普段の時には、2階まで一緒に降りてきて、事ある毎に邪魔をするニャンコたちも、親の介護の時には、決して邪魔をしない、お利口さんである。
普段の時には、2階まで一緒に降りてきて、事ある毎に邪魔をするニャンコたちも、親の介護の時には、決して邪魔をしない、お利口さんである。
日本農業新聞 e農ネットに「農地バンク“掃きだめ”に 農地制度改革に疑念 (2014/6/4)」という記事が出ていた。
内容は以下の通り
政府の規制改革会議の農地制度の見直しをめぐり、農業参入した企業が撤退する際の「出口規制」に懸念の声が出ている。
規制が極めて緩く、最終的に耕作されなかった農地は農地中間管理機構(農地集積バンク)が管理・処分すると提言したからだ。
企業によって耕作放棄されたり、産廃置き場にされたりした不良農地の“掃きだめ”に農地集積バンクが利用される事態を招きかねない。
・「出口規制」緩く放棄地丸投げも
改革案は生産現場の懸念が強い企業による農地所有解禁といった「入り口規制」の大幅緩和を提言した。
従来、所有解禁を求める立場からは、代わりに「出口規制」を強めることで農地転用の不安を取り除くと主張してきたが、今回は「出口規制」の面からも問題が大きい内容といえそうだ。
改革案は企業も一定の条件を満たせば、農地を保有できる農業生産法人になれると提言。
「出口規制」として、(1)農業委員会の許可を得なければ撤退できない(2)農地がきちんと耕作されていない場合、農委が農地集積バンクに管理・処分を命じることができる――ことなどを打ち出した。
ただ、この出口規制が十分機能するかは不透明だ。
撤退で農委による許可を求めたところで、企業が雲隠れしてしまえば手の打ちようがない。
耕作放棄されたり、産廃置き場にされたりした不良農地が、結局は農地集積バンクに集められ、現状回復の責任を負わされるケースが相次ぐ懸念は拭えない。
農地集積バンクが最後に尻拭いしてくれる仕組みにしたことで、企業が安易に撤退しやすくなる恐れすらある。
・企業参入の環境優先
そもそも農地集積バンクは、担い手に農地をまとまった形で引き渡し、生産コストの削減につなげていくというのが本来業務のはず。
しかも同会議は昨年のバンク創設に向けた議論で、不良な農地を安易に引き受けないよう政府に強く求めており、今回の提言はこの姿勢とも矛盾する。
自民党からは「農地集積バンクを企業の尻拭いに都合よく利用しようとしている。(同会議は)農業改革なんて二の次で、企業が有利に農業ができる環境をつくりたいだけだ」(農林議員)と批判が強まっている。
というもの。
自分も、これと同じことを考えている。
他から見れば、農地は無駄に見える部分があったりする。
もっとよい使い方を提案されることもある。
しかし、農地のど真ん中に、産業廃棄物が捨てられてしまい。
そこから流れ出る油などのために、当時は有名だった地域ブランド米が、そのまま崩壊してしまったという事例や、採算が合わないことから、放置されてしまい荒れ果ててしまっている事例などが、現実にある。
それと、外国企業に対する対応は、どうするのだろうか。
外国企業に買いあさられたら、環境保全も出来なくなるし、結果として農地は完全になくなってしまうだろうな。
内容は以下の通り
政府の規制改革会議の農地制度の見直しをめぐり、農業参入した企業が撤退する際の「出口規制」に懸念の声が出ている。
規制が極めて緩く、最終的に耕作されなかった農地は農地中間管理機構(農地集積バンク)が管理・処分すると提言したからだ。
企業によって耕作放棄されたり、産廃置き場にされたりした不良農地の“掃きだめ”に農地集積バンクが利用される事態を招きかねない。
・「出口規制」緩く放棄地丸投げも
改革案は生産現場の懸念が強い企業による農地所有解禁といった「入り口規制」の大幅緩和を提言した。
従来、所有解禁を求める立場からは、代わりに「出口規制」を強めることで農地転用の不安を取り除くと主張してきたが、今回は「出口規制」の面からも問題が大きい内容といえそうだ。
改革案は企業も一定の条件を満たせば、農地を保有できる農業生産法人になれると提言。
