アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「少年」のいじめ…潤一郎の「少年」ですがね

2013年04月23日 | Weblog
 古事記、日本書紀、落窪物語、源氏物語のいじめは、いわば「古式豊かないじめ」。今のいじめとは、大きく違っている。

 では、今のようないじめの形になったのはいつ頃からなのか?
 谷崎潤一郎の短編小説(「少年」明治44年 1911年)に、東京の下町の、いじめっ子、いじめられっ子の関係が描かれている。
 潤一郎のいじめの考えは…
 ○ 基本的に遊び仲間の内部で生ずる(狭いコミュニティで起こる)
 ○ 「いじめる、いじめられ」るは、紙一重の違い。前者の立場にいた者が後者の立場に追いやられることもある。
 102年も前の小説で、極めて近代的にいじめをとらえている。この頃すでに、今のいじめの形ができあがっていたことがうかがえます。

 そうゆう立派な小説なら、中高生に勧めたらいいだろうだって?
 あ、あ、あのね!谷崎潤一郎ですよ!中高生に勧められるわけがないじゃないですかっ!
 「性的世界」です。題名は少年でも少年には勧められない本です。少女にも。サディズム・マゾヒズムに達する以前の段階のシーンが…。潤一郎は、男と女の関係を描き続けた。三度の結婚に彩られた人生。

 「人間の足は塩辛い酸っぱい味がするものだ。綺麗な人は、足の指の爪の恰好まで綺麗に出来て居る」こんな事を考えながら私は…。読ませたくないということが分かっていただけるかと。