(沖縄タイムスの芸能蘭:2014年4月8日)
「沖縄の伝統芸能と西洋受容」のテーマを一つの柱(課題)にしているが、そのテーマの重要な研究対象として、注目している作品。嘉数道彦さんの創作は意外にも西洋の映画や物語の翻案が見られる。かつて真喜志康忠さんもシェイクスピアからの翻案作品がある。大城立裕さんの新作組踊にもシェイクスピア作品から影響を受けた作風がある。沖縄演劇論の中でそうした作品のハイブリッド性、多文化の融合の在りようなど、もまとめたい。ある面、きわめてコンテンポラリーな現象なのかもしれないね。
この作品の役者たちが、また琉球音楽を自在にこなす能力の持ち主だということは凄いと思う。琉球舞踊、空手、組踊、沖縄芝居(史劇・歌劇・現代劇)をこなし、かつ歌・三線、筝曲、太鼓・小太鼓を実演する実力をもった逸材がどんどん登場している。女性たちでも同様だ。それらが、琉球芸能総体のレヴェルUPにつながっているのはその通りなのだろう。決まった古典音曲があり、決まった古典舞踊の演目が並んでいる。雑踊にしても延々と似たような演目が続く。新しい創作はどこにあるのだろうか?少ない?小宇宙の中の琉球・沖縄芸能なのだろうか?島国のキャパの狭さがどう世界とリンクしていくか?世界のウチナーンチュネットワークや世界の動向を見たい。
シンガポールのS教授は、研究発表もするが、世界中でシンガポール独自の歌劇を上演し回っている。多様な機会をとらえて毎年海外で公演をしているそのエネルギーは凄い。沖縄でも公演したいと話していた。大阪で。