「出口規制」として、(1)農業委員会の許可を得なければ撤退できない(2)農地がきちんと耕作されていない場合、農委が農地集積バンクに管理・処分を命じることができる――ことなどを打ち出した。
ただ、この出口規制が十分機能するかは不透明だ。
撤退で農委による許可を求めたところで、企業が雲隠れしてしまえば手の打ちようがない。
耕作放棄されたり、産廃置き場にされたりした不良農地が、結局は農地集積バンクに集められ、現状回復の責任を負わされるケースが相次ぐ懸念は拭えない。
農地集積バンクが最後に尻拭いしてくれる仕組みにしたことで、企業が安易に撤退しやすくなる恐れすらある。
・企業参入の環境優先
そもそも農地集積バンクは、担い手に農地をまとまった形で引き渡し、生産コストの削減につなげていくというのが本来業務のはず。
しかも同会議は昨年のバンク創設に向けた議論で、不良な農地を安易に引き受けないよう政府に強く求めており、今回の提言はこの姿勢とも矛盾する。
自民党からは「農地集積バンクを企業の尻拭いに都合よく利用しようとしている。(同会議は)農業改革なんて二の次で、企業が有利に農業ができる環境をつくりたいだけだ」(農林議員)と批判が強まっている。
というもの。
自分も、これと同じことを考えている。
他から見れば、農地は無駄に見える部分があったりする。
もっとよい使い方を提案されることもある。
しかし、農地のど真ん中に、産業廃棄物が捨てられてしまい。
そこから流れ出る油などのために、当時は有名だった地域ブランド米が、そのまま崩壊してしまったという事例や、採算が合わないことから、放置されてしまい荒れ果ててしまっている事例などが、現実にある。
それと、外国企業に対する対応は、どうするのだろうか。
外国企業に買いあさられたら、環境保全も出来なくなるし、結果として農地は完全になくなってしまうだろうな。
日本農業新聞 e農ネットに「自己改革案も参考 「幅広く検討」 農協改革で農相 (2014/6/4)」という記事が出ていた。
内容は以下の通り
林芳正農相は3日の会見で、与党との間で検討を本格化させている農協制度の見直しについて、JAグループがまとめている自己改革案も参考にする考えを示した。
「自己改革案も参考としながら農業者、中でも担い手の農業者から評価をされ、農業の成長産業化に資する改革を早急にまとめたい」と述べた。
政府の規制改革会議がJAグループの解体につながる急進的な見直し案をまとめたことを受け、JA全中は2日に全JA組合長・会長緊急会議を開き、自らの意思で改革を進めていくことを決議した。
林農相は会見で農協制度の見直し検討にあたっては「現場の意見は与党の先生方が聞いてきているから、そういう現状認識も含めてよく協議する」と述べ、現場の声にも丁寧に耳を傾ける姿勢も強調した。
農協制度の見直しをめぐっては中央会制度の在り方が焦点の一つで、同会議側は「一律的な指導が単協の自由な経営を妨げている」として廃止を打ち出している。
これに関して林農相は「それ以外の視点もあるのかということも幅広く検討する必要がある」と述べ、廃止ありきではないとの考えをにじませた。
というもの。
改革案が出されてから、どんどんと議論の内容と方向性が変わっていく。
こんなことで作られた改革案が、誰もが認める良案になるはずがない。
内容は以下の通り
林芳正農相は3日の会見で、与党との間で検討を本格化させている農協制度の見直しについて、JAグループがまとめている自己改革案も参考にする考えを示した。
「自己改革案も参考としながら農業者、中でも担い手の農業者から評価をされ、農業の成長産業化に資する改革を早急にまとめたい」と述べた。
政府の規制改革会議がJAグループの解体につながる急進的な見直し案をまとめたことを受け、JA全中は2日に全JA組合長・会長緊急会議を開き、自らの意思で改革を進めていくことを決議した。
林農相は会見で農協制度の見直し検討にあたっては「現場の意見は与党の先生方が聞いてきているから、そういう現状認識も含めてよく協議する」と述べ、現場の声にも丁寧に耳を傾ける姿勢も強調した。
