朝顔の蔓が伸びてきて三郎の乗る自転車に巻き付こうとしている。風が蔓を揺するので、まるで三郎においでおいでをしているようである。
で、三郎は、おいでおいでに従う。風が強くなったので大袈裟に揺すってくる。蔓の長さは45cm。これが宙を舞っている。そうとうしっかりしていなければ折れてしまいそうだが、折れないでいる。
執拗においでおいでを続けている。もうすぐ自転車のサドルに到達するところだが、あと5cmを遺している。タッチしただけではだめで、これにつかまらなければならない。
三郎は麻紐を持って行って、蔓の曲線を少しばかり直線に直して、これで結んで固定をしてやる。もうおいでおいでをしなくてもすむので、朝顔は安心したようにしている。揺れないでいる。
たったそれだけのことをし遂げて三郎は快適になっている。三郎という男は実に安上がりな男だ。銭のかからない男だ。
おっと、じゃどうするんだ? 夕方サイクリングに出掛けて行くことになっているというのに、どうするんだ? 三郎は頭を抱え込んだ。
安上がりの正体は頭の悪い三郎、というだけのことだったんだ。
で、三郎は、おいでおいでに従う。風が強くなったので大袈裟に揺すってくる。蔓の長さは45cm。これが宙を舞っている。そうとうしっかりしていなければ折れてしまいそうだが、折れないでいる。
執拗においでおいでを続けている。もうすぐ自転車のサドルに到達するところだが、あと5cmを遺している。タッチしただけではだめで、これにつかまらなければならない。
三郎は麻紐を持って行って、蔓の曲線を少しばかり直線に直して、これで結んで固定をしてやる。もうおいでおいでをしなくてもすむので、朝顔は安心したようにしている。揺れないでいる。
たったそれだけのことをし遂げて三郎は快適になっている。三郎という男は実に安上がりな男だ。銭のかからない男だ。
おっと、じゃどうするんだ? 夕方サイクリングに出掛けて行くことになっているというのに、どうするんだ? 三郎は頭を抱え込んだ。
安上がりの正体は頭の悪い三郎、というだけのことだったんだ。