東アジア共同体研究所(EACI) News Weeky Vol.035 「信州沖縄塾」】
================================
EACI News Weekly 第35号(9月4日号)
東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
http://eaci.or.jp/
================================
「いいね!」で、東アジア共同体研究所の最新情報をお届けします。
Facebook : http://www.facebook.com/east.asian.community.institute
================================
【目次】
【1】《今週のニュース 8/29-9/4》
政治(4)、経済(2)、国際(2)、社会(2)
【2】《UIチャンネル放送予告 No.118》
9月7日(月)20時「DR.平川の沖縄・アジア麺食い紀行」
http://live.nicovideo.jp/gate/lv233174561
【3】《EACIレポート》
9月5日(土)、6日(日)に法政大学市ヶ谷キャンパスにて沖縄映像祭 in Tokyo
http://www.bun-kei.jp/home/
【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「信州沖縄塾」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【1】《今週のニュース 8/29-9/4》
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【政治】
■安保法案:11日の採決断念 政府・与党、衆院再可決視野
(毎日新聞 2015.9.2)
http://mainichi.jp/select/news/20150902k0000m010143000c.html
■60日ルール使わず参院採決へ 安保法案で自公一致
(東京新聞 2015.9.2)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015090202000267.html
■元内閣法制局長官「安保法案は廃案しかない」
(NHK 2015.9.3)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150903/k10010215291000.html
■県議会、安保法案廃案求め意見書可決 賛成多数、自公は反対
(琉球新報2015.9.1)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-248178-storytopic-3.html
【経済】
■通貨危機再来説が見落とすアジアの進化
(ロイターコラム/政井貴子 2015.9.3)
http://jp.reuters.com/article/2015/09/03/column-takakomasai-idJPKCN0R20OR20150903?pageNumber=3
■IMF「中国は構造改革の継続を」 G20で報告へ
(日経新聞 2015.9.3)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM03H25_T00C15A9EAF000/
【国際】
■中国、兵力30万人削減表明 戦勝70年「覇権唱えず」
(朝日新聞 2015.9.3)
http://www.asahi.com/articles/ASH9335FVH93UHBI00C.html
■中国の軍事パレードを無視することは、なぜ愚かな間違いなのか
(ハフィントン・ポスト/秦コラム 2015.9.3)
http://www.huffingtonpost.jp/qin-xiaoying/china-commemoration-war-japan-in-japanse_b_8080392.html?utm_hp_ref=japan-world
【社会】
■辺野古 県の潜水調査始まる
(琉球朝日放送 2015.08.31)
http://www.qab.co.jp/news/2015083169975.html
■「新基地建設許さない」 市民ら官房長官に抗議
(琉球新報 2015.08.29)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-248065-storytopic-3.html
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【2】《UIチャンネル放送予告 No.118》
9月7日(月)20時「DR.平川の沖縄・アジア麺食い紀行」
http://live.nicovideo.jp/gate/lv233174561
