「不徳の致すところ」は、正義が遣うもの

日本語にウルサイオヤジを自認しているのですが…「不徳の致すところ」の使い方…最近、変わってきたのでしょうかねぇ？

　「不徳の致すところ」というフレーズは、次のような時に使うものです。

　「自分は悪くないと思っているよ。だけど、世論に殊勝な奴だと思わせたいから、このフレーズを使うよ。つまり、自分の品性・人格が十分ではなかったと…まあ、謙譲ですね。さらに精進しようとする姿勢として受け取っていただけるでしょう！わっはっは！自己内省を伴う姿勢こそが、尊い生き方でーす」

　びっくりしたのは、地下鉄サリン事件で特別手配され、殺人などの疑いで逮捕されたオウム真理教元幹部の高橋克也容疑者。
　取り調べに対し、「幹部の指示でやった。世間を騒がせてしまったことは間違いないことです。全ては不徳の致すところです」と話しているという。
　高橋克也容疑者って、哲学者ですよね？埼玉大学教養学部助教授だった。埼玉大学といえば田舎の国立大学というイメージで受け取られると思いますが、東京大学の滑り止めの大学でした。つまり、東大クラスの学生が受験した大学（現在の偏差値はわかりませんがね）。つまり、橋克也容疑者は、成績が良かったはず。
　それなのに、「不徳の致すところ」の使い方を分かっていなかった。

　額面通り受け止めると…
　オレってさあ、オウムの為に一生懸命やってきたんだよ、偉いっしょ！１７年も逃げて立派でしょう！でも、生意気だと思われないように、「不徳の致すところ」と言ったんだけどね。殊勝な奴だって？いやーぁ、それほどでも…！品性・人格が十分だったら、捕まることもなかったのにね。今後、さらに精進しますよ。何に精進するかって？もちろん信仰にですけどね。
・・・「不徳の致すところ」ではなく、不徳そのものだ！

　原辰徳容疑者、じゃなかった原監督。
　女性関係で、２人組の男に脅かされて１億円を支払った。金銭でケリをつけようとした…これダメでしょう！隠蔽しようとしたわけですから、二重の罪を作ってしまった。
　原監督の、「ファンの皆様へ」と記したコメント…
　１９８８年ごろ、私はある女性と関係を持ちました。私個人の不徳の致すところであり、浅はかなことをしたと思っています。深く反省しています。

　女性と関係を持ったことが、「不徳のいたすところ」…。
　額面通り受け止めると…
　オレってさあ、若大将でさあ、日本のプロ野球の為に一生懸命やってきたんだよ。偉いっしょ！２４年も前のことにかかわって１億円を払ったのはファンを裏切らないため。偉かったでしょう！でも、生意気だと思われないように、「不徳の致すところ」と言ったんだけどね。殊勝な奴だって？いやーぁ、それほどでも…！品性・人格が十分だったら、清武の野郎に暴露されることもなかったのにね。謙譲だけどね。今後、さらに精進しますよ。何に精進するかって？もちろん…野球にですけどね。

　原監督は、日本の最高学府で学んでこられた方（東海大学）。「不徳の致すところ」の使い方は百も承知のはずなのですが…承知していませんでしたね。