「3D立体ペーパーパズル」
紙に命を吹き込め。
紙の温もりを活かしながら、立体表現の限界に挑戦。
今にも動き出しそうな、繊細でリアルなフォルム。紙製品とは思えないほどの精密に再現された骨格。この恐竜だけでなく、昆虫や海洋生物などの3D立体ペーパーパズルで人気を博しているのが、株式会社ウラノだ。デザインから撮影・製版・印刷まで手がける同社が、デジタル化による印刷業界の低迷を背景に、エコ素材かぐ什器やディスプレイを制作するため、3D技術を導入したのが数年前。
ある時、スズメバチ展のための顔出しパネルとともに、2メートルものスズメバチのオブジェを制作する機会があった。試しに同じデータを使って原寸サイズのものをつくってみたところ、驚くほどリアルなものができた。代表取締役の浦野公義さんも、その完成度に「これなら商品としても売れる」という手応えを感じたと語る。価格競争ではなく、「ものづくりの原点に立ち返って、他には真似のできないものをつくりたい」。そう考えていた同社にとって、ひとつの方向性が見えた瞬間だ。この商品の最大の魅力である、繊細なフォルムやディテールを生み出すのが、独自のレーザーカット技術。設計図と紙質にあわせて、パーツがきれいに抜けるように、レーザーカッターの強さとスピードを調整して操作することで、それは可能となる。一点一点カットする作業は大変だが、「苦労してつくったものは簡単には模倣ができない。だから、できるだけ苦労をしようと言っています」。そこには、紙素材と加工で新しい文化をつくり出した、自社の技術への信頼と自信もうかがえる。
現在アイテム数は約1,000超。自然界のさまざまな生き物をテーマにサイエンス寄りのコレクションが多く、マニア心をくすぐるデザインとリアル感は、世代を超えて夢中にさせる魅力がある。そして造型もさることながら、この商品には自分で組み立てる楽しさもある。ハガキサイズの特殊厚紙におさまったパーツを抜き取り、順番に組み立てていくと、新たな生命が宿ったように生き物たちの形が蘇る。海遊館をはじめ多くの博物館でも販売されており、最近ではフクイラプトルや三重県総合博物館のミエゾウのように、博物館の監修を受けたものも増えてきた。現在も毎日のように新作が生み出されているが、熱がさめないうちにアイデアを試作できるのは、デザイン・設計から製造までを兼ね備えた会社の強みだ。
この商品のヒットによって社内の意識も変わったという。BtoBのものづくりからBtoCの面白さを知り、従来の顧客に対しても、経験を通しての提案もできるようになった。今後に関しても「メタルや樹脂といった素材もありますが、うちはあくまでも紙にこだわりたい」と、印刷のプロとして「紙での表現」に挑み続ける姿勢をみせた。
株式会社ウラノ 大阪市鶴見区緑4-2-64
*https://osaka-sei.m-osaka.com/product/281/ より
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