Pieces of My Life♪ ニューヨーク近郊の暮らし

子育て専業主婦から脱出!ニューヨークで医療従事者しながらコロンビア大学大学院在籍。ニューヨークのお弁当も頻繁に更新中。

自閉症の子と問題の母親

2023-10-25 | 大学・仕事
このところずっと、仕事は絶好調だったんです。

40年間、50年間、
誰にも口を触らせない、
歯も磨かないし、磨かせない、
絶対に口を開けない、
噛みつく、大暴れする。
といった患者さんを男女合わせて計5名ほど、

「頼むから、ユウコになんとかしてみて欲しい。」
と連れて来られ、
全員、全身麻酔する必要もなく、
言うこと聞く。
口も開けるし、噛まないし、
レントゲンも撮れたし、
SRPという、血みどろになるクリーニングも開始しています。
どの患者さんも介護者2人付き添って来院するくらい、
大暴れすると見込んで連れて来られるのだけど、
拍子抜けするほどスムーズで、
最後は笑顔でバイバイ!っていう流れ。

正直、すっごいエネルギーを使うんだけど、
もの凄い遣り甲斐がある。
保護者の方には感謝して泣かれるし、
握手を求められたり、
患者さんにハグされたり、キスされたり。

9月から毎日こんな感じだったので、
とっても気分が良かったのですが、
今日の最後の患者さんで打ちのめされました。

11歳の女の子。
身長165㎝くらい。
へそ出しファッションで、学校を早退して来院。
母親は病院内で大きな帽子に大きなサングラス、
ルイヴィトンの限定デザインバッグを持って、
どこかのセレブかのように登場。
英語での会話は難しく、
スペイン語を話すので、こちらで通訳を手配。

親の素行はざっくり拝見させていただきます。
患者さんの行動に直結していますので。

自閉症ってことだけど、
話てみたり、様子を見る限り、
学習障害はあるけれど、
自閉症っぽさは薄く、
甘やかされて育った感じが非常に強い。

待合室にいる様子もざっくり見させていただきます。
が、既にギャアギャア言っている。
歯科医院に行くのが嫌だからなのか?と思ってみていると、
母親がiPadの充電をし忘れたとかで、
iPadが使えないことに激怒している。

名前を呼んで、歯科に案内すると、
母親が娘を無視して、お尻をブリブリ振りながら歯科へ。
娘、待合室の他の患者さんに唾を吐くという悪態ぶり。

悪夢はここから始まりました。

歯科の私の部屋に入っても、
デンタルチェアーには座らないと、ギャアギャア喚き始める。
「iPadを出して!」と壁、ドア、ゴミ箱、椅子など蹴り始める。
母親は、椅子に腰かけ足を組み、
「何とかして頂戴。歯科矯正も始めたし、
歯も磨けてないから、口の中無茶苦茶なのよ。」と言う。

「歯のクリーニングしている間に、充電しておこうね。」と言うも、
「今すぐ使えるiPadを出して!!」と喚き散らし、そこら中蹴り散らす。
「この子は馬鹿だから、充電コードに刺したら、
もう充電出来てると思ってるのよ。」と母親がスペイン語で言う。

邪魔だ、この母親。
足を引っ張るタイプだから、正直部屋から出て行って欲しいと思ったけれど、
そう言うと揉めるタイプだと思うから様子を見る。

「じゃあ、チェアーに座ろうか?」と促すも、
嫌だ~~~~~!!!!と金切り声を揚げ大暴れ。
何事かと(私が何かしでかしたのかと)、
看護師、社会福祉士、カウンセラー、歯科医師、歯科助手が駆けつけるも、
まだ何も始めていない状態。

「じゃあ、今日はやめとこうか?
また別の日に来る?」と言うと、

母親が、
「冗談じゃないわよ!この子にまた学校途中で抜けさせる気?
予約は今日なんだから、何とかしなさいよ!
ここまで来るのだって大変なのよ!
あなた、障害者診るトレーニング受けてんでしょ?」
と言う。