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
9月7日(月)20時からの第118回UIチャンネル放送は、「Dr.平川の沖縄・アジア麺食い紀行」を沖縄よりお送り致します。
平川 宗隆氏(ひらかわ・むねたか)プロフィール
博士(学術)・獣医師・調理師・旅食人(がちまいたびんちゅ)。昭和20年8月23日生まれ。昭和44年日本獣医畜産大学獣医学科卒業。平成6年琉球大学大学院法学研究科修士課程修了。平成20年鹿児島大学大学院連合農学研究科後期博士課程修了。昭和44年琉球政府厚生局採用、昭和47年国際協力事業団・青年海外協力隊員としてインド国へ派遣(2年間)。昭和49年帰国後、沖縄県農林水産部畜産課、県立農業大学校、動物愛護センター所長、中央食肉衛生検査所々長等を歴任し、平成18年3月に定年退職。現在は公益社団法人沖縄県獣医師会会長、㈱サン食品 参与。
〈著書〉
『沖縄トイレ世替わり』ボーダーインク 2000年、『今日もあまはいくまはい』ボーダーインク 2001年等多数。
■《UIチャンネル放送予告 No.118》
9月7日(月)20時「DR.平川の沖縄・アジア麺食い紀行」
http://live.nicovideo.jp/gate/lv233174561
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【3】《EACIレポート》
9月5日(土)、6日(日)に法政大学市ヶ谷キャンパスにて沖縄映像祭 in Tokyo
http://www.bun-kei.jp/home/
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
琉球放送、沖縄テレビ、琉球朝日放送の民放3局とNHK沖縄放送局が制作したドキュメンタリーを一堂に揃えた「沖縄映像祭~終らない戦後~」が、9月5日、6日法政大学市ヶ谷キャンパスにて開催されることになりました。
沖縄は今、普天間基地問題で大きく揺れ動いていますが、今回上映される作品は、サブタイトルにもありますように、沖縄戦に始まり米軍統治時代を経て今なお続く基地の重圧をテーマに取り上げています。
ですが各作品とも沖縄の基地問題のみならず、憲法9条や日米安保、特定秘密保護法、教科書検定など沖縄のみならず、今日本全体で考えるべき問題をテーマに掲げています。
沖縄映像祭 in TOKYO 入場料無料
<1日目・9月5日(土) >
10:00-17:20 ◆作品上映 於:305、307教室
<2日目・9月6日(日) >
9:30-17:15 ◆作品上映 於:スカイホール、A会議室
詳しい上映内容についてはコチラから→http://www.bun-kei.jp/schedule2015/
15:45-17:15 ◆シンポジウム「普天間基地問題とメディア報道」於:スカイホール
パネラー
鳩山 由紀夫(東アジア共同体研究所理事長、元内閣総理大臣)
高野 孟(ジャーナリスト)
川村 湊(法政大学国際文化学部教授)
具志堅 勝也(文化経済フォーラム理事長・元琉球朝日放送 報道制作局長)
コーディネーター
緒方 修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター所長)
主催 NPO法人文化経済フォーラム
共催 法政大学沖縄文化研究所
協賛 「地方の時代」映像祭実行委員会
東アジア共同体研究所琉球・沖縄センター
後援 琉球放送、沖縄テレビ、NHK沖縄放送局、琉球朝日放送
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「信州沖縄塾」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
信州沖縄塾
長野県上田に3泊した。今回の目的は「沖縄映像祭 in UEDA ~終わらない戦後~」を見るためだ。主催は信州沖縄塾とNPO法人文化経済フォーラム(私も理事の一人)。8月29日~30日、長野大学の3教室で24作品が上映された。映像は琉球放送(TBS系)、沖縄テレビ(フジテレビ系)、NHK沖縄放送局、琉球朝日放送(朝日放送系)がこれまでに制作した番組。系列を超えてこれらの番組が勢ぞろいするのは沖縄のテレビ局以外ではありえない。2013年の年末に沖縄大学の教室で初めて開催、約一年後の2015年1月に名桜大学でも実現した。(この時の感想は沖縄ノートの第一回に記している)
沖縄映像祭を沖縄だけでなく東京でも開催したい。だいたいが沖縄の声がちゃんと本土には届いていない。現状を正しく伝えるべきメディアは怠慢。政府と一緒になって日米安保が大事だというなら米軍基地も公平に負担する、と主張したらどうだ。沖縄に押し付けて70年もそのままというのは人の道に反するだろう。つまり日本人は人ではない、といえば言い過ぎだが、ウチナーンチュの人の好さにつけこんでズルズルと現状固定を放置している。
