山鳩が来ている。低音のバスで鳴いている。ぶっほう、ぼっほう、ばっふう、ばひぼぼっほう、などと聞こえる。樫の木の茂みあたりに止まっているようだ。
*
雨蛙もこれに負けじと鳴きだした。げっげっげっげ、がっがっがっが、ぐっぐっぐっぐ。山里はもうすぐ水遣りだ。田圃に水が入り出す。小川の水量が増える。
*
三郎はこのところ人に会っていない。人に会って人と話をしていない。会うのを嫌っているわけではない。山鳩や雨蛙を聞いていればそれでさみしさがまぎれてしまうので、わざわざ人のところまで行かないですんでいるようなのだ。
*
でも、会ってみたい。人間の持つやさしさにまみれていたい。こちらが会うということは相手もこちらに会うことになる。
三郎はのっぺらぼうだ。のっぺらぼうの三郎を見たら、見た人はげんなりになって言葉を失ってしまうかもしれない。
*
顔には毛がない。頭にも顎にも頬にも、毛がない。ストレス性無毛症だ。おまけにやせこけて眼下が深くえぐれている。火星人そっくりだ。よろよろしている。よぼよぼしている。これじゃ、相手にプラスの感情を供与できないよ。
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雨蛙もこれに負けじと鳴きだした。げっげっげっげ、がっがっがっが、ぐっぐっぐっぐ。山里はもうすぐ水遣りだ。田圃に水が入り出す。小川の水量が増える。
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三郎はこのところ人に会っていない。人に会って人と話をしていない。会うのを嫌っているわけではない。山鳩や雨蛙を聞いていればそれでさみしさがまぎれてしまうので、わざわざ人のところまで行かないですんでいるようなのだ。
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でも、会ってみたい。人間の持つやさしさにまみれていたい。こちらが会うということは相手もこちらに会うことになる。
三郎はのっぺらぼうだ。のっぺらぼうの三郎を見たら、見た人はげんなりになって言葉を失ってしまうかもしれない。
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顔には毛がない。頭にも顎にも頬にも、毛がない。ストレス性無毛症だ。おまけにやせこけて眼下が深くえぐれている。火星人そっくりだ。よろよろしている。よぼよぼしている。これじゃ、相手にプラスの感情を供与できないよ。