「メイドインさいたまの新しい味!ヨーロッパ野菜〜さいたま市〜」 2024年5月12日
本場イタリア料理に欠かせない「ヨーロッパ野菜」がさいたま市で盛んに栽培されています。食材ハンター佐々木彩夏さんが新しい野菜の美味のヒミツを現場から全力リポート!
ズッキーニ、ルッコラ、ケール…、“メイドインさいたま”の「ヨーロッパ野菜」は実に70種以上。栽培のきっかけは10年ほど前、地元のイタリアンシェフたちの「本場の野菜を作ってほしい」という願いでした。若手農家の未知への挑戦に地域の人々が協力、品質への評価も徐々に高まり、何と世界の首脳会議のランチに採用されるまでに!今や市内1200軒の料理店が多彩な料理を提供、新しい野菜の新しい味体験が広がっています。
「うまいッ!」の秘密
ズッキーニの野生種・セルバチカは、大きくなってからほとんど水をやりません。葉が茂り、水が乾きづらいことで成長を阻害したり、しおれてしまうことがあるからだといいます。
花が主役の「花ズッキーニ」は、朝、花が開いた状態のうちに収穫する必要があります。収穫後も花がしおれてしまわないよう、霧吹きで水を吹きかけ、新鮮さを守ります。
「ヨーロッパ野菜」を使った料理レシピについて
「花ズッキーニのフリット」
<材料>10人分
・花ズッキーニ:10本
・モッツァレッラチーズ:300g
・フィレアンチョビ:8枚 (キッチンペーパーで油分をしっかりとふき取っておく)
・パルミジャーノ(パウダー):10g
(フリット用衣 作りやすい分量)
・ドライイースト:1つまみ
・グラニュー糖:1つまみ
・塩:1つまみ
・ぬるま湯(35℃くらい):200g
・強力粉:130g
<作り方>
1) フリット用の衣を作る。ボウルにドライイースト、塩、グラニュー糖、ぬるま湯を入れて、ホイッパーでよく混ぜ、ドライイーストと塩、砂糖が溶けたら、強力粉を混ぜていく。
2) 1)を30℃前後の場所で1時間ほど発酵させ、1次発酵したら膨らんだ気泡をつぶして冷蔵庫で保存する。(揚げるときに衣が冷たい方が綺麗に揚がる為)
3) モッツァレラチーズを5㎜角に刻む。水分が出たら、キッチンペーパーで水分をしっかりととる。アンチョビは3㎜角に刻む。
4) ボウルにモッツァレッラチーズ、アンチョビ、パルミジャーノパウダーを入れ、アンチョビが固まらないように混ぜ合わせる。
5) 4)を25~30gずつにして俵型に固め、ペーパーを敷いたバットに並べ、30分ほど冷蔵庫で休ませておく。
6) ズッキーニの花の中の雌しべを取り除き5)を詰め込み、チーズが見えないように花の先をねじるようにしてとめる。
7) 6)に強力粉をまぶし、2)の衣をつけて170℃くらいの油で2分~2分30秒ほど揚げる。
「ビーツのティラミス」
<材料>作りやすい分量 10人分くらい
・卵黄:4個分
・全卵:1個分
・スポンジ生地:適量
・エスプレッソ:200ml
・マスカルポーネチーズ:500g
・ビーツパウダー:適量
・生クリーム:350g
・グラニュー糖:120g
・ビーツピュレ:50g
・粉ゼラチン:10g
<作り方>
1) 平らな器にスポンジ生地(厚さ5~7㎜)を敷き詰め、刷毛などでエスプレッソを全体に染み込ませる。
2) ボウルに粉ゼラチンと分量の水を入れてふやかし、分量のビーツピュレを加えて湯せんにかけて全体が溶かす。
3) ボウルにマスカルポーネチーズを入れておく。(このボウルにすべての材料を混ぜていきます。
4) 他のボウルに卵黄と全卵、グラニュー糖60gを入れてハンドミキサーで白っぽくなるまでしっかりと混ぜる。
5) 他のボウルに生クリームとグラニュー糖60gを入れ、下に氷水を充てながらハンドミキサーで八分立てにする。
6) 3)に4)を加え、ホイッパーでなめらかになるまでしっかりと混ぜ合わせる。
7) 2)と6)を一気に混ぜ合わせ、最後に5)を入れて混ぜ合わせ、1)の上に流し入れ、冷蔵庫で1時間ほど冷やし固める。
8) 皿に取り出し、最後にビーツパウダーを茶こしでふるいかける。
*https://www.nhk.jp/p/umai/ts/P7R4N8K39M/episode/te/LNWMLNX7KV/ より
ヨーロッパ野菜とは?
