石積みの描写がたいへん興味深く、久々に面白い本を読みました。
(*1): 最近、購入した本は〜「電網郊外散歩道」2022年4月
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