沖縄のメディアは目の前の問題に取り組んできた。取り組まざるを得ない。日本の矛盾がここ沖縄に凝縮している。今回の映像祭に選ばれた番組を見るだけでちょっとは分かるのではないか。
とかんがえていたところへ信州沖縄塾からの開催の申し出があった。(続いて9月に法政大学、11月に金沢大学でも上映可能となった)
信州に沖縄塾があり、メンバーが約200人もいる!これはどういうことなのだろう。2週間前にはピーターカズニック、乗松聡子両氏を呼んで講演会を開催している。なにか途方もない企画実行力を持ったグループではないか。行って確かめるしかない。
沖縄映像祭のプロデューサー具志堅勝也氏(NPO文化経済フォーラム理事長)は過去に数回講演している。信州沖縄塾の塾長は伊波敏男氏。具志堅氏が制作した「花に逢はん~人としての尊厳を求めて~」(2011年QAB琉球朝日放送)で見たことがある。ハンセン病を患い全快。手足に後遺症が残った。自らの半世紀を振り返った作品だ。
伊波氏は14歳で隔離収容されたが、勉学のため沖縄愛楽園を逃げ出し、本土へ。米軍政下でハンセン病を隠してパスポート取得、たった一つの進学の道である岡山県立邑久(おく)高等学校新良田(にいらだ)教室で学んだ。ハンセン病療養所内にある高校だ。
曲がった足にメスを入れるなど5年間に12回の手術を繰り返した。高校を出た後は、差別と偏見の嵐が襲う。保育園への入園を断られ、父親の送り迎え禁止の条件付きで認められた。パートに入居すれば他の職員は全て退去、最初の奥さんは子供を連れて出て行った。7歳の息子が、これからお父さんのYシャツのボタンは誰が留めるの、と心配した。特効薬が出来、治りやすく感染性が少ない病気だと分かっても、まったく国の政策も変わらなければ社会の偏見も直らない。しかし父母や姉兄妹たちは伊波氏を見捨てなかった、家族が変わらないと社会は変わらない、水俣病もエイズも政治が隠蔽し、次々と少数の弱者を生み出してゆく、と指摘する。
番組の終盤はフィリピン同行取材。賠償金を活用して伊波基金を設立、フィリピンの医療看護学生のための奨学金を送っている。フィリピン国立大学レイテ分校での卒業式の模様、私が味わった苦悩を人には味わわせない、と語る。そしてハンセン病患者が隔離されていたクリオン島訪問。未来へのお手伝いをしたい、と少年のような笑顔を見せる。
8月10日に発行されたばかりの著書を頂いた。「父の三線と杏子の花」(人文書館)。
冒頭に、息子がハンセン病を発症したことを知った父が、仏間に招き入れ正座させ、三線を謡う場面が出て来る。「マコトカヤ・・ジチカ・・
(誠かや実か)とゆっくりと始まる散山(さんやま)節は、不測の事件にショックを受け吃驚して放心状態におかれた心境をうたったもの。もっとも難曲とされる。悲嘆や離別の歌。―webぼさ熊の琉球古典勉強中より―
息子は一生隔離され、再び会うことは、かなわないかもしれない。父は今生の別れの気持ちをこの歌に込めた。54歳の時に伊波氏はこの意味を知り、「胸が張り裂ける思いだった」
。この時、既に父は亡くなっていた。
*「想い」(うむい)という歌がある。「わがうむい知らんかやー」。金城恵子さんのヒット曲。そうとも知らずご本人の前でリクエストしたことがある。散山節の悲痛な響きと通じている。ハンセン病にかかった夫(恋人)に已む無く別れを告げる歌と聞いた。しかし伊波さんのエピソードを何かで知った人が私に曲名を間違って教えてくれたのかもしれない。
信州沖縄塾が沖縄にこだわっている理由については・・
―「沖縄」は、この国が背伸びや、安穏というパイを腹一杯に詰め込もうとしたとき、必ず、潮目の渦に投げ込まれてきた。その点からも「沖縄」は常に、この国が抱える矛盾の原点に位置してきた。矛盾が集中する地域には、また、未来を切り拓くキーワードが内包されているとも思える。―
ハズレの音?
伊波さんの家で手料理を頂いた。千曲川の鮎に栗おこわ、その他に山ほど。その前にナスのお焼と葡萄、梨を出して頂いたので全部は食べ切れなかった。
信州沖縄塾は、沖縄の与勝高校の女生徒3人がホームステイした時の会話から始まった。
―沖縄に帰る日の朝、一人の女の子が「二日間続けて風の音を聞いた」と言ったんです。
「はずれの音」を耳にした、と。―
伊波さんの説明に、私は、「外れ」をあてはめた、都会から外れた田舎の風の音?
一瞬後に「葉擦れ」と分かった。
彼女たちが朝一番に耳にするのはジェット機の爆音。キーンという耳をつんざく音!。(こちらが想像していたような)勝連半島にそよそよと海風が吹き渡る牧歌的な光景とは無縁だった。
16歳まで沖縄で過ごした伊波さんは、沖縄の痛みを忘れていたことを恥じた。そして7人の仲間と2004年8月に信州沖縄塾を立ち上げる。メンバーは7人。
誰でも参加できるが次の4つだけは問いかける。
あなたは「この国」の現状に異議を唱える人ですか?
あなたは「この国」の進路に危機感を持つ人ですか?
あなたは連帯して「この国」を変革することに賛意を持つ人ですか?
あなたは平和を守るために、自分ができることを探している人ですか?
