これもずい分前のことで申し訳ないのですが、やっぱりアップさせてもらうことにしました。
火野正平さんの“にっぽん縦断こころ旅”は、番組が始まった頃からのファンですが、10月15日に放映された“こころ旅”は、
その中でも心に沁みるものの一つでした。
この日の“こころ旅”は、あの<奇跡の一本松>で全国に知られた陸前高田市の、津波後に造られた公園から出発だった。
津波後もしばらくは踏ん張っていた一本松だが、次第に枯れ始めたため、種を採って、今はレプリカが立っている。
正平さんは、いつも出発点で、皆さんから寄せられたお手紙を読まれ、皆さんの「こころの風景」を訪れるべく、チャリオ君
に乗って出発される。
この日のお手紙は、東日本大震災で娘さんと愛犬を亡くされた方(村上澄江さん)からのものだった。
村上さんも、愛する人を失った多くの人々と同じく、深い悲しみ・悔しさ・心の傷を負われるが、それを少しずつ癒していっ
たのが、「普門寺」の住職の呼びかけで始められた、亡き人の供養のため、その面影を石に彫るという作業だったという。
村上さんは、津波で流され帰らぬ人(犬)となった愛娘と愛犬の姿を、一心に彫られる。
笑顔が素敵だった娘さんは、彼女がよくしていたピースのポーズで。 その横に愛犬も一緒に坐らせて。
そして、石と格闘して彫り続けていくうちに、悲しみと悔しさで一杯だった心が、次第に癒されていくのを感じられたという。
村上さんだけでなく、その他の多くの人々が同じような気持ちで彫られた亡き人の像が、今は「五百羅漢」となって、普門寺
の境内に置かれているのだそうだ。
村上さんの“こころの風景”は、その普門寺の五百羅漢で、彼女の願いは、できたらその五百羅漢の中から自分の彫った
娘さんと愛犬の像を見つけて、その前でお手紙を読んでほしいというものだった。
正平さんとチームこころ旅の面々は、普門寺に向かって自転車を走らせられる。
そしていよいよ、普門寺の五百羅漢が安置されている所に到着!
そこには、いろいろな表情(動き)をした、在りし日の方々の羅漢像が並んでいた。
この日は、生憎の強い雨。
カッパ姿の正平さんは、雨に打たれながら、五百羅漢に向かって静かに頭を下げられていた。
その後正平さんたちは、沢山の羅漢像の中から、村上さんの彫られた「愛犬を伴った、ピースをした女の子」の像を探さ
れる。
だが、なかなか見つからない。
しかし、みんなで探しているうちに、やっと見つかった!
正平さんの指の先(写真の右端・中央)に、確かに…
アップにすると、紛れもなく、ピースをした女の子とワンちゃんだ!
普門寺の五百羅漢の話は、私は以前、テレビ番組で見たことがあるように思う。
そのときは、ホントにいい話だなあ!と、感動したことを覚えている。
でも今回、上の「女の子とワンちゃん」の石像を見たとき、東日本大震災で命を落とされた人(動物も)と、遺された方の、
両方の哀しみ・無念さが、再び立ち上がってくるような気がした。
(彫られた像があどけなく無邪気であればある程、逆にそれが失われた哀しみが、より深く私の胸に迫ってきた。)
村上さん達が石像(羅漢)を掘ることで、悲しみや苦しみを少しずつでも癒されていかれたことは嬉しいことだが、だからと
言って私たちは、決して震災(津波)の悲劇を忘れてはならないと、強く思った。
正平さんは最後に、村上さんの愛娘と愛犬の像の前で、静かにお手紙を読まれた。