昔 旅人が 深い山奥で 道に迷ってしまったんだと
もうすぐ 日が暮れる
困り果てた 旅人は やっとの思いで 一軒の家に辿りついた
一夜の宿を 乞うと
主(あるじ)の 白い髭をたくわえた老人は 快く招き入れてくれた
老人が座をはずした間に 旅人は そっと 裏の戸を開けた
すると そこには
沈もうとする夕陽を浴びて 燃え上がるように
一面に ほおずきの実が 生っていた
余りの美しさに 一つもぎ取ろうと 手を伸ばすと・・・
いつの間にか 背後にいた老人が こう言った
「 取っては なりません
それは お日さまの子たちです
毎朝 新しいお日さまを 昇らせるために ここで 育てているのですから 」
***** ほおずきが お日さまの子というのは
実際に ある地方に伝わる民話です
それを 少し脚色してあります *****