男が女を好きになる。女が男を好きになる。人間が人間を好きになる。
これはすべてご命令だからだ。そうせよというご命令に従っているのだ。
好かぬようになるのではなく、好きになる。これでいいのだ。
好きになればあとはしめたものだ。
*
相手が美しくなる。爪先から頭のてっぺんまで美しくなる。後光が射してくる。
相手にやさしくしたくなる。とことん尽くしたくなる。
*
では、好かぬようになったらどうすればいいのだ。
*
万事休すだ。
*
人間が美しく見えてこない。やさしさをも求めない。
こっちもこっちならそっちもそっちだ。世界が背中合わせになる。
こうなればしばらくはふてぶてしくして寝て暮らす。
*
ふてぶてしい顔の三郎は、今日は白い白い夏雲の下をとぼとぼ歩く。
好かぬようになるこたあなかったのだ。ご命令に背くこたあなかったのだ。
*
ろくなことはない。さぶしくて深閑としている。靴先で小石を蹴って音を立ててみた。
木の根株に当たってようやく小石が音を立てた。
これはすべてご命令だからだ。そうせよというご命令に従っているのだ。
好かぬようになるのではなく、好きになる。これでいいのだ。
好きになればあとはしめたものだ。
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相手が美しくなる。爪先から頭のてっぺんまで美しくなる。後光が射してくる。
相手にやさしくしたくなる。とことん尽くしたくなる。
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では、好かぬようになったらどうすればいいのだ。
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万事休すだ。
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人間が美しく見えてこない。やさしさをも求めない。
こっちもこっちならそっちもそっちだ。世界が背中合わせになる。
こうなればしばらくはふてぶてしくして寝て暮らす。
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ふてぶてしい顔の三郎は、今日は白い白い夏雲の下をとぼとぼ歩く。
好かぬようになるこたあなかったのだ。ご命令に背くこたあなかったのだ。
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ろくなことはない。さぶしくて深閑としている。靴先で小石を蹴って音を立ててみた。
木の根株に当たってようやく小石が音を立てた。