その後は矢継ぎ早に講演やカンパ活動に移る。
建築家の真喜志好一氏を呼んで講演会「沖縄はもうだまされない」
辺野古の「ヘリ基地反対協議会」に15万円のカンパ。沖縄塾のマーク入りのカヌーを送る。
カヌーを率いる牧師・平良夏芽氏の講演「沖縄の痛み・平和をつくり出す」。
2005年には沖縄近現代史の勉強、家庭料理の講習。
2006年には第一回沖縄ツアー。
その後も毎年連続講座や映画「ひめゆり」上映など。
2010年には連続講座に続いて国際反戦デーに信濃毎日新聞に意見広告を掲載。
「この豊かな海を戦争のための基地にさせない」
一人一人に呼びかけ、賛同者4366人、賛同金の収入は514
8170円に達した。
2012年には第二回沖縄ツアー。
その後も辺野古・高江のドキュメンタリー映画上映、映画「ひまわり」上映、芝居、舞踊、絵本朗読、報告などなど。沖縄の市民運動の第一線に立つ人々とつながっている。
*約200人の会員中、ウチナーンチュは数人しかいない!
普天間基地問題とメディア報道―在京全国メディアは沖縄をどう伝えたか
伊波氏から紹介されて具志堅氏が登壇。
「(日本政府が)つぶしたいマスコミの代表です。」に笑いが起る。
「(放送局勤務の)35年間、いかにキー局を説得して沖縄のニュースを流すか、に懸命だった。沖縄国際大学へ米軍ヘリが墜落した時、テレビ朝日放送のデスクの指示は、死者がいますか、いなければ30秒でお願いします。交渉の末、1分30秒になった。地域協定も日米安保も全国メディアの頭にはない。その時の全国紙の扱いも球界のゴタゴタ(ナベツネ)とアテネオリンピックがトップ。読売、産経に至っては一面には記事なし。
在京メディアが大きく沖縄を取り上げたことはこれまで4回、95年に少女暴行事件、96年の返還合意、2010年の県外移設から辺野古回帰、2014年新基地建設承認などだ。しかし県知事選挙の後、流れが変わっている。安倍政権の初期は辺野古やむなしという意見が大半だったが、いまは見直すべきという意見と両極に分解している。
辺野古新基地建設について、政府と沖縄に溝がある、というが溝ではない。政府が断念しない限り解決しない。
海兵隊の「抑止力」については空から海から攻撃した後、小規模のゲリラ戦を戦う部隊であって、大規模な戦闘は陸軍が担う。抑止力は嘉手納の空軍で十分。沖縄の地位的優位性については森本元防衛大臣が言ったように「戦略上の問題ではなく政治の問題」。つまり日本のどこにも持ってゆけないので沖縄に置いている。
沖縄返還の時に、復帰運動が安保闘争と結びつくことをアメリカは恐れた。それが沖縄返還へ結びついた。現状はその時に似ている。
現在、辺野古埋め立て工事は一か月間ストップしているが、安保関連法案のほとぼりが冷めたころに工事再開されるだろう。
沖縄の協力なしでは基地機能維持が不可能なことを米国にどう理解させるかが大事だ。
アメリカが一番心配なのは市民運動だ。
私が危惧するのは、安倍政権が倒れると、沖縄への関心が一挙に薄れるのではないか、ということだ。沖縄は70年間も我慢し続けてきた。他に押し付けようという気はないが、沖縄にそのまま基地を置いて(知らんぷりして)いるのはヤマトのエゴだ。
具志堅氏の言葉は翁長知事の言葉とも通ずる。
「普天間基地の移設は辺野古しかない。それでだめなら、どこが良いのか、考えろ。と沖縄県に言うのは政治の堕落だ。」
翁長知事は安保条約を認めている。日本の0.6%の土地に74%の米軍基地を置き、その上新しく基地を作ろうとするのは認めない、と主張している。まったく当たり前の考えと思える。しかし日本政府は「丁寧に」説明し辺野古を埋め立て、耐用年数200年と言われる新基地を作ろうとしている。これを認めれば沖縄の未来、いや日本の未来は危うい。違う選択肢を探るべきだ。
沖縄映像祭は引き続き9月5日、6日に法政大学で開催される。6日のシンポジウムは具志堅氏の基調講演に続き、鳩山理事長、高野理事、川村湊法政大学教授が登壇。司会は緒方が務める。是非みなさまご来場ください。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■メール内容に関するご意見・ご要望はこちら
アドレス:info@eaci.or.jp
■購読解除はこちら
アドレス:info@eaci.or.jp
発行 :東アジア共同体研究所
〒100-0014 千代田区永田町2-9-6 十全ビル706
WEB :http://www.eaci.or.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/east.asian.community.institute
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
本誌に掲載されている文章の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2015-2015 東アジア共同体研究所 All rights reserved.
