あのドイツ人女性のガイドの内容は、どんなものだったのか、推理してみよう、きっと、
「なんと おごそかな空間なんでしょう」
「・・・」
「大げさな銅像やケバケバしいモニュメントはありません この森林の静けさこそがメイジ・エンペラーのこころなのかもしれませんね
目に見えぬ神にむかいて 恥じざるは
己がこころの まことなりけり 」
淡々と続く、ドイツからやってきたグループがじっと聞いている、
「17世紀の大旅行家にして大学者のE,ケンペルはドイツ人ですが 日本人の先祖はバビロニアから来たと記しています
なんとフシギな言葉なんでしょう この意味は なんなのでしょうか 」
10数人のエトランゼが耳を傾ける、
「さて あの戦争 ヒロシマ・ナガサキの原爆投下 何十万人の犠牲者 なんてひどいんでしょう わかりますね それでも いえ それだからこそ守り通してきたものが ここにあります」
「・・・」
「それが このおごそかさ しずけさ どんな人種も差別しない どんな宗教も区別しない なんと高邁な理想でしょう 黒人もイスラムの人々もニコニコとあるいていましたね」
「これこそが ケンペルの本意 あのことばを解明するヒントではないのでしょうか」
長身のドイツ人ガイド、
「ここには 人類文明のゾルレンがあるのです」
「そして ここ こここそが『永遠のバビロニア』なのではないでしょうか」
「ウオー」
みな、拍手をしている、同じドイツ人のことば、それが、身にしみ心にしみた。