農協制度の見直しをめぐっては中央会制度の在り方が焦点の一つで、同会議側は「一律的な指導が単協の自由な経営を妨げている」として廃止を打ち出している。
これに関して林農相は「それ以外の視点もあるのかということも幅広く検討する必要がある」と述べ、廃止ありきではないとの考えをにじませた。
というもの。
改革案が出されてから、どんどんと議論の内容と方向性が変わっていく。
こんなことで作られた改革案が、誰もが認める良案になるはずがない。
日本農業新聞 e農ネットに「JA、農委、農業法人の在り方 自民が調整本格化 (2014/6/4)」という記事が出ていた。
内容は以下の通り
JAや農業委員会、農業生産法人の在り方をめぐる自民党内の調整が本格化している。
同党農林幹部は2日深夜、石破茂幹事長と会談。
3日には公明党の農林幹部との意見交換も始めた。
ただ全議員が議論に参加できる会合は約2週間開かれておらず、党内には不満も広がっている。
同党内での議論は、規制改革会議の農業改革案を受け、JAをめぐっては中央会の法的位置付けやJA全農の株式会社化の是非などが焦点となっている。
農政にとどまらない問題のため、同党農林幹部は2日深夜、東京都内で石破幹事長を交えて対応を協議した。
石破氏はJAについて、単位JAの強化のため一定の改革が必要との考えを示したという。
同党「農業委員会・農業生産法人に関する検討プロジェクトチーム(PT)」の西川公也座長や「新農政における農協の役割に関する検討PT」の森山座長ら農林幹部は3日も会合を開き、議論を続けた。
また公明党農林幹部とも非公式で意見交換。
独自の改革案を与党案として まとめるかどうかなどを協議した。
一方、自民党の全議員が参加できる両PTの会合は、5月21日以来、約2週間にわたって開かれていない。
党内の意見と規制改革会議案との乖離(かいり)が大きく、農林幹部による素案の作成が遅れているためだ。
農林幹部は週内にも改革案を取りまとめる方針だが、党内からは「これだけ大きな問題だから、多くの議員の幅広い意見を聞いて議論すべきだ」(中堅議員)など、議論への参加を求める声が出ている。
というもの。
自民党内部での溝は、大きくなり始めているようだ。
TPPにしてもJA改革にしても、グスグズだよな。
振り回されている自分たちは、たまったものではない。
内容は以下の通り
JAや農業委員会、農業生産法人の在り方をめぐる自民党内の調整が本格化している。
同党農林幹部は2日深夜、石破茂幹事長と会談。
3日には公明党の農林幹部との意見交換も始めた。
ただ全議員が議論に参加できる会合は約2週間開かれておらず、党内には不満も広がっている。
同党内での議論は、規制改革会議の農業改革案を受け、JAをめぐっては中央会の法的位置付けやJA全農の株式会社化の是非などが焦点となっている。
農政にとどまらない問題のため、同党農林幹部は2日深夜、東京都内で石破幹事長を交えて対応を協議した。
石破氏はJAについて、単位JAの強化のため一定の改革が必要との考えを示したという。
同党「農業委員会・農業生産法人に関する検討プロジェクトチーム(PT)」の西川公也座長や「新農政における農協の役割に関する検討PT」の森山座長ら農林幹部は3日も会合を開き、議論を続けた。
また公明党農林幹部とも非公式で意見交換。
独自の改革案を与党案として まとめるかどうかなどを協議した。
一方、自民党の全議員が参加できる両PTの会合は、5月21日以来、約2週間にわたって開かれていない。
党内の意見と規制改革会議案との乖離(かいり)が大きく、農林幹部による素案の作成が遅れているためだ。
農林幹部は週内にも改革案を取りまとめる方針だが、党内からは「これだけ大きな問題だから、多くの議員の幅広い意見を聞いて議論すべきだ」(中堅議員)など、議論への参加を求める声が出ている。
というもの。
自民党内部での溝は、大きくなり始めているようだ。
TPPにしてもJA改革にしても、グスグズだよな。
振り回されている自分たちは、たまったものではない。
日本農業新聞 e農ネットに「[農業改革 言うことあり 現場発] 全農 株式会社化 独禁法で共販困難 (2014/6/4)」という記事が出ていた。
