雑種犬「風(ふう)」のひとりごと

元保護犬でセラピー犬風愛(ふあ)8歳とパピーの鈴々(すず)の楽しい毎日を575で綴ります。天国の鈴ちゃんの話も出るよ

脱感作(だつかんさ) 重度のものも 可能なの?

2012-06-23 09:09:34 | 風ママの研究&学会ネタ・わんこニュース


先日、最近読んだ本について、少し書きましたが

今日は、その続きというか・・・・・。




前回紹介した「深読み・先読みテクニック」の本のとなりにあるのが

「人と動物の関係学」という本。これは、海外の先生方が書いたものを山崎恵子さんが翻訳しています。

ペットの役割について、「子どもの発達への影響」や「高齢者に対する影響」、その他の生理学的効果、セラピーにおける役割などが掲載されていて、勉強になりました。

しかし、一般的ではなく、とても学術的なので一般の飼い主さんが読むには、ちょっとハードかもしれません。

専門的な知識が必要な人に、いい感じです。




で、お次ぎは「犬と猫の行動学」という本です。


同じタイトルの本がふたつ並んでいますが、中身も書いている人も違います。

まず、右側の本ですが、正式タイトルは

「犬と猫の行動学 問題行動の理論と実際」です。


こちらはちょっと古い本で、1995年のものですねー。

海外で発表されているものを翻訳したものになります。

犬や猫の問題行動に関して、理論的な説明から、対処の方法まで載っています。

ただやはり、一般向きというより、専門家向きという感じがします。

医学的なことも多く掲載されていて、薬物療法の話なども具体的出てきます。

事例もたくさん掲載されていて、私としては、とても面白い本でした。



それで、この本をもっと読みやすく、日本のペットに合うカタチで書かれているのが

左の「犬と猫の行動学 基礎から臨床へ」です。

この本は、酪農学園大学で、ペットの行動治療を実際に行っている内田桂子先生と

麻布大の伴侶動物研究室の菊水健史先生が書いています。


菊水先生は、昨年大阪での講演の時も、おもしろい話をきかせてくださって

名刺交換程度ですが、ご挨拶をさせていただいた方です。

(去年私が、聞いた菊水先生の話で思ったこと、はこちら)


実際に、犬のしつけやトレーニングにも携わっておられる先生です。

で、この本は平成20年に出ている本なので、右側の本より随分新しいですねー。


それに、一般の人にもわかりやすい言葉で書かれています。

犬や猫の基本的なことから、学習理論、問題行動のコンサルテーションなど、深い所まで書かれているのですが、すっと入ってくる感じ。

症例もいくつかあげられていて、問題行動のあるペットに対して、どう取り組んでいき、経過がどうだったのかが、よくわかる構成になっています。

また、問診票となるシートまで掲載されているというサービスぷり。


さらに、DVDがついていて、文章だけでは、わかりにくいところも、映像でみせてくれています。

とっても、とってもいい本でオススメなのですが

個人で買うには、ちょっと価格が・・・・。それだけが難点です。




ここまでが、本の感想なんですが


「脱感作(だつかんさ)」という言葉をみなさんご存知でしょうか?