EACI News Weekly 第35号(9月4日号)
東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
http://eaci.or.jp/
================================
「いいね!」で、東アジア共同体研究所の最新情報をお届けします。
Facebook : http://www.facebook.com/east.asian.community.institute
================================
【目次】
【1】《今週のニュース 8/29-9/4》
政治(4)、経済(2)、国際(2)、社会(2)
【2】《UIチャンネル放送予告 No.118》
9月7日(月)20時「DR.平川の沖縄・アジア麺食い紀行」
http://live.nicovideo.jp/gate/lv233174561
【3】《EACIレポート》
9月5日(土)、6日(日)に法政大学市ヶ谷キャンパスにて沖縄映像祭 in Tokyo
http://www.bun-kei.jp/home/
【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「信州沖縄塾」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【1】《今週のニュース 8/29-9/4》
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【政治】
■安保法案:11日の採決断念 政府・与党、衆院再可決視野
(毎日新聞 2015.9.2)
http://mainichi.jp/select/news/20150902k0000m010143000c.html
■60日ルール使わず参院採決へ 安保法案で自公一致
(東京新聞 2015.9.2)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015090202000267.html
■元内閣法制局長官「安保法案は廃案しかない」
(NHK 2015.9.3)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150903/k10010215291000.html
■県議会、安保法案廃案求め意見書可決 賛成多数、自公は反対
(琉球新報2015.9.1)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-248178-storytopic-3.html
【経済】
■通貨危機再来説が見落とすアジアの進化
(ロイターコラム/政井貴子 2015.9.3)
http://jp.reuters.com/article/2015/09/03/column-takakomasai-idJPKCN0R20OR20150903?pageNumber=3
■IMF「中国は構造改革の継続を」 G20で報告へ
(日経新聞 2015.9.3)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM03H25_T00C15A9EAF000/
【国際】
■中国、兵力30万人削減表明 戦勝70年「覇権唱えず」
(朝日新聞 2015.9.3)
http://www.asahi.com/articles/ASH9335FVH93UHBI00C.html
■中国の軍事パレードを無視することは、なぜ愚かな間違いなのか
(ハフィントン・ポスト/秦コラム 2015.9.3)
http://www.huffingtonpost.jp/qin-xiaoying/china-commemoration-war-japan-in-japanse_b_8080392.html?utm_hp_ref=japan-world
【社会】
■辺野古 県の潜水調査始まる
(琉球朝日放送 2015.08.31)
http://www.qab.co.jp/news/2015083169975.html
■「新基地建設許さない」 市民ら官房長官に抗議
(琉球新報 2015.08.29)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-248065-storytopic-3.html
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【2】《UIチャンネル放送予告 No.118》
9月7日(月)20時「DR.平川の沖縄・アジア麺食い紀行」
http://live.nicovideo.jp/gate/lv233174561
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
