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「琉球処分」と沖縄のアイデンティティ、琉球大学史学会のシンポに引き込まれた!

2015-11-23 09:14:59 | 沖縄の過去・現在・未来

 

 

 

そんな時間的余裕はないはずだが、昨今『近代東アジア史のなかの琉球併合』の著書を出版された波平恒男先生の基調講演だったのでそれを拝聴するつもりでいたが、1時間どころか最後まで聴いていた。環境建築で博士号をとって現場でも大学でも頑張っている安里さんがご一緒で彼女のお話もまた興味深かった。レジメ資料の一部を関心をお持ちの方のためにUPしておきます。

知的な刺激があったとしたらそれは高江洲昌哉さんの「琉球処分」をめぐる研究史と若干の問題提起ー「歴史に圧しつぶされない」ために歴史にどう向き合うかである。高良さんの高校生のアイデンティティのお話もわかりやすく面白かった。波平先生のご発言の中で『辺野古』が何度か飛び出した。先生の熱さが伝わってきた。運命共同体のような無意識の集合的アイデンティティを強調していたかとー。

一方で「近代を再編する意思があったかの問い」は、厳しい。東アジア総体の趨勢の中で琉球の選択はせばまれていた。たしかに日本が無理やり併合しなかった近代はまた別の歴史を経てきたかもしれない。信託統治か日本への併合か?清の中華世界は国際関係であり、宗主国としての鷹揚さがあった。対して薩摩の搾取はひどく、日本の姿勢は大国らしくない振る舞いだった。←なるほど。

処分ではなく併合についてはアメリカ人が書いた琉球の史書はannexationになっている。併合である。

民族として忍従・痛みを経てきた小さな琉球国とその末裔たちである。

高江洲さんのレジメもUPしたいと思ったが、鉛筆の落書きが多い。おそらく『琉球処分・併合』の歴史の転換期に関心のある方にも示唆的かもしれない。資料の一部をUPしますね。氏が排外主義をよろしくない兆候としているのは確かだね。また同調圧力の「暴徒」にも注意を喚起している。

高良由加利さんの南風原高校生のアイデンティティのデータ統計は、郷土芸能科のウチナーンチュ意識が高くなるのは理解できる。自らの歴史を学んでいるかどうか、は大きな要素になるね。さらに芸能はほとんどが琉球語や芸能を実践し身につけていくゆえに、沖縄のアイデンティティが強くなりえる要因はあるね。戦前の沖縄で芸能は皇民化に反するものとして監視対象になっていた。沖縄の土着文化は天皇を中軸にすえた中央政局にとって、少なからず脅威であり、やがてそれがスパイ容疑に繋がってもいったのだと考えると、痛みもやってくる。芸能の潜在的な力は民衆の根の力になりえているのだろうか?

覚書:上の中味とは直接関係ないけれどもー。

朝鮮半島出身の在日の方が、沖縄の人々に「戦時中、戦前の朝鮮の人々への差別・虐待」に対する謝罪と、そして「人頭税で苦しめた先島の人々への謝罪」をすべきだと書いたエッセイが紙面に掲載されていたのを昨今読んだが、「なるほど」と思った。戦時中、慰安婦として沖縄に連れ込まれた女性たち、また軍隊に徴用されこき使われた朝鮮人の男性たちがいたのですね。沖縄の人々もまた彼らを差別したのです。最も辻遊郭にいた女性たちも慰安婦にされたのですが、沖縄で最も差別されてきた女性たちは、しかし芸能者でした。戦後アメリカ式民主主義のキリスト教徒の米兵は、元ジュリの女性たちと結婚し海を渡っていったのも事実ですね。彼女たちは沖縄社会の差別の構造から解き放たれたわけです。

「宮古八重山差別」に関しては、沖縄本島の人々、特に王府に近かった士族層の出自の人々、またその制度の中で先島の人々に内なる差別を抱いてきた人々は、王府時代の弊害とはいえ心底から謝罪をしなければならないのでしょう。翁長知事が沖縄の歴史の負の部分をしっかり見据えて、今からでも人頭税で苦しめた宮古・八重山の人々に謝罪することは、構造的差別として日本政府を批判する際にも、大きな弾みになるかと思います。内なる歴史の推移を見つめた差別への謝罪の中で負の歴史に終止符を打ち、真のオール沖縄のスタンスをもてるのではないでしょうか?高江洲さんは同調圧力ということばで暗に注意を喚起していたけれども、現在の沖縄のオール沖縄がアイルランドの独立運動でアヴェイ座に象徴されるアイルランド文化の象徴的作家たちを巻き込んだオールアイルランドとはちょっと位相が違うのもたしかですね。これ以上米軍基地の負担は嫌だ、地位協定を改定しろで一致しているのは確かかもしれない。普天間即時閉鎖・撤去が当然だと考えるのだが、勝手に米軍が作り、復帰後は日本が維持しているゆえにー。(軍事基地機能はすべて撤去が望ましい)

 

 

 



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