王様とお妃さまが馬車で出かけてしまうと
残されたお姫さまは 退屈で お城の中の部屋を一つ一つ見て回りました
それから 入ったことのない塔のらせん階段を上り始めました
上り切ると 古びた扉がありました
扉を開けると 小さな部屋の真ん中で おばあさんが一人 糸車を回して糸を紡いでいました
「 まあ! おもしろそう・・ 」
お姫さまは近づいて手を伸ばしました
その指が 紡の先に触れた途端
声も上げず お姫さまは その場に倒れ 眠りはじめたのです
ネジバナの 螺旋状の花をみると
「いばらひめ」の こんな場面を思い出してしまいます
このネジバナ 我が家の裏庭(といっても通路)に 数年前から現れました
草取りの時も抜かないよう 歩く時も踏まないようにと 気を遣います
この季節に フッと現れる 不思議なお姫さま・・・
でも このお姫さま 結構 タフなのです
ネジバナの種は風に運ばれますが 土中にラン菌がある場所でないと育ちません
土中でラン菌に出会うと 種はラン菌を誘い 自分の体を包み込ませ菌糸を誘導します
でも 菌糸が入り込むのは許すのは 種の周辺部のどうでもよい部分だけ
一番大事な胚とその周りの細胞は 菌糸が入り込むのを拒絶します
ネジバナの胚は 菌糸から必要な養分を吸収し 芽を出し 葉を広げます
そして 自分で光合成が出来るようになった時 態度を豹変!
お世話になったけど利用価値のなくなったラン菌を溶かし 自分の栄養にしてしまいます
どうでしょう?
こんな可憐な お姫さまは・・・