9月7日(月)20時からの第118回UIチャンネル放送は、「Dr.平川の沖縄・アジア麺食い紀行」を沖縄よりお送り致します。
平川 宗隆氏(ひらかわ・むねたか)プロフィール
博士(学術)・獣医師・調理師・旅食人(がちまいたびんちゅ)。昭和20年8月23日生まれ。昭和44年日本獣医畜産大学獣医学科卒業。平成6年琉球大学大学院法学研究科修士課程修了。平成20年鹿児島大学大学院連合農学研究科後期博士課程修了。昭和44年琉球政府厚生局採用、昭和47年国際協力事業団・青年海外協力隊員としてインド国へ派遣(2年間)。昭和49年帰国後、沖縄県農林水産部畜産課、県立農業大学校、動物愛護センター所長、中央食肉衛生検査所々長等を歴任し、平成18年3月に定年退職。現在は公益社団法人沖縄県獣医師会会長、㈱サン食品 参与。
〈著書〉
『沖縄トイレ世替わり』ボーダーインク 2000年、『今日もあまはいくまはい』ボーダーインク 2001年等多数。
■《UIチャンネル放送予告 No.118》
9月7日(月)20時「DR.平川の沖縄・アジア麺食い紀行」
http://live.nicovideo.jp/gate/lv233174561
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【3】《EACIレポート》
9月5日(土)、6日(日)に法政大学市ヶ谷キャンパスにて沖縄映像祭 in Tokyo
http://www.bun-kei.jp/home/
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
琉球放送、沖縄テレビ、琉球朝日放送の民放3局とNHK沖縄放送局が制作したドキュメンタリーを一堂に揃えた「沖縄映像祭~終らない戦後~」が、9月5日、6日法政大学市ヶ谷キャンパスにて開催されることになりました。
沖縄は今、普天間基地問題で大きく揺れ動いていますが、今回上映される作品は、サブタイトルにもありますように、沖縄戦に始まり米軍統治時代を経て今なお続く基地の重圧をテーマに取り上げています。
ですが各作品とも沖縄の基地問題のみならず、憲法9条や日米安保、特定秘密保護法、教科書検定など沖縄のみならず、今日本全体で考えるべき問題をテーマに掲げています。
沖縄映像祭 in TOKYO 入場料無料
<1日目・9月5日(土) >
10:00-17:20 ◆作品上映 於:305、307教室
<2日目・9月6日(日) >
9:30-17:15 ◆作品上映 於:スカイホール、A会議室
詳しい上映内容についてはコチラから→http://www.bun-kei.jp/schedule2015/
15:45-17:15 ◆シンポジウム「普天間基地問題とメディア報道」於:スカイホール
パネラー
鳩山 由紀夫(東アジア共同体研究所理事長、元内閣総理大臣)
高野 孟(ジャーナリスト)
川村 湊(法政大学国際文化学部教授)
具志堅 勝也(文化経済フォーラム理事長・元琉球朝日放送 報道制作局長)
コーディネーター
緒方 修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター所長)
主催 NPO法人文化経済フォーラム
共催 法政大学沖縄文化研究所
協賛 「地方の時代」映像祭実行委員会
東アジア共同体研究所琉球・沖縄センター
後援 琉球放送、沖縄テレビ、NHK沖縄放送局、琉球朝日放送
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「信州沖縄塾」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
信州沖縄塾
長野県上田に3泊した。今回の目的は「沖縄映像祭 in UEDA ~終わらない戦後~」を見るためだ。主催は信州沖縄塾とNPO法人文化経済フォーラム(私も理事の一人)。8月29日~30日、長野大学の3教室で24作品が上映された。映像は琉球放送(TBS系)、沖縄テレビ(フジテレビ系)、NHK沖縄放送局、琉球朝日放送(朝日放送系)がこれまでに制作した番組。系列を超えてこれらの番組が勢ぞろいするのは沖縄のテレビ局以外ではありえない。2013年の年末に沖縄大学の教室で初めて開催、約一年後の2015年1月に名桜大学でも実現した。(この時の感想は沖縄ノートの第一回に記している)
沖縄映像祭を沖縄だけでなく東京でも開催したい。だいたいが沖縄の声がちゃんと本土には届いていない。現状を正しく伝えるべきメディアは怠慢。政府と一緒になって日米安保が大事だというなら米軍基地も公平に負担する、と主張したらどうだ。沖縄に押し付けて70年もそのままというのは人の道に反するだろう。つまり日本人は人ではない、といえば言い過ぎだが、ウチナーンチュの人の好さにつけこんでズルズルと現状固定を放置している。
