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日経トレンディ 2023 ヒット予測100 30位 PayPayポイント

2023-01-01 08:27:10 | ヒット予測

 日経トレンディ 2023 ヒット予測100

 「30位 PayPayポイント」

 楽天ポイント・dポイント・T-Point・Pontaに次ぎ、「PayPayポイント」が共通ポイントに参入(2022年10月)し、2023年大きく飛躍すると。

 PayPay参入、共通ポイント業界の勢力図はどう変わる 日経新聞 2022年7月27日

 共通ポイント業界に「本命」がいよいよ参入する。スマートフォン決済で首位のPayPay(ペイペイ)だ。NTTドコモや楽天グループなどのライバル勢は、PayPayがスマホ決済と同様に、豊富な資金力を元手に共通ポイント業界に殴り込みをかける構図を警戒する。PayPay参入で共通ポイント業界の勢力図はどう変わるのか。

 「うちの加盟店に営業攻勢をかけている」。ある共通ポイント事業者の幹部は、PayPayに対する警戒感を日々強めている。

 PayPayは今春、共通ポイント業界への参入計画を明らかにした。2022年10月以降、「PayPayポイント」をグループ外に開放する予定だ。

 同社によると、PayPayポイントの発行額は20年度時点で既に業界2番手の水準で、23年度に業界首位を狙うという。現時点で、PayPayは共通ポイント参入に関する詳細な戦略を明らかにしておらず、それが一層、ライバル勢の疑心暗鬼を強めている。

 共通ポイント業界は大手5社体制に
 今、共通ポイント業界は、ドコモの「dポイント」、三菱商事やKDDIなどが出資するロイヤリティマーケティング(東京・渋谷)の「Ponta(ポンタ)」、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の「Tポイント」、楽天グループの「楽天ポイント」の4社体制だ。

 10年代前半まで老舗のTポイントとPontaが業界をけん引していたところ、14年に楽天(現・楽天グループ)、15年にドコモが相次ぎ参入し、今の構図が固まった。PayPayの参入に伴い、グループ外にも開放している共通ポイント事業者は、これら大手5社がしのぎを削る形になる。

 なぜPayPayはドコモ参入から7年近くがたったこのタイミングで、共通ポイントに乗り出すことを決めたのか。

 PayPayは18年にスマホ決済を始めた当初は、共通ポイント参入に必ずしも前向きではなかった。PayPayに出資するソフトバンク幹部は19年秋の時点で「共通ポイント参入に意味があるかどうかだ。ある程度は(ポイントをグループ内に)抱え込んだ方がいいという考え方もある」と語っていた。

 転機はポイントを巡るヤフーとCCCの蜜月関係の終焉(しゅうえん)だ。ヤフーが22年3月末で「Yahoo!ショッピング」などでのTポイントの付与・利用を終了し、4月からPayPayポイントに全面的に切り替えたのだ。

 Tポイントからの離脱に歩調を合わせる形で、ヤフーを傘下に抱えるZホールディングス(HD)とソフトバンクは3月末、Tポイント運営会社であるTポイント・ジャパン(TPJ、東京・渋谷)の保有株式をCCC側に全て売却し、TPJに派遣していた取締役も退任させた。

 ヤフーとCCCは12年に戦略的資本・業務提携で基本合意し、翌13年にポイントをTポイントに統合していた。CCC幹部は今回のヤフーとの関係見直しについて「ソフトバンクとヤフーは独立した企業体なので、彼らには彼らの戦略がある」と話すにとどめている。

 PayPayの共通ポイント参入に当たっては、同社がスマホ決済で一定の存在感を得たことも大きい。累計登録者数は22年7月13日時点で4900万人を超えている。21年度の決済取扱高は20年度比で約1.7倍の5兆4000億円、決済回数も同1.8倍程度の36億回以上まで膨らんだ。

 インフキュリオン(東京・千代田)の「決済動向2022年4月調査」によると、QRコード決済アプリの利用率でPayPayは「楽天ペイ」や「d払い」などを抑えて首位に立つ。

 「特別」なファストリとヤマダHD
 スマホ決済同様、共通ポイント業界でもPayPayが一定の存在感を示す可能性は高い。巨額のポイントを自ら発行する経営体力を備えており、それが加盟店を引きつけるからだ。

 加盟店開拓という視点で、PayPayがライバルとの違いを出すための鍵を握るのが、共通ポイントを採用していない企業の獲得だ。特に、ユニクロを傘下に持つファーストリテイリングと家電量販最大手のヤマダホールディングス(HD)の動向に注目だ。

 ソフトバンク幹部は「ユニクロさんとヤマダさんは『特別』。なかなかオリジナルのところを自分たちで崩そうとしていない。顔を見るたびに言ってはいるが、難しい相手だ」と語るように、両社を切り崩すのは容易ではない。とはいえ、ライバル勢は両社トップと関係が深いソフトバンクグループの孫正義会長兼社長の「突破力」を警戒する。

 ファストリの柳井正会長兼社長、ヤマダHDの山田昇会長兼社長は、孫氏と同じように、一代で巨大グループを育て上げた。柳井氏は十数年にわたってソフトバンクGの社外取締役を務めた経緯もあり、山田氏もソフトバンクからの出資を仰ぐなど孫氏と関係が深い。仮にPayPayがファストリやヤマダHDを自陣営に取り込めれば、顧客や加盟店の獲得で大きなアドバンテージを得る。

 共通ポイント業界の今後を占う上では、CCCの動向も見逃せない。TPJ元社長の長島弘明氏は、イオン傘下でWAON(ワオン)ポイントを運営するイオンマーケティングの常務取締役に転じた。Tポイントに加盟するドラッグストア最大手のウエルシアホールディングスとユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス傘下のマルエツは共にイオングループに属する。「長島氏のミッションは何なのか」。業界関係者はCCCとイオンとの関係性の変化に目を凝らしている。

 今後、共通ポイント業界でPayPayとCCCが台風の目になるのは間違いない。PayPayを加えた大手5社体制がしばらく続くのか。それとも、再編・統合が起きるのか。これは共通ポイント業界のみならず、共通ポイントを採用する数多の企業のマーケティング戦略に大きな影響を与える。

(日経クロステック/日経コンピュータ 山端宏実)

[日経クロステック 2022年7月19日付の記事を再構成]


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