書店の変なジャンルにあった「怖い島」という本を発見。
収録している伊豆諸島は新島、八丈島、青ヶ島。
青ヶ島に関する資料なら手元に残したいと思い、購入。550円でした。
この資料は図書館の書誌データもなく、図書館資料としては例外になっています。
新島のページを開くと、海難法師の伝説が載っていました。
新島だけではなく、御蔵島もそのような話を聞いたことがありますし、伊豆七島全地域に伝わる伝説だそうです。
江戸時代初期の寛永5年(1628)年、豊島忠松という悪代官がいた。
自分の利益のために悪質な取り立てを繰り返し、島民たちを苦しませていた。
ある日、我慢の限界を越えた島民たちは忠松の殺害をたくらみ、わざと海が荒れる日を選んで島めぐりを勧めた。
1月24日、まんまと罠にはまった忠松は島民の言われるとおりに海に出て、荒波に呑まれて亡くなってしまった。
毎年1月24日になると、島民たちに騙されたのを怨む忠松の霊が海難法師になり、伊豆七島の島々を巡るようになった。
この1月24日を「物忌みの日」とし、外出は禁じられ、家にこもる風習がある。 東京都A島と書かれていますが、描かれている島は青ヶ島だということがわかります。
「巫女(みこ)が島を支配する!神々が棲む神秘の孤島」
映画アイランドタイムズにも出ていたとおり、青ヶ島は神社が多く、よろずの神々が住んでいると言われています。
三宝港の都道上手沿いにあった、「三宝港鎮守大明神」。
これは三宝港の守り神を祀っていると思われる。 ペリポート付近の「金毘羅(こんぴら)様」。
天明の噴火(1785年)から50年間も無人島だった青ヶ島に還住を果たした、佐々木次郎太夫が島の守り神として祀ったのが始まりだそうです。
(写真はいずれ2007年7月、青ヶ島に行ったとき撮影)
神々が棲んでいる島なので、当然のことながら神をつかさどる「巫女(みこ)」もいらっしゃいます。
しかし、本書に書かれている内容に少し信憑性が・・・。
巫女になるためにカミソウゼ(神移し)の儀式があるというのは本当の話。
「この島には26もの神が祀られていて、巫女になった女性はその神々の言葉を聞き、行事などを取り仕切っている。また、島民に降りかかった災いなどを祈祷により、取りはらってくれる。助産婦もいないからね。出産時には、安産に導くのも巫女の仕事のひとつだよ」(島民Aさん)
それって、いつの話!?と突っ込みたくなります。
昭和30~40年代の青ヶ島は交通も遮断され、クニ(本土)との交流があまりなく、天災などの凶事を避けようと巫女さんがお祈りする独特な風習が続いていた時代もありました。しかし、現代は生活水準が本土と変わらなくなっているし、医療制度も整えているし、何でも神頼みというような風習はなくなっているだろうと思います。
島の歴史や事情をよく知っていれば、「怖い島」の本を手元に残す価値はあまりなさそう。読み捨てかな。