モモコの頭に そっと 手を置く
目も開けようともせず モモコは
夢のなかで 駆けているのだろうか
時折 肢を ピクッ ピクッとさせ
夢のなかで 吠えているのだろうか
喉の奥で 小さく ウォン ウォンという
虫の音だけが ひと際 高く
あとは ただ 夜の静けさ
手のひらの下の 温もりに
このまま 過ぎゆく時を 止めてしまえたら
どんなにいいだろうと 思う
夏が去り 秋に移る 前の
季節の合間の エア・ポケット
いつもは 気づかぬ
心の奥底の 澱(おり)が
ゆらゆらと 立ち昇って来る
理由のない 哀しみは
人として 生まれた時に
授かるものかも 知れない
***** 一年前の写真です *****