ある吹雪の日に、バチュラーが平取に行くと、キミコの容態が悪い、いよいよ死期が近いかと祈ってやると、静かに眠った、そこで、次の村の伝道に出発した。
次の村の部屋で休んでいると、なんだか身体がぐったりとして死んだようになる、すると、そこへキミコがひどい顔をしてやってきたではないか。バチュラーは、
「大丈夫、あなたは死んだりしない、安心してお帰り」
異国の宣教師が、そう言うとアイヌの娘の姿が消えた。
数日して、平取村に行くと、彼女は元気になっており、
「あの吹雪の夜、本当に苦しくてたまらなかった、『ああ、自分はいよいよ死ぬのだなあ』と思うと、一目、先生に会ってから死にたい、と思った」
そして、その後に、起こった意外な出来事を語り始めた。