日本農業新聞e農netに「ナラシ補填水準割れ 相対価格の下落反映 14年産米本紙試算 (2014/11/7)」という記事が出ていた。
内容は以下の通り
日本農業新聞の試算で収入減少影響緩和対策(ナラシ)の補填(ほてん)水準よりも販売収入が下回る見込みの産地が出た。
米卸からの値下げ圧力が強まり、産地と米卸間の取引価格である2014年産の相対取引価格が、過去最低まで下がったためだ。
栃木県は標準的収入額60キロ1万5070円に対して、販売収入の試算は1万807円(28.3%安)。
ナラシの補填対象となるのは1万2056円までのため、約1200円分は対象外となる。
青森県も、標準的収入額1万4158円に対して、販売収入の試算は1万824円(23.5%安)。
ナラシの補填対象の1万1327円を約500円下回っている。
試算は14年産の9月の相対取 引価格を基に、2015年3月まで同じ価格が続くと仮定。
銘柄ごとの価格を加重平均するのに用いる検査数量は、12年産の翌年6月時点を使った他、10アール収量も平年収量と仮定した。
標準的収入額の算出に使う銘柄が出そろっていない場合は、各県の農産物検査数量で80%を超える主要な銘柄の価格が発表された産地だけを試算した。
実際の補填額は15年3月までの販売価格や収穫量などによって決まる。
九州や西日本の一部は「ヒノヒカリ」などの主力品種の相対価格が発表されていないため、試算できなかった。
・東北大大学院冬木准教授 農地集積に影響も
日本農業新聞による収入減少影響緩和対策(ナラシ)試算を踏まえ、東北大学大学院の冬木勝仁准教授に米政策の課題を聞いた。
試算は予想通りの結果だ。
米価下落の傾向は2010年産から出ていた。
戸別所得補償制度の影響だ。
所得が補填される中で、需給が緩むと価格は下げ止まらなくなる。
価格が上がった11年産と12年産は東日本大震災の影響があり、特異だった。
経営所得安定対策を見直した14年産でも、流通業者は、所得を補填するナラシがあり、また将来的に生産調整が廃止されると認識しているため、「需給が締まることはない」とみている。
また14年産は飼料用米への助成を手厚くして主食用米からの転換を進めるつもりだったが、そのアナウンスが遅く予想より広がらなかったため、主食用米がだぶついてしまったことも大きい。
米価対策を早く行わないと、この傾向は変わらない。
規模拡大を進める国の農業政策のシナリオにも矛盾が生じる。
米価下落は大規模農家ほど大きな打撃を受け、農地中間管理機構(農地集積バンク)を使って農地を集積しようとしても、この米価では担い手は農地を借りるのに慎重にならざるを得ない。
今後必要なのは、短期的対策と長期的対策だ。
今年度に限った対策では、ナラシに加入していない農家を含めてナラシの対象範囲を超えた所得の補填が必要だ。
長期的には、18年産で見直すとされる生産調整について、国が責任を持つことを前提とした新たな仕組みを早く提示することだ。
そうしなければ米価は下がり続けるだろう。
というもの。
積み重なった作戦ミスの結果が、これだ。
その場その場の対応というのは、最終的には悲劇を招くことがある。
政府に頼る農業のままでは、もう農業は継続できない。
産地は、自分たちの将来のために、何をするつもりなのだろうか。
内容は以下の通り
日本農業新聞の試算で収入減少影響緩和対策(ナラシ)の補填(ほてん)水準よりも販売収入が下回る見込みの産地が出た。
米卸からの値下げ圧力が強まり、産地と米卸間の取引価格である2014年産の相対取引価格が、過去最低まで下がったためだ。
栃木県は標準的収入額60キロ1万5070円に対して、販売収入の試算は1万807円(28.3%安)。
ナラシの補填対象となるのは1万2056円までのため、約1200円分は対象外となる。
青森県も、標準的収入額1万4158円に対して、販売収入の試算は1万824円(23.5%安)。
ナラシの補填対象の1万1327円を約500円下回っている。
試算は14年産の9月の相対取 引価格を基に、2015年3月まで同じ価格が続くと仮定。
銘柄ごとの価格を加重平均するのに用いる検査数量は、12年産の翌年6月時点を使った他、10アール収量も平年収量と仮定した。
標準的収入額の算出に使う銘柄が出そろっていない場合は、各県の農産物検査数量で80%を超える主要な銘柄の価格が発表された産地だけを試算した。
実際の補填額は15年3月までの販売価格や収穫量などによって決まる。
九州や西日本の一部は「ヒノヒカリ」などの主力品種の相対価格が発表されていないため、試算できなかった。
・東北大大学院冬木准教授 農地集積に影響も
日本農業新聞による収入減少影響緩和対策(ナラシ)試算を踏まえ、東北大学大学院の冬木勝仁准教授に米政策の課題を聞いた。
試算は予想通りの結果だ。
米価下落の傾向は2010年産から出ていた。
戸別所得補償制度の影響だ。
所得が補填される中で、需給が緩むと価格は下げ止まらなくなる。
価格が上がった11年産と12年産は東日本大震災の影響があり、特異だった。
経営所得安定対策を見直した14年産でも、流通業者は、所得を補填するナラシがあり、また将来的に生産調整が廃止されると認識しているため、「需給が締まることはない」とみている。
また14年産は飼料用米への助成を手厚くして主食用米からの転換を進めるつもりだったが、そのアナウンスが遅く予想より広がらなかったため、主食用米がだぶついてしまったことも大きい。
米価対策を早く行わないと、この傾向は変わらない。
規模拡大を進める国の農業政策のシナリオにも矛盾が生じる。
米価下落は大規模農家ほど大きな打撃を受け、農地中間管理機構(農地集積バンク)を使って農地を集積しようとしても、この米価では担い手は農地を借りるのに慎重にならざるを得ない。
今後必要なのは、短期的対策と長期的対策だ。
今年度に限った対策では、ナラシに加入していない農家を含めてナラシの対象範囲を超えた所得の補填が必要だ。
長期的には、18年産で見直すとされる生産調整について、国が責任を持つことを前提とした新たな仕組みを早く提示することだ。
そうしなければ米価は下がり続けるだろう。
というもの。
積み重なった作戦ミスの結果が、これだ。
その場その場の対応というのは、最終的には悲劇を招くことがある。
政府に頼る農業のままでは、もう農業は継続できない。
産地は、自分たちの将来のために、何をするつもりなのだろうか。