畠山義綱のきままな能登ブログ

畠山義綱が見てきた史跡を紹介します。
時々、経済や政治などもつぶやきます。

平城京遷都1300年祭~其の4~

2010-08-15 16:38:00 | 旅行・観光
 さて平城京遷都1300年祭も其の4に突入。今回は、平城宮復元のメインとなる「第一次大極殿」をお送りします。



 朱雀門の北の踏切を越えたところでとった写真です。写真中央に写っているのが「第一次大極殿」です。



 周りを塀で囲ってありますが、これは当時の復元ではありません。入場料も無料の第一次大極殿ですので、あまり意味はないのですが、これはあくまで雰囲気を出すためのもののようです。囲っている範囲は当時の大極殿院(大極殿を囲む東西177m、南北319mの敷地)の塀と同じ規模のようです。



 これが第一次大極殿を正面で見たものです。かなり大きな建物です。これが1300年前に作られたとなると、相当の費用や技術がいることだったでしょう。復元にあたって、残念ながら基壇や礎石などの痕跡は失われていたそうです。奈良時代の中期に恭仁京に遷都したとき、そっくり解体して持って行ってしまうからだといわれています(柱はいいとして、基壇はどうやって持って行ったのか疑問だが)。
 基壇の大きさは、平城宮大極殿の遺構に加え、第一次大極殿が移転した恭仁京の大極殿の遺構を加味。さらに『続日本紀』や『年中行事絵巻』(平安京の大極殿の絵がある)などの絵画資料、現存する古代の建築物などを参考にして決められたという。法隆寺の本堂が古代建築で唯一2階があるため、大極殿も2階層としたそうだ。『年中行事絵巻』では大極殿の前面が壁がなく解放的な構造になっているそうで、それを参考に平城宮の大極殿も前の壁がない。写真では前面にガラスが見えるが、これは防犯上の観点で設置されたもの。ガラスは開閉できるようになっている。

 うん、やはりとっても豪華だ。しかし…やはり単体で建物をみるとどうしてもさみしい気がします。法隆寺なり、東大寺なり周りの建物が本堂の荘厳さをプッシュしてくれます。まるで塀や堀のない本丸だけの城のようです。だからこそ、復元ではないにしろ大極殿を囲む塀が必要だったのでしょう。
 
(↑「平城宮跡資料館」の大極殿院模型より)
 そうそう、これですよ。大極殿は単体ではなく、塀や門とセットの大極殿院でこそ荘厳さが表れる。塀も単なる柵ではなく回廊も存在する。正面に門が3門。これぞ奈良時代の超豪華建物。平城宮跡は国立公園で、今後も整備されていくが、将来的にはこの大極殿院全体の復元を視野に入れているらしい。その頃にまた平城宮跡を訪れてみたい。

 
(↑「平城宮跡資料館」の大極殿院模型より)
 さらに平城宮跡資料館によると、大極殿の後ろに「後殿」(こうでん)があったらしい。これらの建物を模型ではなくて見てみたいものだ。しかし将来の復元においては、大極殿院の中で後殿だけ復元されない予定になっているとか。これは予算の問題か?残念である。

 では大極殿の中に入りましょう。

 縁側の柵は高欄と呼ばれます。柵の木口や釘が打たれる部分には雨水などの保護から金具が打たれ、その上には色玉の宝珠付き金具が施されています。これは出土されたものではなく、想像上でつけられたもののよう。


 大極殿とは、平城宮における中心施設で、元日の朝賀や天皇の即位式など国家儀式の際に天皇が出御する場所です。復元された大極殿の中には「高御座」(たかみくら=天皇が着座する玉座)の実物模型がありました。奈良時代の高御座に関する資料がなく、これは大極殿の規模を考え、現存する大正天皇の高御座(京都御所)を参考に作られたと説明版にありました。やはり古代の資料はほとんど残っていないから想像に頼るしかない事実が浮き彫りになります。


 これは屋根の上の装飾です。デカイ。


 天井の上のデザインも洒落ています。もちろん発掘調査で天井のデザインが出てくるわけないので、これも想像復元です。



 大極殿から南にみた風景です。遠くに朱雀門が見えます。朱雀門まで平城宮ですから、どれだけ宮廷が大きいかわかります。ちなみにこの手前にいるのは我が嫡男です(笑)さらにその前の柵までが大極殿院です。これも相当の大きさです。現在はただの広場になっていますが、これが将来はこのように復元されるようです。

 このように、国家の儀式の時には貴族が立ち並んだわけです。その様子をぜひ復元で再現してもらいたいものです。



 大極殿を西に進んで交流広場へ。ここには公式記念品ショップやレストラン、フードコートがあります。朝の8時半に駐車場に入庫して回ること早5時間。時間はもう1時過ぎ。平城宮内は広いから歩いているとあっという間に時間がたちます。公園内には「ハートフルトレイン」なる乗り物もありますが、3歳以下の子ども連れが、体が不自由な方、高齢者の方ではなくては乗れません(実際に見たら若いカップルが乗っていたけど…条件を設定している割には結構甘いんだな…)。ちょうどお昼を食べようとしたら、イベントスペースに「せんとくん」が!妻も子どもも夢中になって走る。写真を撮ろうと大人気。せんとくん人気はかなりすごいのね。

 さてさて、其の4まで続いた「平城京遷都1300年祭」ですが、次が最後です。最後は「平城宮跡資料館」の様子をお伝えします。