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アイヌ民族と北方領土!慰霊と研究の両立は不可能!大学研究者による学問の進化と人体実験?

2011-02-13 23:09:54 | 社会時評
12日午後、船員会館2階で、まよなかしんやさんたちが主催する【北方領土の日】反対沖縄集会に参加した。趣旨は北方領土をアイヌ民族に返せ!琉球民族の自決権を!だった。会の趣旨をよく知らず、沖縄語と沖縄芝居の存続に危機意識を持っているゆえにその関連性と、いかに沖縄語を復活させるか、という事と沖縄芝居や民謡などの重要さ、兼ね合いの深さについて話す依頼を受けて、素直に了承したのだった。

ジュネーブの国際機関「自由権規約委員会」に参加し、沖縄の歴史や現状について報告した渡名喜守太さんのお誘いだった。国連人権委員会で、2008年10月30日、沖縄・琉球人はアイヌ民族同様、日本の先住民族であることが決議され、日本政府に対し「琉球民族の言語・文化等の保護の他、土地の権利も認めるべきだ」との勧告がなされている。ところがわたしは会の趣旨もよくわからないまま沖縄芝居役者の吉田妙子さんもご一緒に参加した。実演者のパワーは研究する者の何倍ものインパクトを持っているゆえに彼女の同行は心強かった。

北海道から来られた川村シンリツエオリパックアイヌさんのお話はアイヌの歴史・文化、現況のお話で、イヨマンテ(熊送り)の映像やアイヌの儀礼に伴う祭祀芸能と同じく、とても興味深かった。

川村さんのお話で衝激を受けたのは、北海道大学医学部動物実験室のロッカーなどに1000体余のアイヌ民族の人骨が、クマやシカなどの骨と一緒に放置されているのが1980年に明らかになったという事である。松前藩や明治政府の和人(日本人)たちがアイヌ民族の土地を奪ったように、北大の教員(教授陣)たちが明治、大正、昭和と樺太、くりる列島や北海道などアイヌモシリの各地にあったアイヌ民族の墓をこわし、学術研究と称して人骨や埋葬品を奪い、大学のロッカーに押し込んだのである。川村さんは具体的な名前をあげて、北大の発掘の中心人物とその娘が骨を大学に残し、埋葬品を私物化した事にも言及した。国が博物館のような慰霊施設を創りアイヌの遺骨を保存・展示する意向をもっていることへの激しい怒りの発言があった。遺骨はすべて元あったところに返還するよう要求している。

アイヌ民族が明らかに研究対象とされ人体実験に供され、墓も荒らされてきた歴史の経緯がある。1903年の第5回内国博覧会学術人類館のを推進した坪井正五郎を中心に東京人類学会(日本人類学会へ)は1884年以来、【日本人の起源を巡る研究】に取り組んでいると云う。人骨を集団の由来、過去の社会、祖先の生活を知る唯一の証拠であるとする。この坪井さんは沖縄人の二人のジュリを【人類館】に展示した人でもあった。近代のいびつさは北ではアイヌの中に如実に顕れ、南では沖縄人に顕れる。DNA解析・分子生物的研究がその主流になっているというが、【北大糾弾ニュース・23号】は研究者の社会的地位や功名心、打算、興味本位、政治的目的などが研究に絡む時、もっと残酷になると論じている。

アイヌの歴史や文化に疎かったゆえに、新鮮な驚きをもってお聴きした会だったが、話を聞きながら去年夏ミュンヘンの国際学会で基調講演をしたイギリスの研究者のindigenous people's performing artsを思い出した。オーストリアやニュージーランドの少数民族がアイヌと同じように裏切られ殺され、その頭蓋骨や葬送品がイギリス本国に持ち出されたが、それらが元の部族に戻された事や、動物のようにアボリジ等が殺された歴史を追想した演劇作品について紹介していた。過去の歴史、加害者と被害者の間で交差している舞台写真なども紹介されていた。世界の先住民族の権利が舞台表象の中でも重要な課題になっている。

沖国大教授桃原さんによる国会議員や県会議員へのアンケートの結果も面白かった。琉球人が先住民族としてどれだけの方々が認識・認知しているかの調査だが、沖縄・琉球ナショナリズムの必要性と必然性を社大党や社民党の議員は意識しているが、保守党のほとんどは無回答だった。つまり自民党の方々も民主党の方も公明党の方も共産党の方も国連決議に対する認識も弱いという結果が明らかだった。国際的な智恵・認識の欠如を示してる。沖縄の文化コンテンツ創りに邁進しているかに見える保守党の議員さんたちは大学生でさえ、沖縄の文化・観光は大資本に収奪され沖縄(人)がその富の恩恵を横取りされていると認識しているにも関わらず、琉球・沖縄の自立権や自治州への意識も弱いということを示している。民族の自決権などーー彼らの中央とセットになった思考の中では弱いという事があきらかである。しかし、公明党も共産党の方々も民族自決権には反対で日本の中の沖縄の権益を追求しているのだと明らかになった。保守党も含め、琉球・沖縄(人)の自決権を否定しているのである。

アイヌの歴史や文化をよく知らなかったゆえに「イヨマンテ」の儀礼の映像を見た事やアイヌの鶴の踊りや剣の踊り、座踊りなどが観れたことは幸いだった。いつも沖縄の言語と文化の行方が気になっている。ケルト文化圏の言語と文化の在り様、アイヌがアイヌ語の大学を創ることを模索しているという報告などをお聴きすると、(ケルト文化圏は独自の言語の大学をすでに持っている)沖縄にも沖縄語だけで教育する大学があってもおかしくないと思えてくる。

渡名喜さんが現況を分析したように、沖縄ナショナリズムの高揚は沖縄の人間の主権・自決権につながる。スコットランドやウェールズ、アイルランド、ブルターニュのケルト文化圏の動向は目が離せない。アイヌ民族はもっと厳しい現実だとの印象を受けた。


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