かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

ささやかな執行妨害

2008-06-15 | 事例
支線を1時間以上走った田舎の駅、さらに其処から車で20分位の処です。
コンビニもない数軒のです。
其処に彼の豪邸が有ります。
既に一家は町に移住して居りますが彼の故郷です。
工場が此処から近い山の麓だったために此処に住まいを移したのです。

需要の減ったタイル製造業、不景気をまともに受け、
返済はもう出来ません。競売も見えてきました。
どんな事をしてもこの家を守りたいです。

町の2-3の不動産屋は全く同じ事を言って居ます。
「売れる場所ではないよ。何もしなくても大丈夫さ。2回目の時、
 特別売却で競売価格の80%で買い戻せばよいでしょう。」

銀行に返済を止めた時から心配だった彼は、期限の利益の
喪失通知を受けると同時に手を打ったのです。
家は相当広いです。其の1部を甥で彼の会社の社員に
間借りの形式をさせたのです。住人票だけを移したのです。
勿論甥は町から通っています。

其れと家の前、道路までは100坪くらいの空き地です。
両隅に登記もしてなく、固定資産税も払っていない車庫があります。
彼は知り合いにこの土地を、以前から貸してあることにしたのです。
契約書の日付は偶然か、競売法が変わる1ヶ月くらいの前でした。
空き地ででは効果が薄い、其処に知り合いが車庫を建てたという
筋書きです。

賃借権と件外物件、そうしたものを作り上げたのです。
まるで平成10年頃流行った執行妨害です。
彼は唯でさえも売れない物件、それに賃貸借や懸崖物件が
絡んでは買う人は居ないという見込みです。

任売の価格は折り合わず、思惑とおりに競売になりました。
何せ費用だけは2億以上かけた住まいです。まだ10年たっていません。
銀行と彼の主張に開きが大きく、話し合う前の段階で意見は、
一致しません。彼は一回の競売では落ちないだろうから、
2回目の競売の特別売却で買い戻す方針です。

物件調査には立ち会って賃貸を良く説明しました。
母屋に入るには隅を通らないとなりません。
便利のつもりで立てた家が田舎向きでなく、かえって使いにくいと
説明もしました。
其の甲斐あってか競売基準価格は3100万と建築費の1割強です。

現況調査報告書は甥の賃貸を認め、売却日から6ヶ月以内に
要求あれば明け渡すことまで書いています。
肝心の知り合いとの空き地の契約は単に契約が、
あるとしか書いてありませんでした。その為に彼はこの契約は
認められて、知り合いはずうっとこの場所を占有しても良い、
そう判断したのです。そんな物件は売れる筈がありません。

入札になりました。
知り合いは念の為に基準価格前後で入札を薦めましたが
彼は無視しました。ところが此れが落ちたのです。
価格は2500万、基準価格のほぼ8割です。

彼はびっくりしました。
しかし入札に対して文句を言っても仕方ありません。
此れは現況調査報告書に知り合いの賃貸借は有効だと
言うことを書かなかったせいだと直ぐに異議の申立てです。

しかし此処で彼は次の事を知ったのです。
「現況報告書に書かれた権利関係はその後、裁判官が判断して
 物件明細書に記載する。其れは判決と同じ重みがある。
 公示されれば先ず変更は出来ない。だから物件明細書が
 出たらすぐに申し出ないと駄目です。」
彼は物件明細書と云うものがあると初めて知ったのです。

物件明細書には次のように書かれていました。
「同人の賃借権は対抗要件を満たしていない。」
又、車庫は「同人の賃借権は抵当権に遅れる。但し6ヶ月が
明け渡しが猶予される。」
甥の賃貸も同じことです。

買った相手は北海道の会社です。
後で調べるとこうした物件を買いあさっているらしいです。
目的は元の所有者に買い戻させることが第一でしょう。
しかし相当高くなります。

執行意妨害など過去の話、今は不可能と考えたほうがよいでしょう。
彼も下手な工作をするより、任売が駄目と解かった時、
入札を覚悟すれば、売却可能価格に100万円の加えれば落ちた訳です。

彼は居座りを覚悟して居ます。
どうやら業者は強制執行のつもりらしいです。

幾ら人が強制執行の恐ろしさを説明しても頭に入りません。
執行前の調査、もう済みました。

どうなるでしょうか。  





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