沖縄のメディアは目の前の問題に取り組んできた。取り組まざるを得ない。日本の矛盾がここ沖縄に凝縮している。今回の映像祭に選ばれた番組を見るだけでちょっとは分かるのではないか。
とかんがえていたところへ信州沖縄塾からの開催の申し出があった。(続いて9月に法政大学、11月に金沢大学でも上映可能となった)
信州に沖縄塾があり、メンバーが約200人もいる!これはどういうことなのだろう。2週間前にはピーターカズニック、乗松聡子両氏を呼んで講演会を開催している。なにか途方もない企画実行力を持ったグループではないか。行って確かめるしかない。
沖縄映像祭のプロデューサー具志堅勝也氏(NPO文化経済フォーラム理事長)は過去に数回講演している。信州沖縄塾の塾長は伊波敏男氏。具志堅氏が制作した「花に逢はん~人としての尊厳を求めて~」(2011年QAB琉球朝日放送)で見たことがある。ハンセン病を患い全快。手足に後遺症が残った。自らの半世紀を振り返った作品だ。
伊波氏は14歳で隔離収容されたが、勉学のため沖縄愛楽園を逃げ出し、本土へ。米軍政下でハンセン病を隠してパスポート取得、たった一つの進学の道である岡山県立邑久(おく)高等学校新良田(にいらだ)教室で学んだ。ハンセン病療養所内にある高校だ。
曲がった足にメスを入れるなど5年間に12回の手術を繰り返した。高校を出た後は、差別と偏見の嵐が襲う。保育園への入園を断られ、父親の送り迎え禁止の条件付きで認められた。パートに入居すれば他の職員は全て退去、最初の奥さんは子供を連れて出て行った。7歳の息子が、これからお父さんのYシャツのボタンは誰が留めるの、と心配した。特効薬が出来、治りやすく感染性が少ない病気だと分かっても、まったく国の政策も変わらなければ社会の偏見も直らない。しかし父母や姉兄妹たちは伊波氏を見捨てなかった、家族が変わらないと社会は変わらない、水俣病もエイズも政治が隠蔽し、次々と少数の弱者を生み出してゆく、と指摘する。
番組の終盤はフィリピン同行取材。賠償金を活用して伊波基金を設立、フィリピンの医療看護学生のための奨学金を送っている。フィリピン国立大学レイテ分校での卒業式の模様、私が味わった苦悩を人には味わわせない、と語る。そしてハンセン病患者が隔離されていたクリオン島訪問。未来へのお手伝いをしたい、と少年のような笑顔を見せる。
8月10日に発行されたばかりの著書を頂いた。「父の三線と杏子の花」(人文書館)。
冒頭に、息子がハンセン病を発症したことを知った父が、仏間に招き入れ正座させ、三線を謡う場面が出て来る。「マコトカヤ・・ジチカ・・
(誠かや実か)とゆっくりと始まる散山(さんやま)節は、不測の事件にショックを受け吃驚して放心状態におかれた心境をうたったもの。もっとも難曲とされる。悲嘆や離別の歌。―webぼさ熊の琉球古典勉強中より―
息子は一生隔離され、再び会うことは、かなわないかもしれない。父は今生の別れの気持ちをこの歌に込めた。54歳の時に伊波氏はこの意味を知り、「胸が張り裂ける思いだった」
。この時、既に父は亡くなっていた。
*「想い」(うむい)という歌がある。「わがうむい知らんかやー」。金城恵子さんのヒット曲。そうとも知らずご本人の前でリクエストしたことがある。散山節の悲痛な響きと通じている。ハンセン病にかかった夫(恋人)に已む無く別れを告げる歌と聞いた。しかし伊波さんのエピソードを何かで知った人が私に曲名を間違って教えてくれたのかもしれない。
信州沖縄塾が沖縄にこだわっている理由については・・
―「沖縄」は、この国が背伸びや、安穏というパイを腹一杯に詰め込もうとしたとき、必ず、潮目の渦に投げ込まれてきた。その点からも「沖縄」は常に、この国が抱える矛盾の原点に位置してきた。矛盾が集中する地域には、また、未来を切り拓くキーワードが内包されているとも思える。―
ハズレの音?
伊波さんの家で手料理を頂いた。千曲川の鮎に栗おこわ、その他に山ほど。その前にナスのお焼と葡萄、梨を出して頂いたので全部は食べ切れなかった。
信州沖縄塾は、沖縄の与勝高校の女生徒3人がホームステイした時の会話から始まった。
―沖縄に帰る日の朝、一人の女の子が「二日間続けて風の音を聞いた」と言ったんです。
「はずれの音」を耳にした、と。―
伊波さんの説明に、私は、「外れ」をあてはめた、都会から外れた田舎の風の音?
一瞬後に「葉擦れ」と分かった。
彼女たちが朝一番に耳にするのはジェット機の爆音。キーンという耳をつんざく音!。(こちらが想像していたような)勝連半島にそよそよと海風が吹き渡る牧歌的な光景とは無縁だった。
16歳まで沖縄で過ごした伊波さんは、沖縄の痛みを忘れていたことを恥じた。そして7人の仲間と2004年8月に信州沖縄塾を立ち上げる。メンバーは7人。
誰でも参加できるが次の4つだけは問いかける。
あなたは「この国」の現状に異議を唱える人ですか?
あなたは「この国」の進路に危機感を持つ人ですか?
あなたは連帯して「この国」を変革することに賛意を持つ人ですか?
あなたは平和を守るために、自分ができることを探している人ですか?
