「生きた水・久留里」
湧水の概要
「生きた水・久留里」は、昔から生活に密着してきた「上総掘り※」で掘削された自噴井戸から湧き出した水である。上総掘り自噴井戸は、小糸川と小櫃川の中流域に点在し、久留里地区では飲料用を中心に約 200 本が現存し、地域に暮らす人々の生活で利用されている。上総掘りにより地下 400m~ 600mから自噴しており、土壌菌等を含んだ生きた水とされている。
(※:竹ヒゴ・掘鉄管・削り屑を取る「スイコ」の組み合わせによる井戸の掘削技術で、明治時代の中頃に君津地方で開発)
◆湧水の利活用等
昔から生活に密着してきた湧水であり、現在でも一部では水道用として利用されている。地元観光協会が中心となって、清掃・水質検査を行い、安心安全な水として保全活動を行っている。他地域の住民も、米を炊くための水に利用している。
◆湧水保全・復活の主な取組
1)地域住民との参加と協働
君津市観光協会上総支部を中心に商店街振興組合及び自治会が、月1回程度、上総掘り自噴井戸の周辺を4~5人で清掃している。また、君津市観光協会上総支部が、代表的な自噴井戸8箇所の水質調査を毎年度実施している。
さらに、平成の名水認定後、水汲みに来訪者が多くなっていることを受け、君津市観光協会上総支部では、来訪者に対し生きた水・久留里の観光案内を行っている。
2)地域づくりの施策との連携
「生きた水・久留里」を活かした地域振興・産業振興の活動を行っており、久留里商店街振興組合では、生きた水の宅配サービスを行っている。また、水を使ったイベントとして、「水のソムリエ」を開催している。
産業振興としては、「生きた水・久留里」を活かした造り酒屋、豆腐屋が営業しており、県内各地から産品を買い求めに来る人も多い。
また、特産品の開発も行なわれており、「生きた水・久留里」と休耕田を使ったホンモロコ養殖が行なわれている。地元の応援の声も高まり、平成 20 年10 月にロゴマークを決定するなど、新たな地域ブランドを目指し、生産拡大と PR 活動を展開している。
3)環境教育・人材育成
君津市では、地下水保全の意識を醸成させる目的で、上総掘りによる自噴井戸の歴史、利用状況、地下水の解説、汚染等を題材に教育副読本を発行し、市内小学校に配布している。この本は、小学校3年~4年生を対象としている。
伝統的技法「上総掘り」の技術を伝えるため、久留里の NPO 法人「久留里城山郷かずさ活性化の会」が指導し、地元の高校の生徒が掘削作業を行い、地下水の自噴を目指している。
*https://www.env.go.jp/water/yusui/guideline/09.pdf より
水質・水量
1日の湧水量:43トン
由来・歴史
久留里にある井戸は、君津市が発祥地と言われる「上総掘り」によって掘られている。上総掘りの用具は重要有形民俗文化財(上総博物館)に、技術は重要無形民俗文化財(上総掘り技術伝承研究会:袖ケ浦市)に指定されている。
水質保全活動
君津市観光協会上総支部を中心に商店街振興組合及び自治会の協働により、月1回程度、人が集う上総掘り自噴井戸の周辺を清掃。また、毎年度水質検査を実施。
周辺の自然環境-久留里の自噴井戸群は、大深度(地下400~600m)から上総掘りという伝統的な工法により掘られた井戸で、古くから飲用、酒造、農業用水と多岐に用いられ、県内外から訪れる大勢の観光客を魅了している。
利用状況-一部では水道水として利用されている。水道として配管されていないところの住民も、米を炊くのに利用している。地域には4蔵の酒蔵や豆腐屋があり、県内各地から買い求めにくる人も多い。
*https://water-pub.env.go.jp/water-pub/mizu-site/newmeisui/data/index.asp?info=22 より
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