本来のヨーロッパ野菜は、主にイタリアやフランス、地中海沿岸などが原産の野菜で、日本にもさまざまな種類が輸入されています。ヨーロッパ野菜の多くは色が鮮やかで、強めのクセとしっかりとした味わいに特徴があります。
ヨーロッパ野菜は高温多湿の環境で生育しにくい性質がありますが、地道な研究と品種改良により、現在は日本国内でも栽培が可能になりました。最近ではさまざまな種類が店頭に並び、レストランや給食にも使用されるなど、ヨーロッパ野菜の魅力が全国的に広まりつつあります。
ヨーロッパ野菜の歴史
かつて、ヨーロッパ野菜は「西洋野菜」と呼ばれていました。1859年に横浜港が開港した後、イギリスの駐日領事(ちゅうにちりょうじ)が居留地(きょりゅうち)でキャベツやレタス、パセリなどの栽培をはじめたことを受けて、当時の神奈川奉行(ぶぎょう)が居留地に向けたセロリやラディッシュなどの栽培を命じて西洋野菜が広まりました。
その後、アスパラガスやカリフラワーなども導入され、明治に入るとビートやアーティチョークなどの栽培に取り組みます。第二次世界大戦後は、進駐軍(しんちゅうぐん)の好みに合わせて調布(ちょうふ)や長野などでレタスの栽培がはじまり、1960年代にはレタスの生産量が急増して一般家庭の食卓にも登場するようになりました。
近年では、埼玉県内のシェフが西洋料理に使う新鮮なヨーロッパ野菜を入手したいと農家に相談したことがきっかけで、2013年にヨーロッパ野菜の品種改良や栽培を手掛ける「さいたまヨーロッパ野菜研究会(ヨロ研)」が発足しました。現在もシェフと若手農家、種苗(しゅびょう)会社などが協働し、ヨーロッパ野菜の普及に取り組んでいます。
ヨーロッパ野菜の種類~葉・茎
それでは、ヨーロッパ野菜の主な種類を順にご紹介いたします。葉や茎を使用するヨーロッパ野菜は、次のとおりです。
スイスチャード
ヒユ(アカザ)科フダンソウ属
収穫期:通年
ホウレンソウの仲間で、赤やオレンジ、黄といった鮮やかな色の茎が特徴です。色を生かしながら、サラダや炒(いた)め物などに使用します。
ルーコラ・セルバーティカ(ルッコラ・セルバチカ)
アブラナ科キバナスズシロ属
収穫期:主に通年
ルッコラの仲間で、やや強めの辛(から)みとゴマのような風味があります。チーズや生ハムなどと相性がよく、サラダなどに使用します。
チーマ・ディ・ラーパ (西洋ナバナ)
アブラナ科アブラナ属
収穫期:10~3月末
菜の花の仲間ですが、日本の菜の花よりも強い風味があります。アサリやホタテなどの貝類や、オリーブオイルなどと相性がよい野菜です。
カーボロ・ネロ(黒キャベツ)
アブラナ科アブラナ属
収穫期:5~6月、10~3月
キャベツのように丸く結球(けっきゅう)しないタイプで、色が濃く縮(ちぢ)んだ葉を持ちます。肉厚で煮崩(にくず)れしないため、煮込み料理に使用します。
サボイキャベツ(ちりめんキャベツ)
アブラナ科アブラナ属
収穫期:5~6月、10~1月
キャベツのように結球するタイプで、こまかく縮んだ硬めの葉を持ちます。黒キャベツと同様に、煮崩れしないので煮込み料理に適しています。
カリーノケール(サラダケール)
アブラナ科アブラナ属
収穫期:5~7月、11~2月
ケールの仲間で、一般的なケールよりも苦みが少なくフリルにボリュームがあります。ミネラルや繊維質を豊富に含み、サラダやスムージーなどに使用します。
プンタレッラ(アスパラガスチコリ)
キク科キクニガナ属
収穫期:10~12月
チコリの仲間で、花芽(かが・はなめ)がついた茎が伸びて「とう立ち」した部分を食べます。スライスしてサラダや炒め物などに使用します。
カステルフランコ
キク科キクニガナ属
収穫期:10~3月
同じくチコリの仲間で、「冬のバラ」の別名をもちます。葉に赤い斑(はん)点が入ったレタスのような野菜で、サラダなどに使用します。
ラディッキオ
キク科キクニガナ属
収穫期:種類による
同じくチコリの仲間で、球形や楕円(だえん)形のほか、日陰で栽培して芯を細く伸ばしたタイプがあります。サラダや炒め物、リゾットなどに幅広く使用できます。
ヨーロッパ野菜の種類~花・実
次に、花や実を使用するヨーロッパ野菜をご紹介いたします。
カリフローレ(スティックカリフラワー)
アブラナ科アブラナ属
収穫期:4~6月、10~1月
カリフラワーを細長いスティック状に品種改良した野菜です。加熱すると、茎が明るい緑に変わります。サラダや炒め物などに幅広く使用できます。
ロマネスコ
アブラナ科アブラナ属
収穫期:6月、11~12月中旬
カリフラワーの仲間で、幾何学的に並ぶ三角形のつぼみに特徴があります。茎も食べられるので、生または加熱してサラダやパスタなどに使用します。
