志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

神里雄大さんのお話で京都国際舞台芸術センター講堂で上演された舞台のイメージが分りました!

2018-03-25 00:58:09 | 表象文化/表象文化研究会

      (南アメリカのマップを前にお話をする神里さん!)

是非、沖縄でも上演してほしいですね。しかしアルゼンチンの役者によるスペイン語上演で日本語字幕が付いたということに驚いた。しかも客席は舞台の中味に沿った仕掛けをしていた!斬新すぎるね!この間岸田戯曲賞受賞作品が外国語で上演された舞台に授与されることはなかったと、思うのだが、最近受賞作品に注目していなかった。久しぶりにあえて作品を読んでみた。神里さんが、この間受賞候補に三回も推挙されていて、四回目の受賞だということに、根気強い創作エネルギーを感じる。

今は、沖縄の銘苅ベース(劇場)での岡崎芸術座〈主催・神里雄大)の公演を期待したい。

ふと「アルゼンチンは演劇が盛ん」というお話に、アルゼンチン出身だったフランセス・マンマナを思い出した。マンマナはアルゼンチンからアメリカ本国、そしてハワイに渡り、沖縄の組踊を研究していた女性だ。快活で独創的に踊り、周りの者たちを幸福な気持ちにさせてくれる女性だった。

一時間余のお話では、ご自分と沖縄との係わりのお話がまずあって、パラグアイやボリビア、ペルー、アルゼンチンなどの話が続いた。曾爺さんが大宜味からペルーへ移民したことが雄大さんのルーツである。大宜味からペルー、沖縄、ペルーと、移民の移動の経緯は、ディアスポラ的でしかし、ルーツはしっかりペルーと沖縄にあるようだ。リマから札幌の大学に行った神里さんのお父さんはそこでお母さんと知り合い、結婚、ペルーで雄大さんが誕生したという。その後、札幌、リマ、アメリカを経て神奈川県の川崎に定住し、中学、高校、大学に進学している。日本語が母語で英語で南米では話したとのことだった。

幾分ナーヴァスに見えた神里さんが沖縄系の劇作家であることは違いない。自らの足元、ルーツを手繰りよせるパッションがある。南米の沖縄人集落の様子が興味深いね。南アメリカを抱く劇作家の姿!自らのルーツを抱く。南アメリカが言葉になる。沖縄のリアルや不条理がことばになる。舞台で再現され続ける。いいね。思わぬ角度から浮上してくるものがある。父島!も。

沖縄は日本のラティーノなんだ!Latino

饒舌なモノローグにも感じる台詞が印象的な作品だ。しかし貫くテーマは世界を包摂し、ベケットを越えられたか?

銘苅ベースで!

以下転載:

第62回 岸田國士戯曲賞

第62回岸田國士戯曲賞(白水社主催)の選考会が2018年2月16日(金)、東京神田錦町・學士會館で行なわれ、選考の結果、神里雄大『バルパライソの長い坂をくだる話』、福原充則『あたらしいエクスプロージョン』が受賞作と決まりました。正賞は時計、副賞は賞金20万円が贈られ、授賞式は4月16日(月)、午後6時より東京神楽坂・日本出版クラブ会館にて行なわれます。

第62回受賞作品

『バルパライソの長い坂をくだる話』神里雄大

『あたらしいエクスプロージョン』福原充則

[選考委員のコメント]

神里雄大『バルパライソの長い坂をくだる話』
 語られる世界の広さと、その位置がきわめて興味深い。それは、パタゴニアであり、オキナワであり、父島だ。中心から逃れる土地の把握に可能性がある。演劇を疑う態度は、それ自体が演劇への強い応答だ。(宮沢章夫)

福原充則『あたらしいエクスプロージョン』
 この時代、深刻でないものを書くことが難しい。福原さんは、その中にあって深刻ではないけれども決してこちらが気恥ずかしくなる作品を作らない。それは、彼のセリフの圧倒的な巧さによるものだ。その巧さは、我々創る者をいつも励ましてくれる。因みに今回の我々への励ましは、
「フィルムってちゃんと保存すれば100年は保つんだって[…]“お前の今の数秒間、100年先までオッケーだぞ”、なんて、そんな肯定、されたことある?」
(野田秀樹)

[受賞作、および受賞作家の略歴]

受賞者:神里雄大(かみさと・ゆうだい) 
受賞作:『バルパライソの長い坂をくだる話』(バルパライソノナガイサカヲクダルハナシ)(上演台本)
初演:2017年11月3日〜5日(京都芸術センター 講堂)

本名:神里雄大
生年月日:1982年7月10日
出身地:ペルー共和国リマ市
最終学歴:早稲田大学第一文学部総合人文学科文芸専修卒業
所属劇団名:岡崎藝術座(主宰、作家、演出家)
岸田國士戯曲賞最終候補回数:4回目
他の主な作品:『(飲めない人のための)ブラックコーヒー』『+51 アビアシオン, サンボルハ』『イスラ! イスラ! イスラ!』

受賞者:福原充則(ふくはら・みつのり)
受賞作:『あたらしいエクスプロージョン』(アタラシイエクスプロージョン) (上演台本)
初演:2017年3月3日〜21日(東京・浅草九劇)

本名:福原充則
生年月日:1975年6月8日
出身地:神奈川県
最終学歴:東京工芸大学芸術学部映像学科卒業
所属劇団名:ピチチ5(主宰、劇作家、演出家)、ベッド&メイキングス(劇作家、演出家)
岸田國士戯曲賞最終候補回数:3回目

[選考委員]

岩松了、岡田利規、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、野田秀樹、平田オリザ、宮沢章夫(五十音順、敬称略)


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