内容は以下の通り
規制改革会議が提起した「JA全農の株式会社化」は農業者の所得の減少につながる――との危機意識が、生産現場に広がっている。
独占禁止法の全農への適用で全国本部・県本部を通じた共同販売・共同購入ができなくなり、JAグループ(系統)の価格形成力が弱まる懸念があるためだ。
「JA全農が株式会社になり共同販売の仕組みが崩れれば、これまで以上に小売りなどの実需主導の価格形成になってしまうのではないか」
長野県のJA信州うえだ管内でリンゴやブドウなどの果実を1ヘクタール栽培する川上満男さん(61)は、規制改革会議が提案する「全農の株式会社化」の影響を心配する。
川上さんは生産物の全てをJAを通じてJA全農長野に委託、販売代金は共同計算で得る共同販売を活用している。
「安定出荷できるよう、生産に専念したいから」だ。
株式会社化で全農に独占禁止法が適用になるのは、同法の適用が除外されている協同組合でなくなるからだ。
これによりJAグループの農産物販売事業で当然となっている全農を通じた共同販売が同法に抵触し、できなくなる恐れがある。
長野県では20JAが全農長野に委託し、「全農長野」としてブランドを構築。全農長野が卸や小売りへの売り込みや商談といった販売活動を展開し、安定供給のために県内のリレー出荷体制なども整えている。
・系統の交渉力低下
全農長野を通じた共同販売ができなくなれば、JAは個別での販売活動を余儀なくされ、大型化するスーパーなどのバイイングパワーで販売条件や価格が悪化、リレー出荷にも支障が出て供給が不安定になることが懸念されている。
また無条件委託を前提としたJAと全農長野との関係も壊れかねない。
農産物の売り手と買い手の関係になり、JAグループの結集力は弱まりかねない。
同JAの塩川壽友常務は「農産物の価格と供給の安定を目指して取り組む共販体制の崩壊は、農家だけでなく、消費者にもマイナス面が大きい」と指摘する。
全農が株式会社になれば、農業機械や肥料などの生産資材の共同購入も独禁法に抵触する恐れが生じ、JAグループの農機や肥料などのメーカーとの価格交渉力が低下、生産資材が高値になりかねない。
株式会社は利益を最優先する組織で、生産資材を全農がJAに供給する際に、取引量の多寡で価格を変えるようになることも想定される。
・「所得倍増」に逆行
同JAの芳坂榮一組合長は指摘する。
「安倍首相は農業者の所得倍増、規制改革会議は農業者の利益の増進を図ると言っているが、全農の株式会社化はJAグループの販売力と購買力を弱め、農業者の“所得の半減”につながる恐れが強い」
宮城県有数の穀倉地帯、登米市。
市内にある東和町域の11ヘクタールで水稲を栽培する農家、丸山祐亀さん(59)は、約8割をJAみやぎ登米が進める「環境保全米」として栽培し、収穫した米をほぼ全量、JAに出荷する。
「営農をしながら、生産者自身が米卸など販路を開拓するのは難しい」と丸山さん。全農を通じた共同販売体制を壊しかねない「全農の株式会社化」には首をかしげる。
・崩れる協同の輪
丸山祐亀さん(59)が暮らす浅草集落では、約80戸の大半が兼業農家。
集落の生産者の高齢化も進み、耕せなくなった水田を丸山さんらが引き受ける機会が増加。
また宮城県・JAみやぎ登米の稲作部会連絡協議会の委員長の経験者で集落の農業の担い手となっている。
その丸山さんが、「全農の株式会社化」で心配するのは、「宮城県産米」として品質向上などに一丸で取り組んできた米作りの輪、協同組合の輪が崩れることだ。
「これまで通り各地の米を集めて販売してくれるのか。全農が利益優先になれば販売する米を絞り込み、最終的には組合員のための全農ではなくなるのではないか。(県内でも産地により価格差が生じ)産地間の関係にもひびが入るのではないか」と指摘する。
集荷する同JAも疑問の声を上げる。
主食用米としてここ数年、環境保全米を含めて年間約3万7000トンを集める。
このうち7割を全農通じて米卸に販売する系統出荷に取り組む。
小回りが利く単位JAの利点を生かし3割は小規模な卸などに直売しながらも、系統出荷を主軸に位置付ける。
