なんだ、お前はこんなことをして楽しんでいるのか。
へ。
大根を掘り上げて来て、洗って、皮を剥いて、右手に包丁を握って、丁寧に丁寧に薄く小さく切っていく。さらにそれを細くする。
冬の日の里山に住む老爺の、切り干し大根作り。
此が結構楽しい。いつまででもしていられる。飽きが来ない。
その間、お喋りなし。これがいい。
一人を通す。
こととんこととんこととん、まな板と庖丁の音楽を聞いている。
人は、どんなことでも楽しいことにできる。
人が見たら、つまらないことに見えていても、本人はそれがつまらないことではない。そこが不思議。
朝の時間を、これで楽しんでいる。しばらく楽しんでいられる。