「塩くじら汁」
主な伝承地域 県内全域
主な使用食材 新じゃがいも、塩くじら、旬の野菜
歴史・由来・関連行事
「塩くじら汁」は、内陸の暑い夏を乗り切るための伝統のスタミナ料理。かつては保存もできて、山間の地域における動物性のタンパク源として重宝した塩くじらと夏野菜を一緒に煮て食べ、暑い夏に備えようと生まれた料理だといわれている。塩くじらとは、くじらの皮付きの脂身を塩漬けにしたもの。食材に使う野菜は地域で夏にとれる新じゃがいもやなす、さやいんげんなど、美味しい旬の野菜を使用する。
村山地域では「いるか汁」とも呼ばれている。村山地域の大江町では、夏休み中に町内の子ども会の集まりがあると、よく「いるか汁(塩くじら汁)」をつくったという。お母さんたちがそれぞれの家でつくった野菜や家にある食材を持ち寄り、大鍋で煮て振る舞った。材料は、塩くじらと新じゃがは必ず入る。またほかにも、夏になり背丈が大きくなっても皮を剥けば柔らかく食べることができる山菜の青みず(青みず菜)と夏の暑い時期に畑に生えて大きくなった多年草のなつ菜(ふだんそう)も必ず入れるという。最上地域では、「塩くじら汁」に入れる山菜の「みず」を味がよく浸み込むようにと手でもぎちぎって使うことから、「もんぎりみず汁(もぎりみず汁)」と呼ばれる。
食習の機会や時季
7月から9月の暑い時期に食べる。いまでも家庭で食べられている夏の定番料理の一つ。しばらくして、里芋がとれる秋が近づくと、「塩くじら汁」に代わり、「芋煮(いもこ汁)」をつくる家庭が増える。
飲食方法
塩くじらは調理前に表面の塩を水で洗い流し、10分から30分ほど水に浸して塩分を抜いておく。それから熱湯で脂を落とし、短冊切りにするとクセのない美味しい仕上がりになる。塩くじらは、煮すぎるとかたくなってしまうため調理には注意が必要である。鍋に投入するタイミングは、各種野菜が柔らかくなったころ。塩くじらの塩加減を見て、全体の味をととのえるのが美味しく食べるポイントだ。
昔は、塩くじらのまわりについている塩も利用したが、現在はゆでこぼしをして、雑味や表面の酸化した脂を流すと同時に、臭みをとる作業をおこなうため、塩味を補う必要がある。味噌が臭みを消してくれるため、味付けは味噌が多いが、好みで塩味または醤油味でも良い。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
夏になると魚屋やスーパーマーケットなどで塩くじらが販売され、家庭で「塩くじら汁」がつくられる。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shiokujirajiru_yamagata.html より
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