理由についてJAは「実需の要望を踏まえてJA全農みやぎなどと共に開拓し、築いてきた看板がある」(米穀販売課)と説明。
単位JAでの販売活動では、実需の要求量を調達できないなどで信用を落とし取引先を失ったり、価格交渉力が弱まったりすることを危惧する。
JAの小野寺裕幸専務も「例えば、全農の買い取り販売になれば県内JAが取り組んできた共同計算が崩れ、グループの歩調が合わなくなる。場合によっては組合員の安定的な手取り確保には結び付かない可能性もある」と指摘する。
榊原勇組合長は「協同組合として全農はこれまで、万が一の時のセーフティーネット(安全網)の役割を果たしてきた。株式会社化でそれが壊れるのが最も怖い」と強調する。
・危険な利益優先構図
JA全農は販売・購買事業を広く展開する。
農業者のリスクを分散するための共同販売や資材コストの低減のための共同購入は、協同組合の強みだ。
規制改革会議は全農について、農業者の利益増進に資する観点からガバナンス(統治)を高め、グローバル市場における競争に参加するため株式会社に転換する、と提案した。
しかし、株式会社になれば「独占禁止法の除外には該当しなくなる」(後藤田正純内閣府副大臣)。
独禁法の対象になることでこうした共同行為ができなくなり、生産者の不利益に直結することが懸念される。
現在は協同組合として山間部など条件不利地域でも他地域と同等のサービスを提供している。
利益追求が最優 先となれば一定の利益を確保できない事業を続けるのが難しくなり、こうした土地の農業者に悪影響を及ぼす恐れもある。
販路拡大や価格形成力の強化に向けて全農は、川中・川下に積極的に進出し、バリューチェーン(価値連鎖)の構築に取り組みだした。
具体的には、キユーピーとの合弁会社設立や、JA・6次化ファンドを使った外食会社との新会社設立、和牛輸出などだ。
法人の設立・出資に関する定款も変更し、迅速な経営判断ができるように整えた。(島村一弘、久米千曲)
というもの。
JAが判らない人には、判りやすい記事ではないだろうか。
内容は以下の通り
規制改革会議が提起した「JA全農の株式会社化」は農業者の所得の減少につながる――との危機意識が、生産現場に広がっている。
独占禁止法の全農への適用で全国本部・県本部を通じた共同販売・共同購入ができなくなり、JAグループ(系統)の価格形成力が弱まる懸念があるためだ。
「JA全農が株式会社になり共同販売の仕組みが崩れれば、これまで以上に小売りなどの実需主導の価格形成になってしまうのではないか」
長野県のJA信州うえだ管内でリンゴやブドウなどの果実を1ヘクタール栽培する川上満男さん(61)は、規制改革会議が提案する「全農の株式会社化」の影響を心配する。
川上さんは生産物の全てをJAを通じてJA全農長野に委託、販売代金は共同計算で得る共同販売を活用している。
「安定出荷できるよう、生産に専念したいから」だ。
株式会社化で全農に独占禁止法が適用になるのは、同法の適用が除外されている協同組合でなくなるからだ。
これによりJAグループの農産物販売事業で当然となっている全農を通じた共同販売が同法に抵触し、できなくなる恐れがある。
長野県では20JAが全農長野に委託し、「全農長野」としてブランドを構築。全農長野が卸や小売りへの売り込みや商談といった販売活動を展開し、安定供給のために県内のリレー出荷体制なども整えている。
・系統の交渉力低下
全農長野を通じた共同販売ができなくなれば、JAは個別での販売活動を余儀なくされ、大型化するスーパーなどのバイイングパワーで販売条件や価格が悪化、リレー出荷にも支障が出て供給が不安定になることが懸念されている。
また無条件委託を前提としたJAと全農長野との関係も壊れかねない。
農産物の売り手と買い手の関係になり、JAグループの結集力は弱まりかねない。
同JAの塩川壽友常務は「農産物の価格と供給の安定を目指して取り組む共販体制の崩壊は、農家だけでなく、消費者にもマイナス面が大きい」と指摘する。
