MONAのフォト・ギャラリー

写楽・・話楽・・・な日々

シデコブシ

2007-03-27 21:38:21 | 小さなおはなし

その日は、母の保護者面談。
通っているデイサービスのです。
私が子供の頃、学校に母が来てくれたことを思い出します。
数十年後に180度立場が換わって、私が保護者の立場になるなんて・・・考えもしませんでした。

その席には、スタッフ長さんとケアマネージャーさんと私の3人。
「近頃のAさん(母のこと)は、お家ではどうですか?」と訊かれます。

私 : 今年になってからレベルが低下してます。
スタッフ長 : 具体的に・・・たとえば?
私  : ○○○とか・・・△△△とか・・・
スタッフ長 : でもね、Aさんのお歳から言ったら、今の状態は奇跡的なことですよ! 要介護3とは、とても信じられない。
私 : (ポカン・・・)はあ・・・

と、まあ、こういう調子で続きました。
このデイサービスは、住んでいる自治体が関与しているもので、比較的軽度な方が多いんです。
ケアマネさんと、これから先、もう少し進んだら、少人数のデイサービスに変わった方が良いかもしれないと話していた矢先です。

スタッフ長 : とにかく、Aさんは誰にでも優しくて、気遣いが出来るし、新しく入った方は不安だから、必ずAさんの隣りに座ってもらって、安心してもらうようにしているんです。申し訳ないけど・・・
ボランティアさんもスタッフも、みんな、Aさんはどういう人生を送ってきて、こういう性格になられたのかしらって思ってますよ。

私 : はあ・・・でも・・・こちらで手が掛かるときがきたら、早めに教えていただけますか?
スタッフ長 : このまま穏やかに推移しますよ! ゼッターイに・・・だから、もしもなんて考えないで下さい。

その時はよく状況が分からなかったんだけど、介護の仕事は本当に大変。
でも、相手がコミニケーションとれる人ならば、その仕事もやりがいがあります。
話の端々から私が想像するには、つらいのは、年齢とともに周りに無関心になって、何をしてあげても反応がなかったり、人格も崩壊してしまったりする人を、モチベーションを持ち続けながら世話することなのではないでしょうか?

お世辞でなく、多分、母は皆さんに愛されているんでしょうね・・・
この状態で、少しでも人のお役に立てれば立派です。

デイサービスを終えた母と一緒に、庭に出ました。
そこには、シデコブシの花が青空いっぱいに咲いていました。

「きれいねー! この花を髪に挿したらいいわ・・・」
その母のひとことに、ふっと、まわりの空気が華やぎます。
まじまじと見た母は、童女のようにあどけなく微笑んでいます。

ほおっー!





 

コメント (14)
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