「娘さんがこんな状態ですし、今日は無理です。
そもそもチェアーに座らないですし。」
と歯科医師が言うと、

「無理矢理押さえ付けてでもチェアーに座らせないさいよ。」と母親。

「押さえ付けたりするような治療は、法に触れます。
そんな治療は出来ません。」
と歯科医師が言うと、

母親泣き喚き始める。

「誰も私の気持ちなんか分かってくれない。
どんなに大変だと思ってるの?
この子と一緒にいることが、どんなに辛いことか、
あなた達には分からないわよ!」
とスペイン語で泣き叫ぶ。

「保護者が押さえ付けることは構いません。
娘さんをチェアーに座らせることが出来ますか?」と歯科医師が言い、
母親が娘の腕を掴むと、
娘、大暴れし、床に転がり、叫び続ける。

その様子を母親は録画し始め、
”歯科スタッフが、この子に何もしてくれない”という証拠ビデオを撮り、
訴えると脅しだす。
(別に怖くも何ともないけど。100%この母親が負けるから)

「服が汚れるから、いい加減立ちなさい!」と母親。

娘、立ち上がり、そこら中を蹴り始め、
空気清浄機を蹴り壊す。

既に45分経過。
予約の治療時間終了。

「次の患者さんも待ってますし、予約取り直してください。
こんな状態では無理です。
無理矢理クリーニングしても、彼女の顔を怪我させる可能性のほうが高いです。」
と言うと、
母親、ブチ切れて、
何も言わず、
病院を出る。

常識として、
「お騒がせして申し訳ありませんでした。」とか、
「空気清浄機壊してすみませんでした。」とか、
一言あって普通だと思うけれど、
それも無し。

うちの子は自閉症なんだから、
騒いで当然、物を壊して当然、それの何が悪い!?
周囲が自分達の大変さを理解し、
自分達のために尽力するべきだ!

という母親の考えが、
この子をより生きにくくしているのにな。

最初から最後まで、
「娘のため」という言動はゼロ。
全てが自分中心。

似たようなタイプの母親には何人か遭っているけれど、
今回は強烈だったわ。
こういう子は、親元離れてグループホームで育った方が、
常識とか社会性とかが育つと思うけど…。

この子の次の予約を見てみると、
来週、また私に予約を入れていたので、
こっちでキャンセルして、スペイン語を話す、
何にも、治療もクリーニングもしない歯科医師の日に変更しておいた。

悪いけど、
私はこの子は二度と診ない。
そうカルテにも赤字で記入。
ブラックリストじゃなくて、レッドリスト。
今、3名います。
私にも拒否権はあります。
どの患者も母親に問題があるので診ないと決めました。
なのに、いつも再度予約が私に入る。
もう一度トライしてみて欲しいという思いがあるんでしょう、きっと。
自宅の近所にまで押しかけて来た母親もいました。
でも一旦レッドリストに載ると、
コンピューター内で弾かれるので、
診ることはないんです。

この子が嫌なのではなくて、この母親が無理。

同じ母親として、確かに同情もするけれど、
私の娘がこの子だったら、絶対にこんな育て方はしないと思う。
たぶん、引っ叩くとは思う、我が子だったら。
言ってる言葉の意味は分かっているし、
自閉症で気持ちの持って行き方が難しいのかもしれないけれど、
ここまでの悪態は許されない。
他人に唾を吐いたり、他人の物を壊したり。
しかも故意にしている点が、自閉症らしくない。

キャリアの観点から見ても、
私はカウンセラーでもないし、
社会福祉士でもない。
母親の心情や大変さまで理解するというのは、
私の業務内に入らない。

と、頭の中では割り切っているものの、
「これで良かったのか?」
「私に出来るアプローチの仕方はなかったのか?」
と、ずっとモヤモヤと悩んでいて、
もう深夜1:00を過ぎているのに寝られません…。

帰宅後、子供達に「ちょっとハグさせて。」と言って、
ハグしました。
反抗期やら何やらで、
ムカつく~~~!!と思うことの多い子供達ですが、
あの子のように育っていなくて本当に良かったと思った。

今の自分に、家族に、子供達に感謝できる切っ掛けを与えてくれたんだ、
と思うことにして、
今日、あの子と、その母親に出会ったことも「良かった」ことと捉えます。

非常に疲れたけど…。

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コメント
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