第139回 2016年10月11日 「食卓に木のぬくもりを~岐阜 ヒノキ製品~」リサーチャー: 内藤理沙
番組内容
今回のイッピンは、岐阜のヒノキ製品。香りや丈夫さはもちろんのこと、ピンク色の美しい木目が岐阜県産のヒノキの特徴。木のぬくもりをふんだんに引き出した製品が続々誕生している。洋食器をオシャレに収納でき、スタッキングすることができるので便利と評判のカトラリーケース。そして2色の木目のコントラストと波型のユニークなデザインが女性に人気のフードプレートも紹介。秘められた職人技を女優の内藤理沙がリサーチする。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201610111930001301000 より
東京・御徒町、山手線の高架下にある話題のセレクトショップ「2k540 AKI-OKA ARTISANニーケーゴーヨンマル アキオカ アルチザン」には、全国から集まった生活雑貨が並んでいます。
岐阜県で作られたヒノキのカトラリーケースや波模様と色使いが個性的なフードプレートなど、外国人観光客にも好評です。
今、岐阜県では、新たなヒノキ製品が続々と誕生しています。
今回のイッピンでは、そんな岐阜の新しいヒノキ製品が紹介されました。
1.木製トレー「tonono」(内木木工所)
東濃(とうのう)地区とは、岐阜県南東部の地域を指し、美濃地方東部を意味します。
室町時代からヒノキの産地として知られています。
「東濃ヒノキ」は、山間部の寒暖差の激しい非常に厳しい環境で育つため、製材までに時間を要します。
樹齢百年のヒノキを伐採すると、年輪幅はわずか2㎜程。
育つのが遅いため、本数も限られています。
そのため、端材と呼ばれる部分も無駄にすることはなく使われてきました。
長野との県境に接する岐阜県中津川市にある、木工メーカー「内木木工所」では、波状の柔らかな曲線と白と茶のコントラストが美しい製品「tononoとのの」を制作しています。
開発者で2代目の内木盛良(ないき もりろう)さんによると、白と茶の2色は染めたものではなく、白いヒノキと茶色いスギの素材そのものの色なのだそうです。
スギやヒノキは「軽く」、冬でもヒヤッとせずに「温かく」、触り心地が「柔らかく」「心地よい」という素晴らしい性質を持っています。
しかし、スギやヒノキといった針葉樹は、薄板にすると「反り」が発生します。
「内木木工所」では、長年積み重ねた研究により、板をウェーブ状に切断してハギ合わせることによって、木材の「反り」を抑える特許工法を生み出しました。
この工法は、東濃の木工製品に用いられる産地技術である「ハギ合わせ工法」を応用した特殊工法です。
木材を波模様に切断する使用する木材は「板目」という部分を使用します。
この部分は美しい木目が出る反面反りやすいというという難点がありますが、内木さんは、仕事の合間に貼り合わせて遊んでいて壁に立てかけて3か月経って見てみると、反れ曲がっていなかったそうです。
ところで「tononoとのの」という名前は、岐阜県南東部に広がる東濃地方の地名が由来で、「東濃の○○」を意味しています。
例えば、東濃の木、東濃の人、東濃の地、東濃の四季などです。
「tononoとのの」のフードプレート 「konamiこなみ 」は、デザインと実用性を両立させ、シンプル、かつ目の引く形が食卓のワンポイントになってくれるでしょう。
また、ウレタン塗装してあるのでお手入れも楽。
裏返しても使えます。
他にも、お重やワインラック、 時計、ダイニングテーブルセットもあります。
内木木工所[tonono(とのの)] 岐阜県中津川市付知町秋津6831
2.HAKOMASUハコマス(大橋量器 枡工房枡屋)
全国屈指のヒノキの産地として名高い岐阜県。
その南西に位置する大垣市は、全国の升の生産量の8割を占める、日本一の升作りの産地です。
1300年の歴史がある枡ですが、大垣で生産が始まったのは存外遅く、明治23(1890)年のことでした。
名古屋の桶屋で修業を積んだ一人の職人が、岐阜県大垣市へ帰郷し木桶の製造を始めたのですが木枡も作って欲しいとの声から木枡の製造を始め、西日本への運搬がしやすい土地柄から、全国へ販売するようになりました。
昭和25(1950)年に創業した升専門店「大橋量器 枡工房枡屋」には、伝統的な升は勿論、珍しい八角形の升や、動力を使わない加湿器まで、多彩な商品が揃っています。
3代目の大橋博行さんによると、升は従来、米を計る道具として使われてきましたが、今では酒を飲む器や五角で「合格」を祈願する升など、縁起物としても使われるようになっているそうです。
女性に人気なのは、長方形のシンプルなカトラリーケース「HAKOMASU」(ハコマス)です。
デザイン性の高さは世界にも評価され、米MYのファッションブランド「ポール・スミス」の売り場にも並んでいるそうです。
材料は地元産の「東濃ヒノキ」です。
素材の良さがそのまま活かされ、淡いピンク色をしています。
岐阜県産の「東濃ヒノキ」の木肌は艶やかで淡いピンク色が特徴です。
「東濃ヒノキ」が育つのは花崗岩の多い岩山です。
そのため、他の土地のヒノキと比べ、何倍もの歳月をかけて成長するため、木の中の油分が凝縮し淡いピンク色になるそうです。
「カトラリーケース」は升を長方形に変えただけでなく、使いやすさを重視して厚さを11㎜から7㎜に薄くするなどして、軽量化を図っています。
若手の升職人・河野順哉さんに、板と板とを繋ぐ「ほぞ作り」の工程を見せていただきました。
機械の奥にあるカギ状の歯に正確に当たるよう板を重ねてセットし、回転する歯に通すと、溝が均等に削られて「ほぞ」が完成します。
次は板を組んでいくのですが、「升」とは違う方法が用いられています。
「升」の場合は、板をセットするだけで機械が自動的に組み上げ、板と板との隙間をなくすプレス作業も機械で素早く行われます。
一方、「カトラリーケース」の場合は、全ての行程を機械には任せられません。
接着剤を塗って板を組むところから職人の手に頼る。
プレスする機械も、手製の改良が加えられています。
大橋量器 枡工房枡屋 岐阜県大垣市西外側町2丁目8
*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Gifu/Tonohinoki より
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