アーティチョーク
キク科チョウセンアザミ属
収穫期:5~6月
欧米で非常に人気が高い野菜の1つです。丸い大きなつぼみをゆでて、はがした「がく」の肉厚の部分を歯でしごいて食べるほか、芯もスライスして食べられます。
トマトベリー
ナス科ナス属
収穫期:4~7月、10~12月
イチゴに似た形の愛らしいトマトで、一般的なプチトマトよりも甘みが強めです。形を生かして、サラダやオードブルなどに使用します。
フィレンツェ(イタリアナス)
ナス科ナス属
収穫期:6~9月
イタリアで人気が高く、米(べい)ナスよりもひと回り大きめの品種です。ソテーやグラタンなどに使用して、とろける食感とうま味を楽しみます。
白ナス(クララ)
ナス科ナス属
収穫期:7~9月
皮が白く、細長いタイプや楕円形のタイプがあります。ソテーやグラタンなどに使用して、とろける食感を味わいます。
モロッコインゲン(平さやインゲン)
マメ科インゲンマメ属
収穫期:5~7月
一般的なインゲンよりも大きく鞘(さや)が平たい品種で、サラダや炒め物などに使用します。味つけは洋風・和風のどちらにも合います。
ズッキーニ
ウリ科カボチャ属
収穫期:5~8月
見た目はナスに似ていますが、カボチャの仲間の野菜です。色は緑と黄があり、炒め物や煮込み料理などに幅広く使用できます。
花ズッキーニ
ウリ科カボチャ属
収穫期:4~7月
ズッキーニの花が咲いた直後に収穫したものです。おしべとめしべを取り除いて中にひき肉やチーズなどを詰め、揚げたり焼いたりしていただきます。
バターナッツかぼちゃ
ウリ科カボチャ属
収穫期:8~10月
カボチャの仲間で、ヒョウタンのような形をしています。身は明るいオレンジ色で甘みが強く、ねっとりとした食感があります。スープやグラタン、パイなどに使用します。
アトランティックジャイアント
ウリ科カボチャ属
収穫期:8~9月
ハロウィンの「ジャック・オ・ランタン」に使用する巨大なカボチャで、食用には向きません。中の身や種(たね)を取り出してから、顔をくり抜いて仕上げます。
ヨーロッパ野菜の種類~根
続いて、主に根を使用するヨーロッパ野菜をご紹介いたします。
フィノッキオ(フェンネル)
セリ科ウイキョウ属
収穫期:5~6月、11~12月
ハーブの仲間の野菜で、「鱗茎(りんけい)」と呼ばれる球状の部分を食べます。スライスしてサラダやマリネなどに、加熱してパスタやグラタンなどに使用します。
スティッキオ(スティックフェンネル)
セリ科ウイキョウ属
収穫期:主に通年
フェンネルの仲間を細いスティック状に品種改良したものです。白い鱗茎の部分をサラダやマリネなどに、葉をスープやパスタなどの香りづけに使用します。
ビーツ
ヒユ(アカザ)科フダンソウ属
収穫期:主に通年
ホウレンソウの仲間で、鮮やかな赤や黄の茎と根が特徴です。根をスライスしてサラダなどに、葉と根をソテーや煮込み料理などに使います。
ゴルゴ(うず巻きビーツ)
ヒユ(アカザ)科フダンソウ属
収穫期:主に通年
ホウレンソウの仲間で、根の断面にうず巻き模様が出るタイプです。模様を生かしながら、ビーツと同様にサラダや煮込み料理などに使用します。
トロペア
ヒガンバナ科(ユリ科)ネギ属
収穫期:5~6月
イタリア原産のタマネギの仲間で、鮮やかな赤紫の根と甘さに特徴があります。サラダやジャムなどのほか、ソテーや煮込み料理などに使用します。
ヨーロッパ野菜の栽培地
最後に、国内におけるヨーロッパ野菜の栽培地についてご紹介いたします。先述のとおり、現在は埼玉県を中心にしてさまざまなヨーロッパ野菜が栽培されています。そのほかの地域では、北海道や山形、岩手、福岡などが主な生産地で、直売所だけでなく通信販売でも購入できます。
近年では、ヨーロッパ野菜の色合いや風味を生かした料理を提供する店が増えており、埼玉県内では1000軒(けん)を超えるレストランでヨーロッパ野菜を使用しています。さらに、寿司(すし)のネタにヨーロッパ野菜を用いる取り組みもはじまり、和食への展開も期待されています。
ヨーロッパ野菜に親しもう
今回は、ヨーロッパ野菜の概要と主な種類、国内の栽培地についてご紹介いたしました。ヨーロッパ野菜は、鮮やかな色合いと独特の風味に特徴があります。近年では国内でも栽培が可能になり、レストランや通信販売などで気軽にヨーロッパ野菜を味わえるようになりました。
この機会に、ぜひヨーロッパ野菜を用いた新しい食の文化をお楽しみください。
*https://fumakilla.jp/foryourlife/937/ より
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