(白い骨となったわたし)
那覇では半日停電だった。やんばるでは三日間も停電だったのだった!60メートルを超える突風が襲った沖縄本島の爪あとが生々しく目に入ってきた。
《むき出しの骨と皮》
こんなにも根こそぎ服を剥ぎ取られ
きみは白い骨をさらして立ち竦む
なすすべもなく狂い風の猛威に身をさらし
さらされ続け、痛みに耐えて耐えた
猛威が過ぎ去ったとき肌は裂け血が流れ
骨だけが残った
これ以上生きていく力はもうない
むき出しの身体を晒し
水を飲む力まで萎えて
萎えたままになすがままに
ただ宙に彷徨う
わたしを見て
このわたし
骨だらけで
立ち枯れした姿
わたしの
白い骨
白い骨がガチガチまだ風に揺れる
となりの彼も彼女もガチガチ揺れる
白い骨の合唱
遠くでヒグラシが
ミーンミーンとなく
わたしはここにいるよと
ミーンミーンなく
骨になったわたしはなけない
骨をガチガチ鳴らして突っ立っている
やがて虫たちが骨を噛み砕くまで
わたしは白い骨を晒す
わたしを見て
わたしは
緑の服を着た生き物だった
今骨の姿で立っている
わたしを見て
わたしは明日のあなた
狂い風をあなどらないで
狂い風は
いつでも吹いてくる
命は剥ぎとられ
白い骨になってガチガチ震える
緑の服が恋しい
白い骨に緑の服
幻
立ち尽くすわたし
白い骨の立ち姿
みてこのわたし
万物の骨たちとガチガチ震える秋
(漢那ダム辺りの白い骨)