長崎原爆記念日の8月9日、沖縄の新聞にいい文芸記事が掲載された!紙面は簡潔にその意義を短いコラムでまとめている。
「沖縄に対する植民地的差別と抑圧、米軍駐留問題など沖縄がおかれた権力構図の矛盾と不条理を批判し、文学的昇華を実践した」と評価されたという。朝鮮戦争以来北と南に分断されたままの朝鮮半島の亀裂や葛藤、不穏さは実際以前板門店
に足を踏み入れて以来、二度訪問したことのある、韓国の政情を鑑みるに、米軍基地の存在も含め、沖縄と類似するところは多いと感じているが、その韓国の国際文学賞を受賞した目取真俊さんの小説が、韓国語に翻訳され、高い評価を受けていることは、沖縄にとって、また日本の文芸界にとってもうれしいニュースである。
記事を読むと、目取真さんは明・清国の冊封体制にあった時代から現在に至る韓国(朝鮮半島)と沖縄の類似性を指摘している。その通りだと納得できる。つい最近も辺野古に韓国の平和運動を推進する団体が訪れたことが、目取真さんのブログで紹介されていた。
優れた韓国語の翻訳者に恵まれ、目取真さんの小説が読まれ、批評され、かなり問題意識の高い方々に、受容されていることは、東アジアの現在から未来に向けた友好の絆、国境を越えた深いメッセージでもある。
優れた作品はローカルでかつ世界文学としての価値を得ることになる。
地球市民として共有しあえる文芸作品の登場が、今後も沖縄からさらに増えることを念願したい。