「 急性薔薇熱ですね 自然に治りますから 大丈夫 」
もう一度 モニター上のデータに 目を走らせるのは
理知的な横顔の 女医さんだ
「 今までも何回か 同じような症状になったことあるでしょう? 」
( そうそう・・・ )と 頷く
「 毎年5月は この病気が流行るんですよね 」
そう言えば・・・
今まで 木の刈り込みもしなかった 近所の家の庭が
突然 たくさんのバラの咲く庭に変身した
きっと 彼女は 重症の薔薇熱に罹ったのだろう
不思議なのは 塀で隔てられた 冷戦状態の隣の家の庭も
バラの庭となったこと・・・
とすると 薔薇熱は 視覚感染???
会計を済ませ
「 お大事に 」という 受付の言葉に見送られ 外に出た
熱は下がり始めたし もう大丈夫 !
ところで 何という名の 医院だったっけ?
振り向くと
「 ROSEクリニック 」という看板が 目に飛び込んできた