「凛夏-りんか」
●凛夏(りんか)とは
◆凛夏の来歴
「凛夏」は農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)が(「豊水」×「おさ二十世紀」)と「あきあかり」を交配し育成した大果で食味良好な早生のニホンナシです。育成の過程は以下の通りです。
1996(平成8)年 茨城県つくば市にある果樹研究所(現:国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構において、中生の育成種269-21(「豊水」×「おさ二十世紀」)に、早生で食味がいい「あきあかり」を交雑し、得られた実生から選抜。
2007(平成19)年~2012(平成24)年 「ナシ筑波55号」としてナシ第8回系統適応性検定試験に供試して検討。
2013(平成25)年 試験成績検討会において新品種候補とし、種苗法に基づく品種登録出願、及び公表。
2015(平成27)年 品種登録完了。
「凛夏」は近年の温暖化のなか、休眠期の高温によって花芽の枯死等の生育異常が発生している温暖な地域でも栽培しやすい品種となっています。
◆凛夏(りんか)の特徴
「凛夏」は果実の大きさは 500 g 前後(系統適応検査では、平均果実重は 307 ~ 616 g で全国平均は 448 gとなっています)と大きく、果形は円形で揃いが良い傾向があります。
果皮は黄褐色で果点はやや大きめですが全体に粗く分布、赤梨にしては豊水などと比べても表面は滑らかです。
果肉は白く、「幸水」よりも柔らかくジューシーで、糖度は13度前後で酸味が少しあります。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の形は円形、梗あの深さはやや深、梗あの幅はやや広、がくあの深さは浅、がくあの幅は中、果実の大きさは大。
果皮の色は黄赤褐、果点の大きさはやや大、果点の粗密は粗、果面の粗滑(赤なし品種に限る)は滑。
果柄の長さは中、果柄の太さはやや細、肉梗の有無は無、果芯の形は短紡錘形、果芯の大きさは小。
果肉の色は白、果肉の硬さは軟、果肉の粗密は密。
果実の甘味はやや高、果実の酸味は中、果汁の多少は多。
-----』
◆実際に食べてみた凛夏の食味
撮影試食した「凛夏」は千葉県船橋市の鈴果園から購入したもので、届いた前日に収穫されたものと書かれていました。果実重は380g前後と、「凛夏」としては小さめのようです。
箱に詰められていた「凛夏」はどれも整った形で、傾向としてはやや肩の部分がふくらみ、お尻(果頂部)に向けて緩やかに締まっていくような形をしています。
果皮表面は赤梨らしい果点が見られますが、コルク質が少なく、撫でた感じはあまりざらつきがなくさらっとしています。
食べてみると果肉の歯触りがとても軽く、シャクっと噛んだ瞬間に果汁が口の中に広がる感じで、そのジューシーさに驚きました。甘味もしっかりとあり、その陰に優しい酸味があることで後口もすっきりとしています。糖度を計ってみると13度以上ありました。
●凛夏(りんか)の主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「凛夏」は九州など暖かい産地でも栽培しやすい品種とうたわれています。まだ、新しい品種という事もあり、農林水産省の平成30年産特産果樹生産動態等調査では記録がありませんでした。
各地の梨産地で様子をみながら栽培を始められているところではないでしょうか。食味的にはとてもいい梨だと思うので、今後増えていくことを期待します。
◆凛夏の収穫時期と旬
「凛夏」は「幸水」とほぼ同時期に成熟する早生の品種となっています。
産地によって収穫時期に幅があるようで、系統適応検査の結果では各地の試験場での『収穫中央日は 8 月 5 日~ 9 月 22 日まで変異が見られ,全国平均値は 8 月 25 日』となっています。
*https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/nashi-Rinka.htm より