かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

返せない者の選択

2008-06-01 | 事例
Kは、弁護士に依頼する寸前、破産をやめることにしました。
自分で、第2会社を作り、これで対抗することにしたのです。
当初、銀行に借金の返済が出来なくなった時、弁護士が
薦める破産しか頭にありませんでした。破産することが借金を
返せなくなった者の義務とも思って居たのです。

Kは、最近知った第2会社の方に傾いたのです。
知人が、破産を決める前に他の意見も聞いておいた方がよいよと、
別の相談者を紹介してくれたのでです。その結果です。

「破産は、借金は無くなりますからその点は楽です。しかし個人資産も
 無くなります。早い例が今乗っている車も取られるでしょう。
 それに、一番困るのは、会社が無くなりますから、当面仕事は無く、
 生活に直ちに響いて来ることです。」

「第2会社の方は、借金については、後で保証人とサービサーが
 交渉しなければなりませんが、其れとて和解額は残債の3%か
 5%が相場です。今お持ちの資産など、うまく守れます。
 車も大丈夫です。勿論仕事も続けられます。勿論簡単に第2会社が
 出来るとは思いませんが、私だったら先ず第2会社にチャレンジを
 します。破産は其れを失敗してからでもよいですよ。」
そんな言葉を信じて、第2会社の方を選んだのです。

しかし、第2会社の件も早くも暗礁に乗り上げました。
得意先が、「新規の口座は作れない。」と言うのです。
詳しく内情を説明する事も出来ません。Kの会社は危ない会社だと
判断されれば、材料支給が無くなります。此の事だけでも、Kは
第2会社案を諦めざるを得ませんでした。

結局Kは其れだったら、今のままの会社で行こう。
それで出来なくなったら、その時は其の時さと腹を括ったのです。
此処で又破産に戻るつもりはありません。結局お金が返せなくなっても、
債権者ができるのは差押だけだと云う事が解かってきたからです。
破産もしない。第2会社も作らない。今の会社でやって居て、
差押対策を考えた方が一番効果があると思ったからです。

腹を決めたKは強いです。
もう銀行を恐れません。言葉に気をつけて全然返済しません。
おかげで工場は辛うじてですが、回って居ります。

銀行は工場の任売をKに言って来ました。
建物は会社所有ですが、土地は借地です。しかしその土地は
地主が他に貸そうとしても、工場以外に使いようが無い場所です。
親戚の名前で安く買戻しました。

結局、借りたお金を銀行に返済できなくなったKは、
工場の買戻しをしただけで何もして居ません。
それで商売はつつがなく続いています。
「返済が出来なくても平気さ。担保の買い戻しさえ
 出来れば、銀行もそれ以上何も出来ないよ。」
もうKは、不良対策は全て任せろと言う気分です。

そのまま債権はサービサーに譲渡されました。
Kはサービサーの呼び出しなども無視しません。
きちんと出かけ、自分は払えない説明をして居ます。
明細は見せませんが決算書と試算表は見せております。
そして支払いしません。

今度の担当は少しきついです。
今までと同じ、言葉使いも丁寧で紳士的ですが、きつい事を言います。
「払えないのならば月に1万円でよいから払って下さい。
 それで一定期間過ぎたら又話し合いましょう。」
と提案するサービサーを毅然として撥ね付けたのです。

ついにサービサーは「法的回収に入ります。」と宣言したのです。
売掛金の差押は困ります。しかし一番最初にこのサービサーは、
売掛金の差押だけは遣ったことの無い会社と言いました。
ないと思います。その他は何を差押えてきても対策は取ってある。
大丈夫と多寡を括っていた面もあります。

売掛金さえなければ、何があっても良いと考えて居たKに
届いたのは、予想もしなかった書類でした。
「工場の買戻し資金は実際はKが出している。其の証拠にはKは現在、
 他人が借りている土地の賃料を払い、建物の賃料は払っていない。」
と詐害行為の取り消し訴訟をし、建物の仮処分をしてきたのです。

Kが渡した決算書や試算表から推測したのだと思います。

この裁判は、買った当人が金の出所を説明できず、
ついにKが出したと認めてしまったのです。

今まで順調に来たKの借金対策も此処に来てボロが出始めました。
今度強制競売があったら地主を利用しようと思っていたKに、
今までしたことがないと無いと言っていた売掛金の差押もあったのです。

会社は倒産せざるを得なくなりました。
最後のたった一つサービサーの対応を間違えたからです。
最後の選択、小さくても致命傷になります。
Kの取ってきた選択は正しかったでしょうか。





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