その後は矢継ぎ早に講演やカンパ活動に移る。
建築家の真喜志好一氏を呼んで講演会「沖縄はもうだまされない」
辺野古の「ヘリ基地反対協議会」に15万円のカンパ。沖縄塾のマーク入りのカヌーを送る。
カヌーを率いる牧師・平良夏芽氏の講演「沖縄の痛み・平和をつくり出す」。
2005年には沖縄近現代史の勉強、家庭料理の講習。
2006年には第一回沖縄ツアー。
その後も毎年連続講座や映画「ひめゆり」上映など。
2010年には連続講座に続いて国際反戦デーに信濃毎日新聞に意見広告を掲載。
「この豊かな海を戦争のための基地にさせない」
一人一人に呼びかけ、賛同者4366人、賛同金の収入は514
8170円に達した。
2012年には第二回沖縄ツアー。
その後も辺野古・高江のドキュメンタリー映画上映、映画「ひまわり」上映、芝居、舞踊、絵本朗読、報告などなど。沖縄の市民運動の第一線に立つ人々とつながっている。
*約200人の会員中、ウチナーンチュは数人しかいない!
普天間基地問題とメディア報道―在京全国メディアは沖縄をどう伝えたか
伊波氏から紹介されて具志堅氏が登壇。
「(日本政府が)つぶしたいマスコミの代表です。」に笑いが起る。
「(放送局勤務の)35年間、いかにキー局を説得して沖縄のニュースを流すか、に懸命だった。沖縄国際大学へ米軍ヘリが墜落した時、テレビ朝日放送のデスクの指示は、死者がいますか、いなければ30秒でお願いします。交渉の末、1分30秒になった。地域協定も日米安保も全国メディアの頭にはない。その時の全国紙の扱いも球界のゴタゴタ(ナベツネ)とアテネオリンピックがトップ。読売、産経に至っては一面には記事なし。
在京メディアが大きく沖縄を取り上げたことはこれまで4回、95年に少女暴行事件、96年の返還合意、2010年の県外移設から辺野古回帰、2014年新基地建設承認などだ。しかし県知事選挙の後、流れが変わっている。安倍政権の初期は辺野古やむなしという意見が大半だったが、いまは見直すべきという意見と両極に分解している。
辺野古新基地建設について、政府と沖縄に溝がある、というが溝ではない。政府が断念しない限り解決しない。
海兵隊の「抑止力」については空から海から攻撃した後、小規模のゲリラ戦を戦う部隊であって、大規模な戦闘は陸軍が担う。抑止力は嘉手納の空軍で十分。沖縄の地位的優位性については森本元防衛大臣が言ったように「戦略上の問題ではなく政治の問題」。つまり日本のどこにも持ってゆけないので沖縄に置いている。
沖縄返還の時に、復帰運動が安保闘争と結びつくことをアメリカは恐れた。それが沖縄返還へ結びついた。現状はその時に似ている。
現在、辺野古埋め立て工事は一か月間ストップしているが、安保関連法案のほとぼりが冷めたころに工事再開されるだろう。
沖縄の協力なしでは基地機能維持が不可能なことを米国にどう理解させるかが大事だ。
アメリカが一番心配なのは市民運動だ。
私が危惧するのは、安倍政権が倒れると、沖縄への関心が一挙に薄れるのではないか、ということだ。沖縄は70年間も我慢し続けてきた。他に押し付けようという気はないが、沖縄にそのまま基地を置いて(知らんぷりして)いるのはヤマトのエゴだ。
具志堅氏の言葉は翁長知事の言葉とも通ずる。
「普天間基地の移設は辺野古しかない。それでだめなら、どこが良いのか、考えろ。と沖縄県に言うのは政治の堕落だ。」
翁長知事は安保条約を認めている。日本の0.6%の土地に74%の米軍基地を置き、その上新しく基地を作ろうとするのは認めない、と主張している。まったく当たり前の考えと思える。しかし日本政府は「丁寧に」説明し辺野古を埋め立て、耐用年数200年と言われる新基地を作ろうとしている。これを認めれば沖縄の未来、いや日本の未来は危うい。違う選択肢を探るべきだ。
沖縄映像祭は引き続き9月5日、6日に法政大学で開催される。6日のシンポジウムは具志堅氏の基調講演に続き、鳩山理事長、高野理事、川村湊法政大学教授が登壇。司会は緒方が務める。是非みなさまご来場ください。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■メール内容に関するご意見・ご要望はこちら
アドレス:info@eaci.or.jp
■購読解除はこちら
アドレス:info@eaci.or.jp
発行 :東アジア共同体研究所
〒100-0014 千代田区永田町2-9-6 十全ビル706
WEB :http://www.eaci.or.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/east.asian.community.institute
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
本誌に掲載されている文章の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2015-2015 東アジア共同体研究所 All rights reserved.