地元の新聞で紹介された小松原 織香さんのこの書籍『当事者は嘘をつく』を近くの書店で求めたらすでに売り切れだった。在庫は多くはなかったのかもしれない。ネットで調べてみたらとてもいい書評があった。書評サイトがあって、読んでいたら、なぜかわかったような気になって、買い求めたくなったり、逆にもう買うことはないや、と思ったりする。最近は社会なり彼方の事象が目まぐるしくて、ネットのSNSに首ったけである。
以倉紘平さんの優れた詩とエッセイ集『わが夜学生』も90%読み終えた所で、感想を手紙に書いて送ろうと思いつつ、平家物語のところで止まったままだった。『平家物語』の著名な研究者でもある詩人のエッセイは、詩だけではなく、じーんと心にしみてきた。冒頭の「大阪弁ーたくらみの言葉」や「《〈淀川〉の背後ーー附清水正一)にまず驚いた。エッセイの深い味わい、ことばの妙味はこんな風なんだと、若い頃読んだ小林秀雄の文章を思い出したりしていた。と言っても「人間になりつつある動物」のようなフレーズが浮かぶだけで、心ももとない。エッセイの極意があるのだ。
『当事者は嘘をつく』の感銘を受けた書評は以下のサイトです。やはりこの書はぜひ読まなければと思いつつのご紹介~。
以下は小松原さんの博論の要旨です。それもとても理論的に深められている中身で、新しい独創的な知の領域に踏み込んでいるようです。昨今性暴力の問題がメディアやSNSでも話題になっています。人間の属性としての暴力、慣習ではないと思いたいが、現に紀元前の神話やギリシャの文芸作品から現代に至るまでリアルな歴史として性暴力が滔々と人類史の中に位置を占め、現在まで続いています。被害者の痛み、トラウマなどはいかに溶解し、赦しへと向かうのだろうか、赦せるのだろうか。
論 文 名 性暴力被害者にとっての対話の意義 ―Restorative Justice(修復的司法)の実践を手がかりに― 小松原 織香
博士論文の要旨ですが、すごいですね。