アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

エルミタージュ劇場で白鳥の湖を鑑賞

2012年11月04日 | Weblog
サンクト・ペレルブルクにはマリインスキーがあるのですが、キップなど入手できるはずもなく…。バレエ鑑賞は、エルミタージュ劇場にしました。
 休憩時間を含めて、2時間半。演目は、「白鳥の湖」。入場料は、19,000円。マリインスキーだって、こんな法外な入場料は取らない。「白鳥の湖」を観るために、これだけの大枚を叩いていいものか?底辺にうごめく庶民としては悩みましたよ。

 エルミタージュ劇場は、エルミタージュ美術館の並びです。棟続きだと思います。
 エカテリーナ2世が、「個人用の宮廷劇場」として建てたもの。18世紀に20年の歳月を費やして建設された(敷地は、ピョートル大帝の冬の宮殿があった場所)。

 この劇場は客席が円形状に配置され、どの席からも舞台がよく見えるようになっている。内部装飾が豪華です。床は着色された大理石。壁や柱はマーブル模様を生かした重厚な感じの大理石。ギリシャのアポロの彫像、9体の女神像…。しっかり写真を撮ってきました。
 「19,000円なら、S席だったんだろう!」という声があるかも知れません。しかし、この、18世紀にエカテリーナ2世が個人の楽しみのために作った劇場は、座席指定など無いのです。誰もが皆、好きな座席を選べる…。こんな劇場は、他に類を見ないでしょう。

 私どもが入場したときには、300席ほどの大半を中国人の団体が占めておりました。バレエ鑑賞だというのに、ドレスダウンですから困ったモンです。私も、タキシードにしなくて正解でした。タキシードだと、浮いてしまって、むしろ好奇の目に曝されたでしょうから。どんな服装で行ったかって?襟付きのシャツに上着です。家人は3番目ぐらいにいい服を着ていました。「中国人の団体が来ていて、うるさいけど服装面では良かったね」という本音を吐いていました。行く前は、皆さんイブニングドレスだったらどうしよう…という心配をしていましたから。

 座席ですが、いいところは中国人の団体さん…。そ、その時、近視であり、老眼であり、乱視である私の目が、さ、最前列に空席があるのを発見!転がるように、最前列の中央を確保!これは快挙です。ただ、なぜそこが空いていたかといいますと。オーケストラのメタボ指揮者の尻しか見ることが出来ない場所…。おまけに、バイオリンの太った女性の脇の香り…早い話が、「ワキガ」の臭いをもろに嗅ぐことに!
 19,000円払って、オヤジの尻と、オバンのワキガの攻撃を受けなければならないのか!?ホント情けなかった。
 しかし、少しでも元を取ろうと、指揮者の尻の横から顔を出して、舞台を観ましたよ。指揮者の尻との距離は、1メートル。ワキガとの距離は2.6メートル。舞台つまりバレエダンサーとの距離は、6メートル。ダンサーの息づかいまで聞こえました。

 「白鳥の湖」が生のオーケストラで始まりました。率直なところ、「よく解らん」。エルミタージュ劇場で踊るわけですから、バレエ学校の学生アルバイトではないでしょうし。

 「パ・ド・ドゥが見せ場」ということでしたが、「うーん…」でした。猫に小判ですね。「パ・ド・ドゥって味の素で出しているやつか?」って?そ、それは、「クックドゥ」。「パ・ド・ドゥ」は、バレエの用語で、男女2人のダンサーが踊ること。ちなみに、同性2人による踊りは「デュエット」。

 黒鳥が32回転するということで、初めのうちは数えていましたが…黒鳥は、頑張っていました。息を切らしたり、汗をかいたりしないところが感心。
 それにしても、ロシア人(といっても100以上の民族がある)肌の色の白さには驚かされました。白鳥たちの中に一羽、少しだけ肌に色がある白鳥がおりました。日本人と比べると、色白なのでしょうが、他のロシア人ダンサーと比べると目立つ。
 「白系ロシア人」という言葉がありますが、これは肌の色とは全く無関係。ロシア革命後、ロシア国外に脱出あるいは亡命したロシア人のこと。どうしてその人達が白系なのかって?「共産主義=赤」に対する意味での白です。

 エルミタージュ劇場…行ったから、内部のこと、座席のこと、ダンサーの肌のこと…色々解ってよかった。肝腎の白鳥の湖は…よく解りませんでしたがね。