全農が株式会社になれば、農業機械や肥料などの生産資材の共同購入も独禁法に抵触する恐れが生じ、JAグループの農機や肥料などのメーカーとの価格交渉力が低下、生産資材が高値になりかねない。
株式会社は利益を最優先する組織で、生産資材を全農がJAに供給する際に、取引量の多寡で価格を変えるようになることも想定される。
・「所得倍増」に逆行
同JAの芳坂榮一組合長は指摘する。
「安倍首相は農業者の所得倍増、規制改革会議は農業者の利益の増進を図ると言っているが、全農の株式会社化はJAグループの販売力と購買力を弱め、農業者の“所得の半減”につながる恐れが強い」
宮城県有数の穀倉地帯、登米市。
市内にある東和町域の11ヘクタールで水稲を栽培する農家、丸山祐亀さん(59)は、約8割をJAみやぎ登米が進める「環境保全米」として栽培し、収穫した米をほぼ全量、JAに出荷する。
「営農をしながら、生産者自身が米卸など販路を開拓するのは難しい」と丸山さん。全農を通じた共同販売体制を壊しかねない「全農の株式会社化」には首をかしげる。
・崩れる協同の輪
丸山祐亀さん(59)が暮らす浅草集落では、約80戸の大半が兼業農家。
集落の生産者の高齢化も進み、耕せなくなった水田を丸山さんらが引き受ける機会が増加。
また宮城県・JAみやぎ登米の稲作部会連絡協議会の委員長の経験者で集落の農業の担い手となっている。
その丸山さんが、「全農の株式会社化」で心配するのは、「宮城県産米」として品質向上などに一丸で取り組んできた米作りの輪、協同組合の輪が崩れることだ。
「これまで通り各地の米を集めて販売してくれるのか。全農が利益優先になれば販売する米を絞り込み、最終的には組合員のための全農ではなくなるのではないか。(県内でも産地により価格差が生じ)産地間の関係にもひびが入るのではないか」と指摘する。
集荷する同JAも疑問の声を上げる。
主食用米としてここ数年、環境保全米を含めて年間約3万7000トンを集める。
このうち7割を全農通じて米卸に販売する系統出荷に取り組む。
小回りが利く単位JAの利点を生かし3割は小規模な卸などに直売しながらも、系統出荷を主軸に位置付ける。
理由についてJAは「実需の要望を踏まえてJA全農みやぎなどと共に開拓し、築いてきた看板がある」(米穀販売課)と説明。
単位JAでの販売活動では、実需の要求量を調達できないなどで信用を落とし取引先を失ったり、価格交渉力が弱まったりすることを危惧する。
JAの小野寺裕幸専務も「例えば、全農の買い取り販売になれば県内JAが取り組んできた共同計算が崩れ、グループの歩調が合わなくなる。場合によっては組合員の安定的な手取り確保には結び付かない可能性もある」と指摘する。
榊原勇組合長は「協同組合として全農はこれまで、万が一の時のセーフティーネット(安全網)の役割を果たしてきた。株式会社化でそれが壊れるのが最も怖い」と強調する。
・危険な利益優先構図
JA全農は販売・購買事業を広く展開する。
農業者のリスクを分散するための共同販売や資材コストの低減のための共同購入は、協同組合の強みだ。
規制改革会議は全農について、農業者の利益増進に資する観点からガバナンス(統治)を高め、グローバル市場における競争に参加するため株式会社に転換する、と提案した。
しかし、株式会社になれば「独占禁止法の除外には該当しなくなる」(後藤田正純内閣府副大臣)。
独禁法の対象になることでこうした共同行為ができなくなり、生産者の不利益に直結することが懸念される。
現在は協同組合として山間部など条件不利地域でも他地域と同等のサービスを提供している。
利益追求が最優 先となれば一定の利益を確保できない事業を続けるのが難しくなり、こうした土地の農業者に悪影響を及ぼす恐れもある。
販路拡大や価格形成力の強化に向けて全農は、川中・川下に積極的に進出し、バリューチェーン(価値連鎖)の構築に取り組みだした。
具体的には、キユーピーとの合弁会社設立や、JA・6次化ファンドを使った外食会社との新会社設立、和牛輸出などだ。
法人の設立・出資に関する定款も変更し、迅速な経営判断ができるように整えた。(島村一弘、久米千曲)
というもの。
JAが判らない人には、判りやすい記事ではないだろうか。