各市(区)町村立図書館だとスペース確保のため、読まれなくなった古い本をリサイクルに回したりしていますが、国立国会図書館では国内で発刊された古い書籍すべてを所蔵しています。
もちろん、青ヶ島に関する資料もたくさん所蔵されていますので、今日は行ってみました。
興味のあった本は・・・
・「青ヶ島島史」 1980年 出版地 青ヶ島村 出版者 青ヶ島村役場
・「くろしおの子 青ヶ島の生活と記録」 1955年 著者 高津勉
・「黒潮のはてに子らありて」 1961年 著者 高津勉
・「青ガ島教室」 1955年 著者 高津勉
国会図書館は敷居の高そうなイメージがしますが、18歳以上ならどなたでも閲覧できます。
玄関に何台か設置されている「利用者カード発行機」で名前、電話番号を入力するとICチップのカードが出てきます。
カバンを持ったまま自動改札機を通そうとすると、すかさず警備員に呼び止められ、カバンは無料のコインロッカーに預けるようにとのこと。
さらにノートや筆記道具、財布は中身がわかるように透明な袋に入れて携行するようにとのこと。
でも、ここには市町村立図書館みたいに自由に手に取ってみる一般開架コーナーがありません。
インターネットカフェなのか?と間違えられるほど無数のパソコンが・・・。
案内係に書き写したリストを見せながらどうすればよいのかと聞いてみると、「あそこにあるパソコンでタイトルを入力し、申し込んでください。20分ほどで貸出カウンターに本が届きます。
カウンターの手前にカードのID番号で本の到着を知らせるモニターがありますので、表示されたら、IDカードとともに貸出カウンターにお越しください」とのこと。
なるほど・・・こういう手間のかかる閲覧システムだけど、厳しい管理のもので大切に保管されていることがわかります。
巨体な図書館なので、リクエストされた本を職員またはロボット(?)が探し、自動運搬装置に乗せ、貸出カウンターまでお届けなのかどうかは私にはわかりませんが・・・。
自由に手にとってみる本もなく、20分待つのは結構長く感じますね。
1度に申し込めるのは3冊までなので、残り1冊は読み終えた1冊を返却後、パソコンから申し込めるそうだ。
著者の高津勉先生は昭和25(1950)年、青ヶ島小中学校に赴任。
10月に出発し、青ヶ島にたどり着いたのは12月。
当時を描く青ヶ島は想像を絶するほどすさまじい。
今のように港がなく、岩礁で成り立っている船着き場から艀(はしけ)で「エイサ、エイサ」という掛け声とともに、波で艀が旅船のデッキに上がったところを見計らい、乗客を降ろすやり方。
高津先生も青ヶ島に赴任した日の夜は内地の人には通じない島言葉にカルチャーショック、「こんな外国のような島に来るんじゃなかった、次の船で帰ろう」とランプの下で泣き明かしたそうです。
すぐに帰ろうと思っていたのに、図書館の設置、赴任5年目で読み書きの成果でもある文集「くろしお」の創刊、校歌制定、7年目で島内史上初の修学旅行実施など学校教育の充実に尽くされた方なのです。
青ヶ島に赴任した教師たちは次の船(といっても3~4ケ月後)で内地に帰ってしまうのがほとんどなのに、高津先生は青ヶ島における教育を変えようと結局10年間は教鞭をとった。
高津先生はこの間の「思いっきりテレビ」で出演、80歳になられましたが、お元気でやっておられます。
大変興味のある文献でした。
昭和30年頃の青ヶ島・三宝港。(高津勉先生の本)
港とは名ばかり、実は船着き場だそうです。
石ころは今でも水中を覗けば残っているみたいです。私の憶測ですが・・・。 当時は艀作業の組合があったらしいです。
艀は波が出ると作業ができないので、物資を乗せた大型客船が目前にやってきても、そのまま引き返すことが何度かあったそうです。 2007年の三宝港。
今でも船着き場だった頃の岩が見えますね・・・。
※国立国会図書館は館外持ち出し不可ですが、市(区)町村立図書館のレファレンスカウンターを通しての貸出は可能です。その際にかかる、往復の送料は無料です。
原則として、都道府県内での相互貸出ですが、今回の青ヶ島みたいに国会図書館しかない本はこのサービスを受けられます。
※複写サービスはやはり、IDカードでパソコンからの申し込みでした。
申込票がプリンタから出てきて、複写したいページを記入。
しおりをはさんでおき、複写サービスカウンターに持っていきます。
到着案内モニターに自分のIDカード番号が表示されたら、受取りと支払い。
1枚25円でした。
初めての人だと迷いやすいところですが、職員たちは親切に案内してくれます。
<おまけ> 秘境の写真ばかりなので、 都会的なものを載せました。
東京に行くのに便利なアクアライン高速バスの発着している品川駅東口の夕景。