〈リバイバル・アーカイブス〉2022.4.25~5.9
原本:2017年5月24日
じないまち富田林でいくつも見かける鍾馗(しょうき)さん。きまじめにいつもなにかを見張っておられます。
...で、いったいなにを見張ってらっしゃるのかな?
実は、向かいのお家(うち)の鬼瓦がはねかえした「厄」がこっちにこないように見張っておられるのです。
*現在は、鬼瓦と鍾馗さんが向かい合っていないものも多く見られます。京都市内などには、まだ多く残っているようです。
古くからのお家は厄除けとして、鬼瓦や鍾馗さんを屋根にあげられていますが、新しく建てられたお家にはほとんど見かけなくなりました。
現在、 じないまちや周辺で十数人。いつも、屋根の上で、お家(うち)を守るために、がんばっていらっしゃるのですね。
向かいの鬼瓦に対峙して、眼光 鋭く睨み返します。中国は、唐の時代に鬼を退治したという道教の神様、鍾馗さん。
歴史を紐解くと 中国は唐の時代、玄宗皇帝が 病に臥している時、玄宗の前に小鬼が現れ、玄宗の玉笛と妻「楊貴妃」の匂い袋盗もうとしました。 鬼の手が玄宗にかかろうとした時、夢枕に髭面の大男が現れあっという間に退治してしまいました。
夢枕に現われた大男は「鍾馗(しょうき)」と名乗り、曰く「私は科挙の試験に失敗したことを恥じ、自ら命を絶ちました。にもかかわらず、帝が手厚く私を葬っていただいたことを感謝しております。今日はその恩に報いるため参りました。」と語りかけました。
玄宗が夢から覚めると病はすっかり癒えて元気になっており、鍾馗さんが鬼を退治し帝の病が癒えたという話は、 あっという間に国中に広まり、道教の神として祀られるようになったということです。
こちらは、「厄(やく)」や「災い」を除(よ)ける鬼瓦
鬼瓦もお家にやってくる「厄」や「災い」を除ける意味が込められています。
大棟(おおむね) の両端や降棟 (くだりむね)の 先端でがんばっています。
にらみを利かす鬼瓦
なにか他を寄せ付けない威厳があります。
鬼瓦がにらんでいても...
ちょちょいのちょいと、跳ね返す鍾馗さん。
「厄」や 「災い」を鬼が除けたら...
向かいのお家(うち)の鍾(しょう)ちゃんが跳ね返す。
どちらも災いを中に入れたくない思いがありますね。それは、昔も今も同じこと。
江戸中期頃、京都の街中においては、家を建てた時に鬼瓦を屋根に置きました。すると、向かいのお家の娘さんが原因不明の病にかかって、なかなか治らない。お家の人が心配なさって陰陽師にみてもらったところ、お向かいのお家の屋根でがんばっている鬼瓦が除けた災いであることがわかりました。
そこで、お家の人が中国で人気の鍾馗さんを自分とこの屋根にあげたところ、娘さんの病気は平癒したそうです。
「厄」や「災い」は直進してくると思われていましたから、鬼瓦さんが反射した「厄」や「災い」を鍾馗さんがまたはね返すということですね。
すごいですね!わたしの家にも置きたいです。
カットにらんで、除けた「厄」や「災い」を...
ちょちょいのちょいと跳ね返す。
「厄」や「災い」はこの当時から、直進してくるものと考えられていたようです。
ですから、村も家もみな同じ。村の入口付近の道路をわざと折れ曲げたり、衝波除や賽の神をおいたり、地蔵さんを祀ったり、村やお家に災難が来ないようお祀りしました。鬼瓦や鍾馗さんも同じですね。
これはいったいなんでしょ、ねぇ~
茶道をたしなむ鬼?
「角(つの)、折れてもうたがな...」
「見ないよ~ん、聞かないよ~ん、言わないよ~ん。」 浄谷寺 庚申堂
鍾馗さん(右)となんだろなぁ?(左)
たくさんに、にらまれても...
ちょちょいのちょいで、「はね返したる!」
国重要文化財 旧杉山家住宅の忍び返し越しの鬼瓦
いっぱいあります。みにきて~
関連記事: じない町の鍾馗さん 2015.7.27.
衝波除 2015.3.31.
賽(さい)の神 2015.3.16.
2017.5月24日 HN:アブラコウモリH
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