これは、どちらの「犬と猫の行動学」の本にも掲載されていますが

専門用語なんで、一般の人には馴染みがないと思います。



「感作」とは、ある事柄(専門用語では刺激)に対して、過敏に反応してしまうこと。

それを「脱する」わけですから、その刺激に対して、あまり反応しなくなるようにする

ということが「脱感作(だつかんさ)」なんですよね。


私、この言葉自体は、大学で行動分析学を学び始めてから、身近になったんですが


そのやり方は、風ちゃんと通っていたトレーニング教室で学んで、私自身が実践してきたことでした。

(後から調べたら、私がバイブルとして、昔読んでいた2004年発行の犬のしつけの本にも、しっかり「脱感作」として掲載されていました。この本の紹介は、まだ後日)。

まぁ、用語なんて実践するのには、あんまり関係がないんでね。


あっ、私が過去に書いた「犬の性格診断」の本の「アクアタイプ」のところにも、軽くやり方を書いていましたワン。


この時は、行動学とか行動分析学とか、全く知らない時代でしたけれどねー。


だけど、この方法で、風ちゃんはいろいろと苦手を克服したんですよ。



例えば、カラダに触れられること。

そして、動物病院とかも、この方法で克服しました。




以前の風ちゃんは、自分のふわふわの毛に何かが触れるだけで過敏に反応し、

カラダに触れられることが大嫌いなワンコでした

(それが今じゃ、セラピードッグやっているんだもんね)。



それで、最初にやったのは、チラシをまるめたボール状のものを

リラックスしている風ちゃんの近くに置くこと。



風ちゃんがちょっと動いただけで、そのチラシに触れてしまい、

風ちゃんは、立ち上がってどっかいっちゃうくらい過敏でした。



これは、恐いとかいうんじゃなくて、本当に敏感で触れられることを気にしていたからでしょうね。


で最初は、そのチラシボールをゆっくり転がして、風ちゃんに近づきかけたところで

おいしいものを与えました。


その頃の風ちゃんは、何かが近づく空気を感じただけで、逃げちゃうんですもん。


それを何度か繰り返し、そのチラシボールが風ちゃんに触れた瞬間に、おいしいものをクチに入れるということを続けました。


最初は、ビクッってなっていましたが、そのうちにチラシボールが転がってきて

【自分のカラダのどこかに触れること=おいしいものが食べられる合図】

という感じに変わってきました。


そのうち、軽く触れるぐらいに転がしていた、チラシボールを少し強く転がして

風ちゃんのカラダに触れても、逃げなくて「うまうまは?」って顔に変わってきました。


そんな感じで、最初はチラシボールが触れていない段階から、慣れさせるトレーニングをして

少しずつ、段階にわけて、触れるもの変化させて

最終的には、他人の手が自分のカラダに触れても、平気になるようトレーニングしました。



それがクリアできてから、次は「動物病院が平気になるトレーニング」をしましたねー。



結局、大嫌いで病院で大暴れしていた風ちゃんが

動物病院が平気になるまで、1年ぐらいかかりましたけれど、

やった甲斐はありましたね。



だけど、これは「脱感作(だつかんさ)トレーニング」を風ちゃんにやって、成功した例ですが

(実際には、専門用語でいうところの脱感作と拮抗条件付けをセットにしたトレーニングですが)


同じ風ちゃんと私というペアでも、「脱感作」がまだできないものがあります。


まだできていないというか、正直あきらめかけています。



それは、風ちゃんが恐怖に脅える、ロケット花火やカミナリ、ピストルなどの破裂音。


テレビのものは、全く平気なんですけれど、これらは何度「脱感作トレーニング」を試みても

うまくいきません。


一時期は、花火をしている親子連れを公園で見た後

・親子連れ

・公園

といった、付随するものにも嫌悪行動である避ける態度をしはじめて、焦りましたが

これは、花火との関係がない時に、「脱感作トレーニング」をして、なんとか大丈夫になりました。


でも、未だにロケット花火やカミナリ、ピストルの音は、ダメですね。


私が思うに、カラダに触れることは、風にとって嫌悪だっただけで、恐怖ではなかった。

だから、「脱感作トレーニング」にもスムーズに行ったのでは?


だけど、恐怖が基になっているロケット花火やカミナリ、ピストルの音に対しては、

本能的なものもあるし、感作をゼロにするのは厳しいのでは?と。


特に鈴ちゃんの場合、この「脱感作トレーニング」がうまくいかないのは、根源に本能的な恐怖感情があるからでは?と思ってしまいます。


「苦手」は、克服できるけれど「本能的な恐怖」は、難しい。

今、私が知っている方法では、そんな感じに思うのです。




さて、さっき紹介した「犬と猫の行動学」のDVDには、「系統的脱感作」の実例として

音に過敏な小型犬での映像が収録されていました。


広い部屋があって、中にはブザーが鳴った後、フードが自動的に出て来る「自動給餌器」があり、

ブサーの音が鳴ると、ビビッて逃げてしまうワンちゃんの様子が収録されていました。


「はっきり聞こえるブザーの音だと、すごく反応して逃げてしまうので、最初はイチバン小さな音量で、フザーを慣らし、フードを1粒出すように設定します」。

「自動給餌器」なので、小さな音でブザーが鳴った後、フードが出るということを、勝手に何度も繰り返します。


で、映像を見ていたのですが、もうその小型犬のワンちゃんは、一番小さなブザー音にも関わらず

怖がって、逃げて「自動給餌器」に近づこうとしません。


まぁ、私がその映像を見ていて、思ったことですが

小さな音で鳴るブザー音よりも、フードを自動的に出すための機械音の方が、そのワンちゃんには恐かったように見えました。


さて、そのワンちゃんに変化はあったでしょうか?


10回、20回、30回…、ずっとその「自動給餌器」から逃げまくって、近づく気配さえありません。


45回目ぐらいから、ちょっとずつ逃げなくなってきました。


そして、63回目にやっと、出て来たフードを食べることができたのです。


そこからは、どんどん平気になっていったみたいなんですけど…。



その時、思った私の感想は

「このワンちゃんの場合は、フードを口にできるまで、63回かかった。

 普通の飼い主さんが、家で愛犬に脱感作トレーニングをしようと思って

 これと同じようなことができるかしら?

 いや、多分63回も頑張れない。

 30回やっても、まだ逃げて震えていたら、そこであきらめてしまうのでは…」

ということ。


それで、知識があったとしても

ほんんどの飼い主が挫折して、やめてしまっているのてはないかなと、思うんですよね。


うーん、これじゃ実用的とは、いえないよな。


研究者としての、私にとっても

これはいい、研究課題かなぁと思っています。











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